27日に投開票が行われた愛知県長久手市の市長選挙で、愛知初の女性の自治体トップが誕生。家族一丸となって戦った選挙戦の舞台裏に密着しました。

　27日に投開票が行われた愛知県の長久手市長選挙には、いずれも無所属で新人の3人が立候補。

　佐藤有美さん（45）は、12年間務めた市議会議員としての実績や18歳までの子どもの医療費無償化などを訴え、初当選を果たしました。

　愛知県では初の女性の自治体トップとなります。

　一夜明け、佐藤さんは――

　「朝になって新聞を読んだらたくさん私の記事が載っていたので、本当に夢ではなく現実だということを受け止めまして」「市長になっても自分が市民の一人であることも忘れずにそして多くの市民の声をしっかり聴いて、市民の願いが反映される街づくりをしていきたいと思っています」（佐藤有美さん）

　市長選挙が告示された今月20日。

　佐藤さんの事務所では、長女の萌花さん（14）、長男の領馬さん（20）も手伝いに入り、家族が一丸となって選挙戦に挑みます。事務所には萌花さんの発案で作ったメッセージボードが。

　1日の終わりの作戦会議には、領馬さんと萌花さんも参加。その後、家族4人で夕食へ。家族からは、厳しくも温かい励ましの言葉がかけられます。

　「やっぱりマラソンと一緒だから止まっちゃだめ」（夫の達彦さん）
　「止まってないよ！止まってない！ぜんぜん止まってません！！」（佐藤有美さん）
　「ちょっと弱気になってるから、ここからもう一段階上げてかないと。これまで（4回の市議選挙を）乗り越えてきたわけだから、できないわけじゃない」（領馬さん）

　家族そろって食べたメニューは、「選挙に勝つ」ための「とんかつ定食」でした。

　佐藤さんが市長選への立候補を表明した7月から、晩ご飯は、家族が準備することが増えたといいます。

　「娘が作ってくれたり、夫が買ってきてくれたり、息子がお米だけ炊いてくれたり」（佐藤有美さん）
　「僕が生姜焼きを2回作りました。作り方だけ聞いて代わりに作る」（領馬さん）

　佐藤さんは、4月に行われた市議選で4回目の当選を果たしたばかり。市議の職を失っての出馬に、家族には不安もありました。

　「もちろん最初は、本当にできるのかなっていう気持ちはあったんですけど、12年間市政を見守っていた立場なので。お母さんならできるだろうっていうことを思ったから、出てもいいよってに言いました」（領馬さん）

　「この家族だからこそ、私は12年前に町議会議会の議会選挙に出られた。今回市長選に出ることができたのも、家族がおかげだと思っています」（佐藤有美さん）

　そして迎えた投開票日。7192票を獲得し、初当選を果たしました。

　「家族も本当にこの1カ月半、生活をすべて私の選挙準備に集中させてくれたので、本当に家族には大変感謝しております」（佐藤有美さん）

　バンザイの後、領馬さんが思わず抱き着いて祝福します。

　「（ハグなんて）普段はまったくしないです。人生で初めてでした。これまでの成果が出たということが本当にうれしくて」「僕らからはお母さんですけど、長久手市の全員に誇りに思ってもらえるような、そんな市長になってくれたらうれしい」（領馬さん）

　初の女性市長が誕生した長久手市。人口6万人あまりで、住民の平均年齢は41．2歳と若く、名古屋のベッドタウンとして発展してきました。

　2005年には「愛・地球博」の開催地となり、「ジブリパーク」には11月、新エリアのオープンが予定されています。

　また、大型商業施設や大学も多く、先日、住宅メーカーが発表した「街の住みここちランキング」では、全国2位にランクインしています。

　そんな長久手市の市民に、普段の生活で感じる課題や新市長への期待を聞きました。

　「私はスポーツをやっているので、スポーツをもっともっと盛んにしてほしい思いがある」
　「若い街と言われているが、私の印象は、福祉のほうに力を入れていて、もう少し子育てや教育に力をいれてほしい」
　「小学校によって、放課後子ども教室がある学校とない学校があったりするので、そういうのが全部にあると助かるなと思う」

　こうした市民の声に、佐藤さんは――

　「保育や教育の環境整備は市の仕事なので、今まで20年間子育ての中でもっとこうすればいいな思うようなことがたくさんあるので、それを反映させていきたい」「仕事と子育てが両立できる長久手市にしていきたい」

　愛知初の女性市長となる佐藤さんの任期は、来月18日から始まります。

（8月28日15:40～放送 メ～テレ『アップ！』より）