アムロの“帰還”をジオラマ再現

劇場版『ガンダムIII』の挿入歌「めぐりあい」が聞こえる?ホワイトベースのクルーがスペースランチでアムロを迎える感動のラストシーン 製作:まつおーじ(C)創通・サンライズ
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 昨年末、1958年12月に誕生した国産プラモデルの歴史が60周年を迎えた。“日本最初のプラモデル・ノーチラス号(マルサン商店)から始まったその歴史は、戦車や軍艦などのスケールモデルで人気を帯び、1980年代前半のガンプラブームによって沸点を迎えた。その歴史の中で、プラモファンの中で変わらず支持され続けているのが『情景模型=ジオラマ』である。今回紹介するのは、ファーストガンダムに魅せられた、モデラー・まつおーじさん。ガンダム屈指の名シーンに込めたジオラマ作品への想いを聞いた。

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■情景模型はネタで勝負「見た人がニヤッとしてくれたら嬉しい」

――ジオラマ製作をするようになった理由は何でしょうか。

【まつおーじ】ジオラマ製作のきっかけは、バンダイのガンプラCМの影響が大きかった気がします。ジオンの開発工場を映しながらの「ジオン驚異のメカニズム!」のCМナレーションに釘付けになっていました。「カッコいい!基地作りたい!」って(笑)。

――当時、ガンプラの情景模型シリーズも発売されていました。ジムとシャアズゴックの『ジャブローに散る』や、ガンダムとゲルググの『テキサスの攻防』といった作品は、箱絵を見るだけでワクワクしました。

【まつおーじ】ジオラマにもいくつか種類がありますが、よりストーリー性のあるジオラマやビネットが好きでした。特に、大人になって模型製作に復帰してからは、イラストや劇中のシーンを立体で見たいという思いが強いですね。

――ジオラマ製作をするようになって、最初に苦労した部分は?

【まつおーじ】ジオラマの舞台とも言える、地面と台座の作り方が分からなくて悩みました。どの様なマテリアルがあるかも知りませんでしたし、流行りのスタイルもサッパリ分かりませんでした(笑)。

――では、ジオラマ製作でもっとも重視する点は何でしょうか。

【まつおーじ】レイアウト時の自分の気持ちいい、心地いいポイントですね。単に距離というだけではなくて空気感や目線といった「間」です。気持ち悪い時は、空間が不自然だったり窮屈だったり何かがおかしいんですね。そういうのは他人が見ても気持ち悪かったり、モヤモヤすると思うんです。あとはネタですね。見た人がニヤッとしてくれる様なネタを仕込むことですね。それは作品全体であったり小物であったりいろいろですが。見てもらったときに笑顔になってもらうのが一番嬉しいので。もちろん自分もニヤニヤして楽しく作れるというのが大前提ですけど。

■『ガンダムTHE ORIGIN』の安彦絵をヒントに、一人ひとりの表情まで緻密に再現

――作品の空気感や「間」という意味では、ファーストガンダムのラストシーンの再現度に驚きました。

【まつおーじ】ホワイトベースのクルーがスペースランチでアムロを迎えるジオラマは、タイトルを「my sweetest」としました。コレは劇場版『ガンダムIII』の挿入歌「めぐりあい」の歌詞の一節からつけました。自分の最も愛しい人、帰りたい帰るべき場所という意味合いです。

――ファーストガンダム屈指の名シーンですが、一人ひとりの表情まで緻密に再現されていますね。

【まつおーじ】ファーストガンダム直撃世代ですから思い入れもひとしおです。劇場版は何回、いや何十回と観ていますが、未だに泣いちゃいます。当時、何がそんなに面白かったのか一言では言い表せないですね。その全てが新しかったんだと思います。僕も機械いじりの好きな少年だったので、アムロに自己投影しやすかったのかもしれません。ちなみに、劇場版を映画館で見たのは『めぐりあい宇宙』だけなんですよ。当時の我が家には映画を観に行くという習慣がなかったんですね。でも『めぐりあい宇宙』だけはどうしても見たくて、親に言って連れて行ってもらって立ち見で観た思い出があります。

――当時、映画としての爆発的ヒットはもちろん、挿入歌の「ビギニング」「めぐりあい」が楽曲としても大ヒット。そして、80年代前半はプラモ人気が社会現象となりました。

【まつおーじ】まさにガンプラブームの中で公開された劇場版3部作の中では『めぐりあい宇宙編』が一番好きですね。オープニングの、ホワイトベースからの各機の発進シークエンスだけで胸が熱くなってきます!ただただ大好きで、これを観て育ったと言っても過言では無いです。

――愛情が深いだけに細部にこだわりを感じます。本作品で苦労した部分はどこですか?

【まつおーじ】各キャラの顔と目線、自然なポーズにはこだわりました。今でこそ1/35のアニメキャラクターフィギュアがあり、顔が分かるのは当たり前になってきていますが、製作当時はキャラの分かるフィギュアが少なかったので、しっかりとキャラを再現したかったんです。

――写真ではバイザーをしていて分かりづらいですが、すべてのキャラが劇中の表情を再現していますね。

【まつおーじ】最初はキャラの顔がなかなか似なくて苦労しました。解決策として、漫画版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(角川書店)を参考にすることで上手くいきました。漫画はデフォルメされて描かれていますが、少ない情報ながらキャラの違いはハッキリと分かりますよね。そこで、漫画の目の形や離れ具合などを参考にしました。ランチもフィギュアもほとんどが自作なので苦労の連続でしたが、自然なポーズに仕上げるために、自分でポーズを取ってみたりもしました(笑)。

――“作品愛”が伝わってきます。最後に、モデラーとしての課題を教えてください。

【まつおーじ】課題はたくさんあります。塗りも上手くなりたいですし、いろいろなマテリアルの使い方や表現の仕方、電飾も身につけたいです。なにより今は時間の確保ですね。なかなかじっくり自分の作りたいものを作る時間が取れなくて…。上手くなるにはたくさん作って経験値を上げる必要があると感じています。

(C)創通・サンライズ

(提供:オリコン)

更新時間:2019年02月22日 07:00