震度7を観測する地震は激しい揺れが長く続く 起震車体験では激しい揺れで転げ回りそうに【暮らしの防災】

2025年2月9日 14:01
「震度7」は日本の10段階ある震度階級の中で最大です。2011年3月の東日本大震災では宮城県登米市で観測しています。 「震度7」は、阪神・淡路大震災(1995年)で初めて観測された後、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018年)、能登半島地震(2024年)で観測されています。 普段の「グラっ!あっ地震だ」という時は、多くの場合震度4クラスの地震で、揺れた時間は数秒です。 しかし震度7を観測する地震ではもっと「長い時間」「強い揺れ」が続きます。南海トラフ巨大地震の想定最大震度は7、今回はその予習です。

震度7とは 気象庁HPより

震度7とは
 気象庁の「震度階級関連解説表」で震度7は、「人は立っていることができず、はわないと動くことができない、動くこともできず、飛ばされることもある」となっています。

 耐震性の低い木造建築物は、震度6弱で「倒れるものがある」。6強で「傾くものや、倒れるものが多くなる」。震度では「傾くものや、倒れるものがさらに多くなる」としています。
 

起震車(三重・尾鷲市にて)

震度7を体験する
 地震の揺れ、は防災センターにある「地震体験コーナー」や、イベントなどに出展する「起震車」で体験できます。
 

メ~テレスタッフが起震車を体験

激しい揺れで転げ回りそうに
 メ〜テレでも、先日スタッフの防災・減災意識向上を目的に「起震車体験」を行いました。

 地震体験には、リビングルームが再現されたスペースで、椅子に座ってテーブルにつかまって体験する形式。家具がないスペースで、座布団に座って揺れを体験する形式、の2つがあります。

 メ〜テレでの体験は後者で、起震車に乗ったスタッフは、激しい揺れで転げ回りそうになっていました(テーブルにつかまっていないので、体に直に揺れがきます)。

 地震体験では、最大震度7の阪神・淡路大震災、東日本大震災などのほか、関東大震災など昔の地震、想定南海トラフ巨大地震の揺れ(シミュレーション)を体験できます。

 地震体験は、揺れ始めから終わりまで多くが「約1分間にプログラム」されています。初期微動の「コトコト」「ゆらゆら」「ゆさゆさ」「グラッグラッ」「グワっ」までが1分。ですので「震度7」の時間はそう長くありません。
 

東日本大震災の震源域

大震災では強い揺れが数分間
 激しい揺れは阪神・淡路大震災では15秒程度、東日本大震災では長く続いたところでは約190秒程度でした。東日本大震災の時、190秒間ずっと震度の揺れだったわけではありませんが、かなり長い時間激しい揺れが続きました。

 なぜ長い時間揺れるのでしょうか。地震は活断層の破壊で起きます。東日本大震災は、岩手県沖から茨城県沖にかけて南北約500km、東西約200kmの海底断層が破壊されて起きました。震源の宮城県の牡鹿半島沖から周りに断層破壊が広がり、ともにその激しい揺れも伝わって行きました。

 これだけ長い距離、広い面積で断層破壊が続くので、揺れる時間が長くなるわけです。(破壊のスピードは秒速2.5~3km)
 

南海トラフ 想定震源域

地震体験から学ぶこと
 本当の大地震は、起震車で体験したものよりずっと長い時間、激しく揺れます。

 南海トラフ巨大地震では、2分〜3分間揺れが続くとされています。

 実際にどうなるのかは、震源の位置と断層破壊の広がり方によって変わってきます。ですので「その時」にならないとわかりません。
 

自分が何をしなければならないのか考える

何をしなければならないのか
 まずは防災センターの地震体験や起震車で、体験してください。そしてそれよりはるかに長い時間激しい揺れがくることをイメージして、大地震に備えて自分が何をしなければならないのか、その時にどう行動すべきなのかを考えてください。

    ◇

 被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。

■五十嵐 信裕
 東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。
 

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