名古屋市の愛知「県民の日」離脱騒動に市議会で疑問の声相次ぐ 「河村たかし市長の政治的介入」との意見も

2023年9月25日 20:09
名古屋市は、愛知県が定めた「県民の日学校ホリデー」を離脱すると表明していましたが25日、一転して11月24日の休校日を「県民の日学校ホリデー」として実施することを明らかにしました。
 「変える理由はなかっただろうと察すると、『市長が変えてしまった』と捉えられても仕方がない」(名古屋市の田辺雄一議員)
 
 25日開かれた名古屋市議会の教育子ども委員会。

 議論が行われたのは、子どもたちにかかわる「県民の日学校ホリデー」についてです。
 

愛知県に反発する河村市長(9月11日)

河村市長の「離脱」表明で混乱生じる
 「県民の日学校ホリデー」は、愛知県が進めている「休み方改革」の一環として、今年度から導入された制度です。
 
 県内の公立学校が、11月21日から27日までのうち、平日の1日を「休日」にするというものですが、この制度に“待った”をかけたのが河村市長です。

 河村市長は名古屋市の学校の休みを県が主導して決めることに異論を唱えます。

 「県が言ったとおりに休んだら、日本の教育史にとんでもない汚点を残すと、それほどまでのこと。名古屋は”愛知の植民地”ですか?情けない。休むのは認められんと。これが私の感覚」(9月11日の名古屋市の河村市長の発言)

 河村市長は“離脱”を表明します。

 しかし、名古屋市教育委員会は、すでに今年の11月24日を「休み」にすると保護者らに通知していました。
 

9月14日の市議会本会議

一時、名古屋市独自での「休校」を実施する方向へ
 市教育委員会によると、河村市長には去年の12月に「口頭」で報告。
 
 河村市長は「報告された認識はない」と主張しました。
 
 この“離脱”について教育委員会の坪田知広教育長は14日の市議会本会議で「11月24日の一律学校休業につきましては『県民の日学校ホリデー』としての制度としてではなく、子どもたちのことを考えて実施するものでございます」

 市教育委員会は「県民の日学校ホリデー」とは別の、市独自の制度として休校を実施すると説明していました。
 
 

「混乱を招いた」と陳謝する坪田教育長

市長の政治的介入がなかったのかが争点に
 25日の名古屋市議会の教育子ども委員会では、離脱をめぐって、市長の「政治的介入」がなかったのかなどが教育委員会に問われました。

 「教育委員会が権限を持って参加を決めたならば市長の意向により、『県民の日学校ホリデー』から離脱する必要がなくて、当初の考えを貫くべきではないのかと思います」(渡辺康徳議員)

 これに対して教育委員会の担当者は「市長と教育委員会が対等な執行機関同士という立場で、市長の大変強い思いを感じた」

 田辺議員は「教育委員会で決めたことを首長が介入して変更させてしまったことになるのではないか。市長が日本教育史に汚点を残すとまで言っている。しかし私に言わせれば、日本の教育史に汚点を残したのは市長のほうだ。教育長が専決事項として権限の中で決めたことをたった1日30分の会議で変えさせてしまった」

 坪田教育長の意見が求められると…

 「私としては昨年の段階では市長に了解を得たものと考えておりました。しっかりと意思疎通ができていなかったことにより混乱を招いたことを反省しております。私が専決で決めたことでございますので、私の判断ができるというふうに考えますが、この間、市長とも何度も協議・調整をしましたのでこの場で直ちに私の判断をお伝えすることについてはご容赦いただきたいと思います」と説明。

 この発言後、委員会は一時休会になり坪田教育長は河村市長の元へ…。
 

「県民の日学校ホリデー」の枠組みに戻すと表明

混乱収束のために教育長がした決断は…
 約1時間後に再開されると…

 坪田教育長は「当初、『県民の日学校ホリデー』の趣旨に賛同して、今年の11月24日を学校休業日にして私の専決事項として決定しております。議会や市長だけではなく市民や学校現場で混乱をきたしてしまったこと、これを収束するには私の当初の考えを貫かせていただくしかないので、そのようにさせていただきたいと私の決意をお伝えいたしました」
 
 一転して、11月24日を「県民の日学校ホリデー」の休校日とすることを表明しました。
 

「異常事態」と憤る河村市長

納得のいかない様子の河村市長
 一方の河村市長は「信じられん事態で、本当に異常事態ですね。私は適正な手続きをずっととっておりまして、自由に発言されて教育長もまとめられた。違う結論にころっとなったことはショックですね」
 
 今回の騒動に市議からは「独自の制度で実施すると答弁があってから数日間で何があったの?という感じ」という声や「当然だ。政治からの独立性が保たれてよかった」という声が聞かれました。

 2024年度以降の実施については、今後検討していくとしています。

(9月25日15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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