被災地の小学校で卒業式 先生からの涙サプライズ「いつのまにか時は流れ…」

2024年3月23日 13:01
3月19日。能登の桜は、まだつぼみのままです。石川県志賀町の富来小学校で6年生21人が卒業の日を迎えました。小学校に入学して、いつの間にか時が流れた6年間。あの日までは穏やかな毎日が続いていました。

川嶋あいさんと富来小学校の6年生

 1月1日。能登半島地震。

 富来小学校も校舎の壁が崩れ、授業はできなくなりました。教室は被災した人の避難所。

 登校ができない子どもたちに先生はオンラインで再会の場を設けました。

 授業が始まったのは1月25日。小学校は校舎の損傷が激しかったため、近くの中学校で授業をすることになりました。

 先生たちがこれまでと同じ環境で過ごしてほしいと考え、小学校の教室から掲示物を運んできました。

 久しぶりの再会を喜ぶ子どもたち。しかし、この日は「別れの日」でもありました。

 一緒にすごしてきた藤永枇大くんが家族と一緒に三重県へ避難することになったのです。

 「卒業式は三重になりそうです。こっちに戻ってきたいです」(三重県へ避難 藤永枇大くん)
 

「復興」と筆を走らせた富来小学校 6年 大谷羽那さん

大地震で暮らしが一変 校舎との突然の別れも
 大地震のあと、志賀町でも住民の暮らしが一変しました。原因は断水です。

 断水した地域では、近所同士、ビニールハウスに身を寄せて暮らす人もいました。

 断水が続く中、雪解けの水を汲む女の子。富来小学校、6年生の大谷羽那さん。

 羽那さんの特技は書道です。石川県の書初め大会で、4年連続で大賞を受賞する腕前。

 震災後、1人でいることに不安を覚えることもあったといいます。

 「文字を書いているときが一番安心できる」と学校に行けない間も筆を走らせていました。

 「能登の復興を願って」(富来小学校 6年 大谷羽那さん)

 学校の再開を待ちわびていた羽那さん。

 「思い出の校舎だったから、ちょっと悲しいです」(大谷羽那さん)

 6年間の小学校の思い出が詰まった校舎との突然の別れ。しかし、みんな願っていました。

 「卒業式は思い出の校舎で」
 

愛知県職員 福田賢史さん

「もう前を向いているなと感じた」
 長期化する避難生活。がれきの除去は少しずつ進みますが、多くの場所は、元日の地震直後のままです。

 避難所では震災直後から愛知県の職員が運営のサポートを続けています。

 全国から物資が届き、気持ちも前に向き始めているといいます。

 「大変な思いをされているので、前向きにする力添えをしたいと思って来た。皆さんと話をしている中で、もう前を向いているなと感じました」(愛知県職員 福田賢史さん)

 東海地方を襲うとされる南海トラフ地震への教訓は――

 「一番課題を感じるのはトイレ。高齢者の方が多い。あとは感染症関係。どういう風に生活を別にすればいいか、悩むところ」(福田さん)

 志賀町では、3月2日に断水が解消。ビニールハウスで暮らしていた人たちもハウスでの生活をやめることにしました。

 「懐かしいなぁって。ここに50日もいたもんね」(ビニールハウスに避難していた人)
 「早くて短かった。やっぱり家が落ち着く」(ビニールハウスに避難していた人)
 

みんなで練習した「旅立ちの日に…」を歌う富来小学校の6年生

6年間の思い出が詰まった小学校の体育館で卒業式
 3月19日。富来小学校の卒業式の日。

 地震で小学校の校舎が被害を受けたため、子どもたちは、富来中学校の校舎で過ごしてきました。

 しかし、卒業式の時間が迫るとみんなで移動。

 向かった先は、6年間の思い出がつまった富来小学校です。

 小学校の体育館は、比較的被害が少なかったため卒業式は、体育館の使用が許可されました。子どもたちの願いが通じました。
 
 卒業式では、みんなで練習した「旅立ちの日に…」を歌いました。歌詞は、大谷羽那さんが心を込めて書きました。
 

三重県へ避難 藤永枇大くん

「卒業式はどうだったか、ちょっと聞きたかったりします」
 富来中学校に戻り、最後のホームルーム。

 「俺からのプレゼントをあげよう」(富来小学校 6年担任 宮本隆朗先生)
 
 先生からプレゼントが渡されます。転校した彼にもプレゼントが用意されていました。

 三重県に引っ越した藤永枇大くんです。どんな気持ちで卒業を迎えるのか、聞いてきました。

 「卒業式はどうだったか、ちょっと聞きたかったりします。地震とかあって大変だったと思うけど、みんなで頑張ってほしいと思います」(三重県へ避難 藤永枇大くん)
 

歌手の川嶋あいさん

川嶋あいさんがサプライズ登場
 実は、先生からもうひとつのプレゼントがありました。

 卒業ソングでおなじみの川嶋あいさんが登場。

 学校から川嶋さんに手紙を送って実現した「サプライズ」です。

 「めっちゃびっくりして、うれしくて。会ってみたいなと思っていたので、うれしくて叫んじゃった。6年間楽しかったです!」(富来小学校 6年 干場優心さん)

 「最高の仲間と最高に楽しい時間を過ごせた。変わらず書道を頑張りたいです」(富来小学校 6年 大谷羽那さん)

 (3月22日 15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)
 

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