原子力災害から13年 イチエフの「今」 同じ構造を持つ5号機を取材 デブリ取り出しに向けた準備

2024年3月11日 19:31
未曽有の原子力災害から13年。福島第一原発の「今」を取材しました。

福島第一原発 通称「イチエフ」

 あの日、押し寄せた津波で、全ての電源を失った、福島第一原発、通称「イチエフ」。

 原子炉を冷やすことができなくなった末に――

 建屋で爆発が起き、放射性物質が外部へ放出されました。

 未曽有の原子力災害から13年。イチエフの「今」を取材しました。
 

1000を超える巨大なタンク

1000を超える巨大なタンク
 敷地にひしめく、巨大なタンク。その数は1000を超えています。

 中に保管されているのは「ALPS処理水」です。

 福島第1原発では溶け落ちた核燃料「デブリ」を冷やすため、水を入れ続けているほか壊れた建屋に、雨水や地下水が入りこむため、今も、高濃度の放射性物質を含む「汚染水」が発生しています。
 

汚染水から「ALPS」という設備を使い大半の放射性物質を取り除く

経済産業省「タンクを減らす必要がある」
 この汚染水から「ALPS」という設備を使い大半の放射性物質を取り除いたものが「処理水」です。

 しかし「トリチウム」は取り除くことができず処理水を入れたタンクが増え続けているのが現状です。

「これからより本格化する廃炉作業を安全に進めるためには、新しい施設を建設する場所が必要となり、ALPS処理水を処分し、タンクを減らす必要があります」(経済産業省のHPより)
 

海底トンネルを使い1キロ沖合で放出

処理水の海洋放出
 そこで、去年から始まったのが、処理水の海洋放出です。

 東電は、処理水に含まれるトリチウムの濃度が国の排出基準の40分の1未満になるよう海水で薄めた上で、海底トンネルを使って、1キロ沖合で放出しています。
 

防護マスクを着用した作業員の姿

1号機では防護マスクを着用した作業員が…
 約4000人が廃炉に向けた作業を行う、福島第一原発。

 核燃料が溶け落ち、水素爆発が起きた1号機では防護マスクを着用した作業員の姿が――

 震災から13年がたちましたが、1号機は骨組みがあらわな状態です。

 そしてがれきは残ったままとなっています。

 線量計をチェックしながら取材する記者。

 1号機から80メートルほど離れた、この場所で示した値は、約80マイクロシーベルト。

 ここに1時間にいると、胸のX線検査をわずかに上回る線量です。
 

高台で被害を免れた5号機へ

同じ構造を持つ5号機で取材
 1号機では、今後の燃料取り出しに向け、まずは建屋全体を覆うドーム形のカバーを設置してから、がれきの撤去を行う計画です。

 隣の2号機では、水素爆発は起きなかったものの、メルトダウンが発生。溶け落ちた核燃料「デブリ」の試験的な取り出しに向けた準備が進められています。

 2号機では、どのような作業が計画されているのか。同じ構造を持つものの、高台で被害をまぬがれた5号機で取材しました。
 

5号機の原子炉格納容器の中

格納容器の底の部分に、燃料デブリがたまっているか
 原発の心臓部にあたる「圧力容器」の真下。原子炉格納容器の中(写真は5号機)。

 同じ構造の2号機では、格納容器の底の部分に、燃料デブリがたまっているとみられています。
 

ロボットアームをいれる配管

燃料デブリを取り出す計画は――
 2号機は、格納容器の保守・点検のために設けられた配管にロボットアームを入れて、溜まった燃料デブリを取り出す計画です。

 しかし2号機は、配管の入り口が堆積物で詰まっていて、取り除く必要があることが分かり、東電は、試験的な取り出しを行う時期を3度延期。今年10月の開始を目指すとしています。
 

ロボットアームで燃料デブリを取り出す計画

取り出しの見通しは立っていない状況
 また、1号機も同じ構造ですが、こちらは遠隔操作で動くロボットを使って、格納容器の中を調査している段階です。

 燃料デブリは、メルトダウンした1号機から3号機で合わせて約880トンに上るとみられていますが、取り出しについての見通しは立っていない状況です。

(3月11日15:40~放送メ~テレ『ドデスカ!+』より)
 

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