IQ130以上「ギフテッド」 苦手なことも生徒に合わせて、子どもの個性を生かす教育現場

2023年8月30日 16:58
特別な才能を持った「ギフテッド」と呼ばれる子どもの教育。アインシュタインやマイクロソフト創設者ビル・ゲイツ氏も「ギフテッド」と言われていますが、子どもたちの特別な才能を生かす教育が身近な場所でも進められているんです。

中学3年生・荒井玖満さん

 素早い手さばきで、立体パズルのすべての面を揃えるという特技を披露してくれたのは愛知県江南市に住む中学3年生・荒井玖満さん。

 勉強している問題集を見せてもらいました。

 「数学2検定のための対策とか、数学2Bをやっています」(荒井玖満さん)

 中学3年生にして、すでに高校レベルの問題をすらすらと解くことができ、現在は高校2年生レベルの数学検定2級に挑戦中だといいます。

 「中学校入ってからくらいかな?塾に高校の参考書とかいっぱいあるじゃないですか、そういうのを見ていて、『これ欲しい』みたいな」(母・久美子さん)

※「数学2検定」「数学2B」の「2」の正式表記はローマ数字
 

検査表

“他の子と何かが違う”違和感の結果は
 “他の子と何かが違う”と感じたのは小学校入学前。

 検査をしたところ、発達障害の特性が見られたといいます。

 「具体的に何か抽象的なことを表現するのが、ちょっと得意ではない感じという結果で。言葉の表現力、思っていることがうまく言葉に出ないという…」(母・久美子さん)

 検査表を見せてもらうと、グラフが大きくジグザグになっています。

 発達障害の子にはこうした凸凹が見られるそうです。
 

処理能力はIQ139

IQ139! 特定の分野で突出した能力を持つ子ども「ギフテッド」
 しかし、苦手なことがある一方、特別な才能があることもわかりました。

 「突出しているのが算数って書いてあるんですけど、数的なものの処理する能力がものすごく高くなっているという結果ですね」(母・久美子さん)

 特に高かったのが処理能力、IQを見てみると、なんと139と書かれています。

 一般的なIQは100と言われているのに対し、IQ130以上で数学や言語・芸術など、ある特定の分野において突出した能力を持った子どもは「ギフテッド」と呼ばれています。

 「突出した部分があるなら、親としては伸ばしてあげたいなっていうのはあります(母・久美子さん)

 「小学校・中学校ですごく恵まれていたと思うんですけど、どこもそんな感じではない、必ずしもそうではないので、周りの理解がどれぐらい進むかというところで変わってくるんじゃないかなと思います」(父・清司さん)
 

特定分野で突出した能力を持つ子ども「ギフテッド」

名古屋市教育委員会でも研究進む
 文部科学省では、2023年度からこうした「特異な才能のある子ども」への教育支援を始めました。

 現在、名古屋市教育委員会など全国7つの教育機関で授業内容や支援策についての研究が進められています。

 名古屋市教育員会では、小学校1校を協力校として、「すべての子どもが尊重される授業」を行っています。

 週に5時間から10時間、子どもたちが自分の関心や能力に合わせて勉強する科目を選びます。

 そして、自分で学習計画を立てて学んでいます。
 

名古屋市内にある塾

「ギフテッド」「発達障害」など個性のある子ども対象の塾も
 「ギフテッド」や「発達障害」など個性のある子どもを対象にした塾が最近、増えてきているんです。

 「こだわりが強かったり、1つの分野ばかり勉強したいとか、あとはその個性がゆえに普通の教育をなかなか受け入れられないという子たちに対しての塾となっています」(フォレスト個別指導塾 撹上雅彦 代表)

 塾には現在、約80人の生徒が通っていて、授業はすべてマンツーマン。

 自習スペースも設けられています。

 得意なことだけでなく、苦手なことも生徒の個性に合わせて授業を行っていることが特徴です。
 

英単語を5回ずつ書く課題

苦手な部分もひとつの個性「個性も特性も認めてあげることが大切」
 この日、自習に訪れていた小学6年生。

 覚えることが苦手だということで英単語を5回ずつ書く課題を出しました。

 「ちょっと英語を覚えたりとかするのが忘れちゃう子なので、繰り返しどこかでやっていかないと難しいですね。授業でも毎回毎回テストやってるもんね。自習来た時も何か覚えるもの出して覚える習慣を」(フォレスト個別指導塾 藤井将司 教室長)

 苦手な部分もひとつの個性として向き合います。
 

「個性も特性も認めてあげる」

 また、この日、授業がある「ギフテッド」の特徴がある小学3年生のために才能を伸ばす授業の準備をしていました。

 「普通の3年生の学校のレベルの内容だと秒でやっちゃう子だと思います。ちょっと考えさせる問題だったり、答えがすぐ出ないようなものを、なるべくあえて意識して作るようにしているので、そうではないと知的好奇心が満たされずに帰っちゃう子なのかと思って、こんな形で組んでいます」(フォレスト個別指導塾 藤井将司 教室長)

 それぞれの個性により、学校の授業が合わず不登校になる子どもも多いといいます。

 「個性の部分とIQの部分、これの掛け算が必要だと思うんですね。その子の個性を尊重してあげて、IQの部分は能力の部分なので、IQの部分が低ければどうやって補ってあげるのか、高ければどうやってもっと伸ばしてあげるのか、個性の部分も特性の部分も認めてあげることがとても大切なことだと思っています」(フォレスト個別指導塾 撹上雅彦 代表)

(8月30日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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