エビじゃない"エビ"誕生!? プリプリ新食材に込めた社長の思い「アレルギーの妻に食べさせたい」

2023年10月3日 17:25
エビそっくり!でもエビではない!? キーワードは「海のない県でエビを作る」、岐阜の企業が作り出したアレルギーフリーの新食材に込められた思いとは。
 ふわふわタマゴにのったエビチリに、色鮮やかなシーフードパスタ。

 食卓に並ぶとうれしいエビ、でも実はエビではないんです。

 「本物のエビではなくて代替エビ。エンドウ豆のタンパク質とこんにゃく芋からとれますマンナン粉が主成分で食感と見た目を作り上げています」(イビデン物産 久保修一 社長)
 

代替エビの特徴

エンドウ豆&こんにゃく芋⇒エビ!?
 正体は、こんにゃくのプリプリ感を生かした新食材。

 開発したのは、岐阜県本巣市の乾燥食品製造会社「イビデン物産」。

 主にカップ麺の具材となるカマボコやナルト、ふりかけなどを手がけています。

 「かまぼこを蒸す・加熱する・冷凍・カットしていくというプロセスを経ることによって食感がいろいろとコントロールできるんですね。枯渇資源の問題を考えていくと、持続可能な食ということに着目してものづくりをしてまいりました」(イビデン物産 久保修一 社長)
 

農林水産省調べ

減少する漁業・養殖業の生産量…地球温暖化の影響も
 農林水産省によると、2022年の日本の漁業・養殖業の生産量は約385万トン。

 2021年に比べ、31万トン以上の減少に。

 地球温暖化による海水温の上昇などが影響しているといわれています。
 

岐阜で生まれた「代替エビ」

完成まで約1年、試行錯誤を重ねて誕生した「代替エビ」
 海の資源を守るため、経験と技術を生かして今年5月に岐阜で生まれた「代替エビ」。

 完成まで約1年、試行錯誤の日々が続きました。

 「誰も絶対おいしくないと買わないというところで、プリプリにしながら食感の中にエビの繊維質をどうやって入れ込むかっていうところが1つの難しさでした」(イビデン物産 久保修一 社長)

 食感はもちろん、丸まった形を作るために加熱の温度などを何度も調整したと言います。

 さらに、こだわりは見た目にも。

 エビらしい色を、着色料ではなく、トマトの色素で表現しました。
 

甲殻類アレルギーの歩さんと久保社長

きっかけは「甲殻類アレルギーの妻にエビを食べさせてあげたい」
 開発のきっかけは久保社長のある思いでした。

 「妻が甲殻類アレルギーで、やっぱり家族で食卓で同じものが食べられないというところで、寂しい思いが私自身ございまして…」(イビデン物産 久保修一 社長)

 妻の歩さん。小さい頃にカニを食べて、アレルギー症状が出ました。

 「じんましんがひどかったんです。それから甲殻類は避けていたんですけれども、10年ぐらい前からエビにもアレルギーが出るようになりました。まさかエビにもっていう感じでした」(歩さん)

 それでも、家族にはエビが入った料理を作っていたそうです。

 「私が食べられないことで子どもたちが食べないというのは嫌だったので、エビを入れる前の状態のものを自分用に取り分けておいて、そのあとにエビを投入して家族の分にというふうに工夫してました」(歩さん)
 

「代替エビ」づくしの夕食

 「代替エビ」プロジェクトは、そんな妻のためにスタート。

 この日は特別に、代替エビで夕食を作ってもらいました。

 「背わたを取ったりとか殻をとったりする手間が全くないのでとっても便利だと思いました」(歩さん)
 

同じ料理を食卓で囲む「大切なひととき」

食卓で同じ料理を囲む幸せ「食べられない人が食べれるものを作る喜び」
 茶碗蒸しにしいたけの肉詰め、天むすからサラダまで全て「エビ」入り。

 同じ料理を食卓で囲む、久保社長が願った「大切なひととき」です。

 「食べられない人が食べれるものを作るというこの喜びって、すごいいいなと。妻も喜んでくれて非常によかったと思っています」(イビデン物産 久保修一 社長)
 

名古屋のカフェでメニュー化へ

代替エビをカフェのメニューに!緊張の打ち合わせ
 9月、久保社長が訪れたのは、名古屋のカフェ。

 目的は、消費者の需要を知るために代替エビをメニュー化すること。試作品を持参し、初の打ち合わせに臨みます。

 用意したのは、代替エビとアボカドのオープンサンドです。

 「臭みが少ないなと。こんにゃくというところで、においがあるか気になっていたんですけど食べやすいなと、食感に集中できるという印象があります」(Fab Cafe Nagoya 甲斐慶太 ストアマネージャー)
 

アレルギーフリーの新食材

エビプリンにエビショートケーキ…「罪悪感のないスイーツ」が誕生!?
 他にも、代替エビの大きさや味の調整、保存方法といった質問に1つ1つ答えていきます。

 結果は、思わぬ展開に…。

 「原材料がこんにゃくなのでエビプリンとかエビショートケーキとか、カロリーを気にせず罪悪感のないスイーツとして売り出すのも面白いなと。是非ともメニューにしてプリプリ食感をほかの人にも知ってもらいたいなって思います」(Fab Cafe Nagoya 甲斐慶太 ストアマネージャー)
 

エビがスイーツになるかも

 「スイーツにしては」という提案が!

 早ければ、2024年春のお披露目を目標に、正式なメニュー決定に向けて今後も意見交換していくことになりました。

 「エビをスイーツにという切り口って全くなかったんです。1つの発想の転換になったなと思っています」(イビデン物産 久保修一 社長)
 

すべての人に健康と福祉を

一人の笑顔からみんなの笑顔へ、代替エビが作る「食の未来」
 「一人の笑顔が見たい」、そんな願いから生まれた小さなエビは今、「たくさんの人の笑顔」を作る大きな糧になろうとしています。

(10月3日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)
 

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