有識者「動機の解明に重点」真相究明は法廷の場へ 陸自3人死傷事件で19歳男を起訴・実名公表 

2024年2月28日 17:39
去年、自衛隊の射撃場で隊員3人が訓練中に撃たれて死傷した事件で岐阜地検は19歳の元自衛官候補生の男を起訴するとともに実名を公表しました。

事件の起きた射撃場(岐阜市 去年6月)

 岐阜市にある、陸上自衛隊・日野基本射撃場で去年6月、射撃訓練中に隊員3人が小銃で撃たれ、当時52歳の1等陸曹と25歳の3等陸曹が死亡し、別の隊員1人が重傷を負った事件。
 
 逮捕されたのは当時18歳で、自衛官候補生だった男でした。

 関係者によりますと男は逮捕直後、「銃と弾薬を持って外に出たかった。弾薬を奪うために、邪魔な人を撃った」という趣旨の供述をしていたということです。
 
 

岐阜家庭裁判所

起訴までの経緯
 検察は、専門家による精神鑑定などを経て1月、強盗殺人などの非行内容で男を家庭裁判所に送致。
 
 家裁は2月19日の少年審判で刑事処分が相当と判断し、男を検察に送る「逆送」を決定しました。
 
 そして28日、岐阜地検は強盗殺人と強盗殺人未遂の罪で元自衛官候補生、渡辺直杜被告、19歳を起訴しました。

 起訴状によりますと渡辺被告は訓練中に弾薬を奪おうと考え、殺意を持って隊員3人に小銃4発を発射し2人を殺害、1人にけがをさせたとされています。

 岐阜地検は「事案の重大性や地域社会に与えた影響などを考慮した」などとし、改正少年法の「特定少年」として渡辺被告の名前を公表しました。
 
 岐阜地検は、認否を明らかにしていません。
 

丸山南山大名誉教授

氏名の公表について有識者はどう見る?
 少年法に詳しい南山大学の丸山雅夫名誉教授は被告の名前の公表について「訓練のための小銃を殺害に使っているわけだから、これは重大。しかも自衛官(候補生)という立場の少年が。警察官や自衛官は銃を所持することはありえるが、それを他人に向けて事件などではなく使用するというのは社会の中では想定外。社会の想像を超えていると言わざるをえない」

 高校生の頃から、自衛隊へ強い興味を示していたという、渡辺被告。

高校の同級生:
「高3の夏ごろ、岐阜県内の駐屯地の見学に行って、自衛隊内のカレーを食べたり寮の中を見たり、戦車の装備を見たり、いろいろ回った。自衛隊の装備に対する興味もそうですが、自衛隊の寮で生活してみたいとも言っていたので、それが理由かな」
 


 

被告の父親のコメント

 起訴を受け、渡辺被告の父親がコメントを出しました。

「被害者とそのご家族には、本当に申し訳ない気持ちで毎日おります。夢と希望を持って入隊した自衛隊で、なぜ息子が事件を起こしてしまったのか、ただ、その真相が知りたいという思いです」
 
 訓練中になぜ、弾薬を奪おうと考え銃の発射に至ったのか。
 
 究明の場は今後、法廷に移ります。

丸山雅夫南山大名誉教授:
「今回1番重要だと思われるのは、動機がよくわからないということだと思う。動機の解明に重点が置かれるであろう。動機がわかれば、その複雑さ、背景事情を含めてそれが解明される。今後社会がそういう問題にどう向き合うかという一つの指針にはなるかと思います」

《おことわり》
 メ~テレではこれまで、少年法で本人を推定できる報道が禁止されていたため実名報道を控えてきました。しかし、改正少年法で重い罪に問われるなどした18歳と19歳については特定少年として実名報道が可能になったため、今回の事件の重大性を考慮した上で実名で報道することを決めました。

(2月28日15:40~放送メ~テレ『ドデスカ!+』より)
 

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