伊良湖岬に集う野鳥愛好家が続ける渡り鳥の観察 活動を受け継ぐ人の“絆”
2023年11月14日 17:23
愛知県の伊良湖岬で、渡り鳥の観察活動を続ける人たちがいます。鳥たちが訪れる場所を守りたい。そんな思いで活動を受け継いでいく人たちの”ある絆”とは?
野鳥愛好家が渡り鳥を調査
愛知県の渥美半島の突端に、伊良湖岬があります。
「メジロ4です」
「48と21と」
夜明けとともに、飛び交う数字。みな、空を見上げています。
毎年秋になると、野鳥の愛好家たちが渡り鳥の数を調査しています。
梅村幸稔さんもその一人です。
「渥美半島はタカの渡りの中継地になっていて、秋になると全国で繁殖していたサシバ、ハチクマなどのタカの仲間が、冬越しのために南へ移動する通過ルートになっていて、何羽通っていくかの調査を全国でやっている」(梅村幸稔さん)
「メジロ4です」
「48と21と」
夜明けとともに、飛び交う数字。みな、空を見上げています。
毎年秋になると、野鳥の愛好家たちが渡り鳥の数を調査しています。
梅村幸稔さんもその一人です。
「渥美半島はタカの渡りの中継地になっていて、秋になると全国で繁殖していたサシバ、ハチクマなどのタカの仲間が、冬越しのために南へ移動する通過ルートになっていて、何羽通っていくかの調査を全国でやっている」(梅村幸稔さん)
三脚に固定されているのは、双眼鏡と望遠鏡に望遠レンズを着けたカメラ
渡り鳥の数を毎日集計し、全国のデータをHPで公開
がっしりとした三脚に固定されているのは、双眼鏡と望遠鏡に、望遠レンズを着けたカメラです。
「双眼鏡で発見して、望遠鏡で細かく確認して、カメラは記録用です」(梅村さん)
渡り鳥の数は、毎日集計し、全国のデータをホームページで公開しています。
「双眼鏡で発見して、望遠鏡で細かく確認して、カメラは記録用です」(梅村さん)
渡り鳥の数は、毎日集計し、全国のデータをホームページで公開しています。
伊良湖岬はタカの渡りで知られるが、減少傾向に
伊良湖岬は「タカの渡り」で知られるが、減少傾向に
伊良湖岬は、昔から渡り鳥の中でも特にタカの仲間が多く渡っていく、いわゆる「タカの渡り」で知られています。
しかし、年々タカの数が減っていると言います。
「5000羽出たらその日のうち、2000羽は海上を飛んでる感じ。そういう光景は20年くらいないです」(調査に集まった愛好家)
「当たりの日だと川のように幅広くどんどん渡っていくのが見えた」(調査に集まった愛好家)
しかし、年々タカの数が減っていると言います。
「5000羽出たらその日のうち、2000羽は海上を飛んでる感じ。そういう光景は20年くらいないです」(調査に集まった愛好家)
「当たりの日だと川のように幅広くどんどん渡っていくのが見えた」(調査に集まった愛好家)
辻淳夫さん(右)(「伊良湖のおじさんを偲んで」編集:辻淳夫より)
伊良湖で定期的な渡りの観察を始めた人物
いまから40年以上前の写真。
伊良湖で定期的な渡りの観察を始めたといわれる人物が、辻淳夫さんです。
ここで見た渡り鳥の光景に圧倒されて毎日、鳥を数え始めたといいます。
「昔からカウントをしていると、何年か前と比べるとだいぶ減っている。辻さんが長い間していて、絶やしてはいけないという思いがある」(調査に集まった愛好家)
伊良湖で定期的な渡りの観察を始めたといわれる人物が、辻淳夫さんです。
ここで見た渡り鳥の光景に圧倒されて毎日、鳥を数え始めたといいます。
「昔からカウントをしていると、何年か前と比べるとだいぶ減っている。辻さんが長い間していて、絶やしてはいけないという思いがある」(調査に集まった愛好家)
渡り鳥の中継地「藤前干潟」を開発からも守る
渡り鳥の中継地「藤前干潟」を開発から守る活動に力を入れる
1970年代、名古屋港では渡り鳥たちの飛来地となる干潟が、次々に埋め立てられていました。
「渡り鳥の最後の渡来地ですし、日本では1番たくさん鳥が来ている所で、埋め立て地がまわりで進んでしまって、ここしか残っていない状況だから」(辻淳夫さん)
以前から辻さんは、干潟の保全に動いていました。
伊良湖の活動を仲間に託して、国内有数と言われる渡り鳥の中継地「藤前干潟」を開発から守る活動に力を入れていきました。
当時、高校生だった梅村さんも、藤前干潟を守る活動に参加していました。
現在も干潟を守る会に所属し、仲間とともに若い世代に干潟の大切さを伝えています。
