センバツで活躍誓う豊川・愛工大名電・宇治山田商業…"春の王者"目指すそれぞれの思い

2024年3月14日 17:02
18日に開幕する春の甲子園、センバツ高校野球。東海3県からは愛知の豊川と愛工大名電、そして三重の宇治山田商業の3校が出場します。それぞれの思いに迫りました。

東海3県から出場する3校

 冬場恒例の山道ダッシュでトレーニングを行う選手たち。

 2014年以来10年ぶりの甲子園を決めた豊川です。

 去年、秋の東海大会で初優勝。4試合すべてで2桁安打を記録するなど、打ち勝つ野球で頂点に立ちました。

 そんな豊川打線を牽引したのがプロ注目のスラッガー、モイセエフ・ニキータ選手(2年)です。

「打席に立つと何かやってくれると思わせる選手」(豊川2年 竹内蓮弥選手)
「ニキータに回せば何とかしてくれる」(豊川2年 鈴木貫太主将)

 ニキータ選手は181センチ、85キロの体格を生かしたパワフルな打撃で、秋の東海大会は打率6割2分5厘で、ホームランも記録しました。
 

筋力トレーニングに取り組むニキータ選手

力強いスイングの原動力は──
「自分の持ち味は打率を残せて長打やホームランも打てるところ。そういう所を甲子園の舞台で出したい」(豊川2年 モイセエフ・ニキータ選手)

 両親はロシア人ですが、生まれも育ちも愛知県。

 力強いスイングの原動力となっているのが、1年の冬から取り組む肉体改造です。

 本格的な筋力トレーニングに加え、食事もニキータ選手は「トレーニングの一つとして食べている」と話します。

「(体の)土台となるのが食事。白米はしっかり食べる。朝は500グラムで夜900グラム、1キロ食べた事もあります」(ニキータ選手)

 入学当時は66キロと細身だった体は2年間で約20キロも増えました。

「体重が増えたことで打球のスピードや飛距離が本当に変わって、(1年時)ホームランが出なかったのが2年生になってから2桁出て、そういう所は本当に変わった」(ニキータ選手)

 持ち前の打撃センスを開花させたプロ注目のスラッガーが、晴れ舞台での飛躍を誓います。

「(甲子園では)打率4~5割ぐらいは残して、ホームランは打ちたい。自信はもちろんあります」(ニキータ選手)
 

12年ぶり10回目の出場となる愛工大名電

2005年以来の優勝を目指す愛工大名電
 12年ぶりとなる春の大舞台に挑むのは、愛知私学4強の一角、愛工大名電。

 夏の甲子園経験者6人を擁し、投打にタレントをそろえる豊富な戦力で、2005年以来の優勝を狙います。

「前回(の春の選抜)はベスト8、その前では優勝という成績を残していて、愛工大名電は春に強いという自信がある。それを引き継いで、優勝目指してやっていきたい」(愛工大名電2年 山口泰知主将)
 

家族の悲願を叶えた小泉蒼葉選手

打っては4番の"攻守の要"
 三重県松阪市にあるフラワーショップにも、甲子園を待ちわびる人がいました。

「正直しんどいなって思う時はめちゃくちゃあったし、1人で車を運転しながら涙が出てくるなって時もあるんですけど、子供のために働くだけです」(小泉選手の母 和代さん)

 16年ぶりにセンバツ出場を決めた秋の三重王者・宇治山田商業は、豊富な投手陣を擁し、東海大会ではベスト4に進出、甲子園出場を手繰り寄せました。
 
 その立役者の一人が、1年生キャッチャーの小泉蒼葉選手。打っては4番バッターとして主軸を任されています。

「4番目に打つぐらいの気持ちで、気負わずにプレーしたい」(宇治山田商1年 小泉蒼葉選手)
 

小泉蒼葉選手(右)と兄の凪璃さん

兄は「越えていきたい存在」
 4番キャッチャーの小泉選手の心強い味方が、一緒にお風呂に入るほど仲良しな、兄の凪璃さん。

 野球部の2つ上の先輩でもあり、良き相談相手です。

「本当にこの時間でしか(野球の話を)あまり話さないので、こういう時間でゆっくり話したい」という小泉蒼葉選手。

 去年夏の三重大会決勝、1点を追う9回ツーアウトで打席に立っていたのは4番キャッチャーの兄、凪璃さん。

 最後のバッターとなり、甲子園まであと一歩届きませんでした。

 凪璃さんは引退後も部活に顔を出し、4番キャッチャーを受け継いだ蒼葉選手を指導。

 その甲斐もあり託した夢を弟が叶えました。

「キャッチャーは陰ながら勝ちに貢献してほしいので、弟にはそれを期待している」(宇治山田商3年で小泉蒼葉選手の兄 凪璃さん)
「同じポジションで秋は同じ4番を打ったので、越えていきたい存在ではある」(小泉蒼葉選手)
 

小泉蒼葉選手の母 和代さん

「自分らしくプレーすることが恩返し」
 そしてもう一人、蒼葉選手にとって欠かせない存在がフラワーショップを営む母の和代さん。

 4年前に夫を亡くしてから、一家の大黒柱として家族を支えてきました。

「朝起きるのは5時ぐらい。そこから弁当の用意して洗濯して、子どもたち起きて朝食。9時から(花の)市場の競りに行く」(母 和代さん)

 営業時間は夜6時まで、その後事務仕事を終えるとすぐに晩御飯の準備に取り掛かります。

 子供たちの体を大きくするため、米の消費量は一か月で30キロ。1日の平均睡眠時間は5時間、子供に尽くす毎日を送っています。

「母子家庭ということで不自由な思いをさせてしまっている。のびのび野球だけに集中してほしい。何も余計なことを考えないでほしい。食べたいものを食べてくれたら良いと思うし、何でも作ります!」(母 和代さん)

「大きな舞台で自分らしくプレーすることが、母への恩返しになる。いろんな人に感謝して甲子園でやりたい」(小泉蒼葉選手)

 野球一家の悲願を叶えた蒼葉選手。夢の舞台で大輪の花を咲かせます。
 

初戦組み合わせ

 豊川は19日の第1試合で阿南光(徳島)と、宇治山田商業は21日の第1試合で東海大福岡(福岡)と、愛工大名電は22日第3試合で報徳学園(兵庫)と、それぞれ対戦します。

(3月14日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』じもスポ!コーナーより)
 

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