コミケにみるオタク文化の海外波及

コミケ発!レーティッシュ鉄道の公式キャラクターに就任した「のぞみ」 欧州の鉄道会社が公式マスコットを設ける事例は初めてのことだという
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 日本最大級の同人誌即売会『コミックマーケット』(以下、コミケ)夏の陣が、8月11日~13日にわたり東京ビッグサイトで開催された。92回目を数える今回は、3日間でのべ50万人が来場。昨夏の53万人は下回ったものの、依然として驚異的な集客を記録している。Webニュース等では、コスプレやタレントによる出店などの話題が目立ったが、会場には海外からの漫画ファンの姿も多く、ブースではクールジャパンの1つである「オタク文化」の海外波及も窺い知ることができた。

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◆海外では同人誌即売会が「金の卵」発掘の場に

 「国際交流コーナー」は、毎回さまざまな国の同人誌即売会の模様を紹介するブースで、今年は7月6日~9日にフランス・パリで開催された第18回『Japan Expo』のイベント写真や現地で買い付けてきた同人誌が展示されていた。

 前出の素材を仕入れてきたのは、出版社・ユーロマンガ代表のフレデリック・トゥルモンド氏。彼は12年前から日本に定住し、フランス語圏の漫画(総称:バンド・デシネ)の翻訳、販売を行っている。

 フレデリック氏によると、「(フランスでは)同人誌を書いているのは女性が大多数。日本で多い人気漫画やアニメのキャラを“2次利用”したものより、オリジナルストーリーの作品が目立ちます。そのため、来場していた出版社の人間の目に留まり、プロとしてデビューするといった動きもある」といい、今後は自身も「同人誌発の作家と組んだ漫画を手がけてみたい」と語る。海外では同人誌即売会が、金の卵発掘の場にもなっている。

◆萌えキャラがスイス鉄道の公式マスコットに採用

 「国際オタクイベント協会」によるブースも、コミケで日本と海外とを繋ぐ架け橋の一端を担う。同協会はオタク文化の世界的な発展を目標とし15年に発足。世界中の会員たちが、各国のイベントで啓蒙活動を続けている。

 代表の佐藤一毅氏は、「北米やヨーロッパではだいぶ成熟してきた印象があります。アジア圏も盛んですが、特に中国はコンテンツ量も増え盛況。一口にオタク文化と言っても地域によって特徴が異なるので、皆さんに各国の現状を知っていただくことで少しでもお役に立てれば」と語る。

 コミケには設立以来、定期的に参加しているが、最近ブース出店による実りがあった。同協会に名を連ねる日本アニメ通のラユン・ヒューリマン氏は、スイス・チューリッヒ市役所の公務員。啓蒙活動は完全にプライベートの領域だが、その熱からTwitterでは「スイス大使」のアカウントでも知られる。そんな彼が、スイス最大級の私鉄・レーティッシュ鉄道から声をかけられ、萌えキャラ「のぞみ」をプロデュースしたのだ。

 当初は一時的なマスコットとなる予定だったが、人気を受けて今春公式キャラに昇格。欧州で鉄道会社が公式キャラを設ける事例は初めてのことだという。そして、イラストを手がけた俵太(Hyouta)氏との出会いこそがコミケだった。

 ラユン氏は、「スイスは元々あまりオタク文化が浸透した国ではありませんが、のぞみちゃんは可愛さが受け、好かれています。今後は(新キャラ誕生など)新たな動きもありそうです」とさらなるオタク文化の普及に期待を寄せる。

(『コンフィデンス』 17年8月21日号掲載)

(提供:オリコン)

更新時間:2017年08月18日 08:10