「渡り鳥の最後の渡来地ですし、日本では1番たくさん鳥が来ている所で、埋め立て地がまわりで進んでしまって、ここしか残っていない状況だから」(辻淳夫さん)
以前から辻さんは、干潟の保全に動いていました。
伊良湖の活動を仲間に託して、国内有数と言われる渡り鳥の中継地「藤前干潟」を開発から守る活動に力を入れていきました。
当時、高校生だった梅村さんも、藤前干潟を守る活動に参加していました。
現在も干潟を守る会に所属し、仲間とともに若い世代に干潟の大切さを伝えています。
梅村幸稔さん(左)と辻淳夫さん(右)
「辻さんの意志を継ぐじゃないけど…」
「藤前干潟はシギやチドリですけど、ここはタカの仲間。種類は変わるんですけど、同じように渡り鳥の中継地になる場所なので、辻さんの意志を継ぐじゃないけど、ここを見ていきたいなと思って通っています」(梅村さん)
辻さんは、2010年に脳梗塞で倒れました。
右半身を動かすことができず、言葉を発することもできなくなりましたが、それでもイベントに参加して後継者たちの活動を見守っています。
辻さんは、2010年に脳梗塞で倒れました。
右半身を動かすことができず、言葉を発することもできなくなりましたが、それでもイベントに参加して後継者たちの活動を見守っています。
辻さんの観察ノート
辻さんが伊良湖岬で観測をしていた頃の観察ノート
「辻さんの貴重な記録。初っぱなの第1号、1974年。ちゃんと伊良湖と書いてある」(梅村さん)
梅村さんは、辻さんが伊良湖岬で観測をしていた頃の観察ノートの存在を知り、目を通してみました。
ノートには、飛来した鳥の種類と数が、分単位で細かく書き込まれています。
辻さん本人に、この観察ノートを見てもらいました。
「辻さん、これ覚えてる? すごいよな。本当に細かく書いてあってさ、どういう飛び方していたとか、けっこう細かいこといろいろ書いてますよね。6時台の30分間で200羽。そこから400羽台の…7時台だけで500羽出ている。鬼のような。これよく数えましたよね。これどうやって数えてた?今よりも絶対数が多いですよね、飛んでた量は。すごく細かく見ているというか、観察眼の力が全然違う」(梅村さん)
梅村さんは、辻さんが伊良湖岬で観測をしていた頃の観察ノートの存在を知り、目を通してみました。
ノートには、飛来した鳥の種類と数が、分単位で細かく書き込まれています。
辻さん本人に、この観察ノートを見てもらいました。
「辻さん、これ覚えてる? すごいよな。本当に細かく書いてあってさ、どういう飛び方していたとか、けっこう細かいこといろいろ書いてますよね。6時台の30分間で200羽。そこから400羽台の…7時台だけで500羽出ている。鬼のような。これよく数えましたよね。これどうやって数えてた?今よりも絶対数が多いですよね、飛んでた量は。すごく細かく見ているというか、観察眼の力が全然違う」(梅村さん)
辻さんのメッセージ
貴重な記録の中に、辻さんのあるメッセージが
梅村さんは、10数冊ある貴重な記録の中に、辻さんのあるメッセージを見つけました。
「“渡りは生存をかけた旅”です。干潟もそうですよね。干潟に来る鳥たちも生存をかけた旅なので、いまに通じる何かがあったのかもしれない。藤前に来る鳥、シギやチドリたちは藤前干潟をはじめとした干潟を利用して渡りをする鳥なので、すごく生存をかけた旅になる。途中で餌場や休憩できる場所がなくなると、一気に渡りができなくなる。命かけてますからね」(梅村さん)
渡り鳥の観察を続けていくことは、渡り鳥と干潟を守ることにつながっていく――
梅村さんたちの観察は、これからも続きます。
(11月14日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)
「“渡りは生存をかけた旅”です。干潟もそうですよね。干潟に来る鳥たちも生存をかけた旅なので、いまに通じる何かがあったのかもしれない。藤前に来る鳥、シギやチドリたちは藤前干潟をはじめとした干潟を利用して渡りをする鳥なので、すごく生存をかけた旅になる。途中で餌場や休憩できる場所がなくなると、一気に渡りができなくなる。命かけてますからね」(梅村さん)
渡り鳥の観察を続けていくことは、渡り鳥と干潟を守ることにつながっていく――
梅村さんたちの観察は、これからも続きます。
(11月14日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)
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