児童の自主性重視、廊下で勉強もOK 名古屋市が取り入れるオランダ教育「イエナプラン」

2023年11月1日 17:51
名古屋市の小中学校の授業が今、変わり始めています。子どもの自主性を重視したオランダの教育を手本にしています。一体、どんな授業なんでしょうか。

自ら学習計画をたて勉強する子どもたち

 名古屋市東区にある山吹小学校。5年生の授業の様子をのぞいてみると、算数をやっている子もいれば、俳句を作っている子もいるなどそれぞれ学習内容が違います。いったいなぜでしょうか。

「イエナプラン教育のブロックアワーという授業を参考にしました。子ども自身が何を学ぶかどのように学ぶかどこで学ぶかということも含めて、自分で計画をして自分で考えて主体的に学習を進めるということを大事にしています。」(山吹小学校 山内敏之校長)

 イエナプラン教育とは、オランダで広がった教育で一人一人を尊重しながら自律と共生を学ぶ教育です。
 

廊下で勉強する児童

学習の仕方は自由、廊下で勉強する子どもも
 山吹小学校では、1週間ごとに子どもたちが自ら学習計画を立てます。週に5時間から15時間を「山吹セレクトタイム」として、自分で進め方を決めて学習する時間としているのです。

「今は国語の俳句を作り終わったので(計画通り)終わりそうもないので社会のレポートを作ってます。意外と自由に決めれるのでうれしい」(児童)「自分のやる気もでて、できるものからやれるから楽しくできるなと思います」(児童)

 学習の仕方や場所も子どもたちの自由です。床に座って勉強している子や、廊下を選んでで勉強する子も。どうして廊下を選んだかというと――

「静かな方が集中できるから」(児童)
 

意欲的に学習

自分で考え行動する力を育む
 友達と一緒に勉強する子もいて、自由でありながら、子どもたちは、責任感を持って取り組んでいます。高学年だけではなく、3年生は新しい教育を取り入れています。

「教室の横幅をはかってます。長さの授業で長さ調べてるところです」(3年生)

 自分で考え、行動する力が育ってきています。

「自分の個性を生かしながら、多くの人たちと力を合わせて課題解決をしていくそういう力を身につけてほしいなというふうに思っています。」(山吹小学校 山内敏之校長)
 

名古屋市教育委員会 宮嶋主任指導主事

教育方針は「子どもが中心の学び」
 名古屋市教育委員会では、9月に「ナゴヤ学びのコンパス」という新たな教育方針を掲げ、ここでも「子ども中心の学び」が重視されています。

「これまでは教師がしっかりと教えていくという教育が中心だったんですけど、これからは子どもたちが自立して学んでいくという姿を目指していきたいと考えています」(名古屋市教育委員会 新しい学校づくり推進室 宮嶋賢一主任指導主事)

 名古屋市では、2024年度から市内すべての公立小中学校などで「子ども主体の教育」を授業に取り入れていく方針です。教職員たちが海外や地方へ研修に行ったり、各学校で授業のやり方を研究したりするなどして、現在、授業改善が行われています。

「子どもたちは個別最適と言われるようにそれぞれのペースや興味や関心や能力などがそれぞれ個性としてありまして、大きな変化が起きるこれからの社会に向けて自己選択、自己決定していけるような自律して学んでいけるような子どもたちを育てるというような方向転換が必要だと考えます」(名古屋市教育委員会 宮嶋主任指導主事)
 

イベントを企画した伊藤勇太さん(中学3年生)

中学校の”サークル活動の日”は「eスポーツ」
 一方、こちらは名古屋市中川区の八幡中学校。授業後の教室に、大きなスクリーンが登場し、熱い戦いが始まりました。

 この日、行われたのは大人気のレースゲームを使ったeスポーツ大会。八幡中学校では、毎週水曜日の授業後は部活動をなくし、生徒主体で活動するサークル活動の日としています。

「生徒たちがこれやりたいなっていうことを言ってきたら計画から何から何まで生徒主体でやれるものだったら、やってあげるよっていうのがサークル活動」(八幡中学校 高橋幸夫校長)

 サークル活動では、やりたい内容を生徒から募集し、採用された企画は提案者が準備や当日の運営などを行います。

 この日のイベントを企画した生徒は。

「高校とかでゲームはできないからやれるうちに楽しいことをやりたいなと思ったからです。珍しいじゃないですか、なのでこういう活動があってよかったと思います」(中学3年生 伊藤勇太さん)
 

教員も生徒も一緒に楽しむ

部活動の民間委託を機に生徒主体の活動へ
 名古屋市では、現在、中学校の部活動は教職員指導のもとで行っていますが公立小学校では、教職員の負担軽減などを理由に、2021年から部活動を民間に委託して実施しています。

 こうした流れの中、生徒主体で活動できるようにすることで、授業後の時間を使った活動を残していくことも狙いの一つだといいます。

「授業後の部分もたった1時間、1時間半でも学校って楽しいなって思ってくれたらいいですし、我々教員も一緒に楽しめる、生徒全員で一緒に楽しめる時間がどんどん増えていくといいなと思います」(八幡中学校 高橋校長)

(11月1日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)

 

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