EVの普及で土鍋の製造がピンチ…ジンバブエからのペタライトが供給不安定 三重県

2023年10月10日 19:32
三重県が国産のシェア8割を占めるという“土鍋”にある異変が起きています。電気自動車=EVの普及が進んだことが影響しているそうです。どういうことなのでしょうか?
 寒くなると、恋しくなるのが鍋。

 この鍋料理に欠かせない”土鍋”に、ある異変が起きています。

 四日市市にある土鍋メーカー「銀峯陶器」。四日市市の地場産品「萬古焼」の土鍋を作っています。
 
 県によりますと、萬古焼は、国内土鍋生産のうち8割ほどのシェアを占めています。
 
 その特徴は高い耐熱性で「割れにくい土鍋」として知られています。

 その耐熱性を生み出しているのが「ペタライト」と呼ばれる鉱物です。

 土鍋の土に混ぜることで耐熱性が高まります。60年以上前に全国に先駆けて使われるようになりました。

 「萬古焼が国内の土鍋の8割を占めるようになるには、ペタライトがなくてはならなかった。ペタライトがあったおかげで萬古焼がそこまでのシェアを占める。今の産地がある、そういう大事な原料」(萬古陶磁器 工業協同組合 熊本哲弥理事長)
 

ペタライト

ペタライトは土鍋の材料の40~50%を占める
 銀峯陶器では土鍋の材料の40~50%を占めるペタライト。

 国内では採れないため、アフリカのジンバブエなどからの輸入に頼っています。

 このペタライトが、世界的なある流れによって供給が不安定になっているといいます。

 それが、電気自動車の普及です。

 自動車の電動化によりリチウムイオン電池の需要が高まった影響で、リチウムが含まれるペタライトの需要が急増。
 

萬古陶磁器 工業協同組合 熊本哲弥理事長

「ペタライトがリチウムの原料になるとは想定していなかった」
 さらにジンバブエの鉱山を中国系企業が買収したことで、2022年の2月に急遽、日本向けの輸出を止めることを告げられました。

 「まさかペタライトがリチウムの原料になるとは想定していなかった。供給が切れることはないだろうと思っていたが、中国の会社に買収されて、全面的にストップとなり非常に驚いた」(熊本理事長)

 来年度からはジンバブエの鉱山で日本向けの出荷が再開される見通しですが、値段がこれまでの4~5倍になる恐れがありジンバブエからも予定通り輸出されるか不安定な状況が続きます。

 「ジンバブエの鉱山からのペタライトがきちんと入荷できるまでは綱渡りが続くのかなと思います」(熊本理事長)
 

ペタライトの代わりとなる原料や使用料を減らす研究を行う

「原料の問題は克服しないといけない」
 三重県はペタライトの代わりとなる原料や使用量を減らす研究を10年ほど前から行ってきました。

 ペタライトを混ぜる量や、加える物質を変えて土鍋を作り、耐熱性の試験などを行っています。

 これまでの研究では、酸化亜鉛などを1~2%ほど原料に加えることで、ペタライトを使う量を最大で半分ほどに抑えながら、これまでと同じ耐熱性を維持できることがわかりました。

 「地域の重要な産業の一つである萬古焼が持続されるためには、原料の問題は克服しないといけない。業界を揺るがす問題なので、県も産業界も連携しながら、この局面を打開しないといけない」(三重県工業研究所 新島聖治さん)

 (10月10日 15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)
 

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