名古屋城天守木造復元の市民説明会で“賛成派のサクラ”動員疑惑 市長特別秘書が市議に依頼か

2024年3月23日 10:01
河村市長が力を入れる天守の木造復元計画に関して、市が過去に開催した市民説明会で賛成派の市民を動員する、いわゆる「サクラ」行為があったとみられることがわかりました。

名古屋城の市民説明会で“サクラ疑惑”か

「市政全般に対する信頼を失った。名古屋市が行っているすべての説明会に対して信頼を失墜させた」(名古屋市議の声)

 先週、名古屋市議会の総務環境委員会で市議らからあがった厳しい声。その理由は4年あまり前に起きたとされる「市民説明会での“サクラ”疑惑」についてです。

 河村たかし市長「肝いり」の計画「名古屋城天守の木造復元」。

 石垣の保存や、エレベーターの設置などをめぐり、さまざまな意見が飛び交い、スケジュールの見直しが繰り返されています。

 名古屋市は事業の進捗報告や市民からの質問を募るため、これまで説明会を何度も開いています。

 このうち、2019年12月に開かれた説明会の直前、名古屋市議と“ある人物”の間で行われたメッセージのやりとりが明らかになりました。
 

メッセージのやり取り(2019年)※市議への取材を基に作成

「サクラ」行為に関する文面のやり取り
【メッセージのやりとり(2019年)】
『桜の方の顔写真と名前、送付してあります』(市議)
『ありがとうございます!確認致しました。うまく司会が3人ともに指名できればいいですが。。。しっかり伝えておきます』(特別秘書)

 やりとりの中にある「桜」の文字。市民説明会への動員、いわゆる「サクラ」行為にかかわる文面とみられます。

 メッセージの相手は、名古屋市の田中克和市長特別秘書です。やりとりをした市議は当時の状況をこう語りました。

「その開催のたぶん数日前、2~3日前だったと思うんですが。木造復元に関しての、いわゆる否定的な意見が多かったと (市長特別秘書の)田中さんが電話で述べられたわけです。12月3日中川区で開催されますけど、中川さんどのようにできますかっていうお話があったんですね。木造復元化に対して、いわゆるちょっと賛成的な発言をしていただける方を入れていただけないかと」(減税日本ナゴヤ 中川敦史 市議)
 

名古屋市 田中克和 市長特別秘書

河村市長の補佐役“特別秘書”が言及「市民に不信を招いた…」
 この電話を受けた中川市議は、説明会に参加する予定だった木造復元“賛成派”の市民3人に、質疑応答の際に挙手をして発言してほしいと依頼しました。

「3名いたので、サクラの方の顔とお名前を田中さんのメッセンジャーに送ってきましたよというやり取りを携帯のSNSでやりとりをした」(中川敦史 市議)

 田中氏が務めている「特別秘書」。河村市長を補佐する役割の「特別職」の公務員にあたり、名古屋市では「公務しか従事させない」と決められていますが、市長の意向に沿う形で「サクラ」を依頼するという行為は公平・公正に行うべき「公務」を超えた仕事ではないかとの指摘がなされたのです。

 田中特別秘書は――

「記録が残っているからそうですが、本当に実際、司会に依頼したかがわからないところでありますし、議員からのサクラがあつまったことに対してなんの疑問も呈しなかったことは大変問題であり、市民の皆さんの大きな不信を招いたところは深く反省」(名古屋市 田中克和 市長特別秘書)

 自身から呼び掛けた認識は「ない」、質疑の際に特定の市民を指名するように司会に依頼したかどうかは「わからない」と説明しました。
 

名城大学 昇秀樹 教授

「公務の範囲を超えている」と指摘
 地方自治に詳しい名城大学の昇秀樹教授は、今回の行為が事実だった場合、「公務の範囲を超えている」と指摘します。

「サクラがいることによって、一般市民の意見が誘導されてしまう危険性があるなら、それは極めて不適切、不適当と言わなければならない。公務員としてふさわしくない行動ということになります」(名城大学 昇秀樹 教授)
 

河村たかし名古屋市長

河村たかし市長は「サクラ」疑惑について――
 田中氏を特別秘書として任命した名古屋市の河村たかし市長は、直接の指示はしていないと、「サクラ」行為への関与は否定しましたが――

「どうしても、あんまりこういうこと言うと感じ悪いですけど、反対派の人の方がようけ来るわけ、こういうのは。両方の立場の人の意見を聞くようにせないかんわなという…。指示したことはない、ボヤキですわ。きちっとしていかないかんわなということで(特別秘書に)厳重注意した」(名古屋市 河村たかし 市長)

 市が行った他の討論会などにもサクラがあったのではないかと市民に疑念を抱かせかねない市民説明会での“サクラ”行為。

 去年6月に開かれた名古屋城バリアフリーに関する市民討論会では、差別発言が物議をかもしました。

 名古屋市によると、この討論会の参加者は住民基本台帳から無作為に抽出した市民だとしていますが、本当に動員の呼びかけはなかったのでしょうか。

「ほかにはありません名誉棄損ですよ。これ本当に。そんなもんないだろ当然。無作為抽出でやったんだから。当時1年前に市長から『説明会なので説明聞く人をいろんな立場の人を呼んだらどうだ』という話があって、それ以降は一切なかったと」(河村市長)

 名古屋市議会21日「市の信頼を失墜させるようなゆゆしき事態が引き起こされかねない」として、特別秘書に関する条例の見直しを検討する付帯決議を可決しています。

(3月22日15:40~放送メ~テレ『ドデスカ!+』より)
 

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