春闘“満額回答”相次ぐ 要求を大幅に上回る企業も「社員の処遇をあげて投資」 愛知

2024年3月14日 19:09
トヨタでは1人当たりの平均賃上げ額が比較可能な1999年以降で過去最高を記録するなど、賃上げについての“満額回答”が相次ぎました。中には要求を大幅に上回る驚きの回答もありました。
 春闘の「集中回答日」だった13日、約900社の労働組合が加盟する「連合愛知」の事務所では「賃上げ」回答の報告が次々と入ってきました。

 トヨタ自動車は職種や階級別に最高で月額2万8440円の賃上げと、ボーナスにあたる一時金7.6カ月という過去最高水準の要求に対し「満額回答」。

 連合愛知によりますと、13日午後3時の時点で賃上げの回答があった29の組合のうち、22の組合が満額回答だったということです。
 

中部銅鈑のYouTubeより

中部鋼鈑は要求を大幅に上回る回答
 中には組合側の要求を大幅に超える回答を出した会社もあります。

「中部鋼鈑」は組合からの賃上げ要求額が「1万2000円以上」としていましたが、13日の回答は「1万8500円」で組合からの要求を大幅に上回る驚きの回答となりました。

 一体なぜ、会社はこのような方針を打ち出したのでしょうか。

 従業員数約500人の中部鋼鈑は建設機械や建物、船舶などに使われる加工用の板を専門に製造する国内唯一のメーカーです。

 工場内にある二酸化炭素の排出量が比較的少ない「電気炉」という設備に注目が集まっています。

 「脱炭素」の時代も”追い風”となり業績は好調。

 2022年度の経常利益は123億円で2年前の約5倍になり、賃上げにも積極的になれたといいます。

「これからの利益をより確実なものにするために社員の処遇をあげて投資をするという考え方で今回の決断をした」(中部鋼鈑 松田将取締役)
 

中小企業 今年の“賃上げ”に関するアンケート(東京商工リサーチ調べ)

賃上げ「前年を超えそう」との回答は約11%にとどまる
 大手企業を中心に「賃上げムード」が高まる一方、今後会社側からの回答がピークを迎える中小企業はどうでしょうか。

 東京商工リサーチが去年12月に中小企業に対して行ったアンケート。

 2023年と比べて賃上げをどうするかということついて、「前年を超えそう」と答えたのは約11%にとどまります。

 連合愛知の可知洋二会長は「中小企業がより高い水準で賃上げし、そこで働く人たちにその効果で個人消費を上げていくサイクルが必要」といいます。
 

中京大学 内田俊宏客員教授

賃上げも、物価高を反映した「実質賃金」はマイナスが続く
 まちのスーパーでは――

「賃上げのスピードにモノの値段が上がる方がスピード感があり過ぎて追いついていない。どうしても『節約しないといけない』と日々感じている」(買い物客)
「(物価上昇は)実生活で負担に感じるぐらい感じている。(買い物では)前よりも必要か必要でないかをより分けるようになった」(買い物客)

 去年は多くの企業で賃上げが行われたものの、物価高を反映した「実質賃金」はマイナスが続いています。

 経済の専門家は――

「今後、個人消費が盛り上がるために、実質賃金がプラスであるためには中小中堅企業の賃上げ率も前提となるが、そのあたりも今後重要なカギになってくる」(中京大学 内田俊宏客員教授)

(3月14日15:40~放送メ~テレ『ドデスカ!+』より)
 

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