「日本語話せない」外国籍の子どもにどう教える? 愛知が最多 日本語指導が必要な外国籍児童

2023年8月28日 17:55
愛知県は、日本語教育が必要とされる子どもの数が全国で一番多いんです。簡単な日常会話も難しい子どもたちに、日本語を覚えてもらうための取り組みを取材しました。
 夏休み真っ只中の小学校。教室には、勉強をする子供たちの姿がありました。

 授業を受けているのは、全員外国籍の子どもたち。勉強しているのは「日本語」です。

 文部科学省によりますと、愛知県内で「日本語指導が必要な外国籍の児童や生徒」は、約1万700人で全国で最も多くなっています。

 愛知県内では、仕事などで来日後、日本に定住する外国人が多いことなどが背景にあるといいます。
 

日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数が多い都道府県(文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況に関する調査」令和3年度)より

約4時間の日本語の授業
 日本語の教育については、自治体にゆだねられます。

 豊明市では10年前から、豊明市を中心に外国籍の子どもに教育支援事業を行うNPO法人「プラス・エデュケート」に日本語指導を委託しています。

 子どもたちは、普段日本人の子どもと同じ小学校に通っています。

 学校があるときは、午前か午後に約4時間の日本語の授業を受け、それ以外の時間は、日本人の児童と同じ授業を受けます。
 

イラストを使った授業

イラストを使って日本語の授業を
 授業を受ける子どもたちの多くは、日本にきて1年未満。

 子どもたちは日本語がわかりません。

「お子さんは親の都合で連れて来られている。母国で日本語を学んできたという子はほとんどいない。しかし学校には行く。全く日本語がわからない子たちがいきなり教室に入っても非常につらい毎日になる。それが不登校や引きこもりになるのではないか」(NPO法人プラスエデュケート 森顕子 理事長)

 出身地は、バングラデシュ、ベトナム、フィリピンなど国籍はバラバラ。

 母国語が違う、日本語がわからない子どもたちにイラストを使い、授業しているといいます。

「彼らは来日したとき、言葉を知らないから、言葉を話せば話すほど、恐怖心を与える。わからないから。ノンバーバル。言葉を使わないコミュニケーションが大事。表情や声のトーンに気を配って、彼らのする表情やしぐさを使ってコミュニケーションをしていく」(森顕子 理事長)
 

小学1年生のファム・カイン・ゴックさん

保育園では日本語わからず「見よう見まね」
 授業は、約3カ月。日常会話が話せる程度まで上達させます。

 そこにもある理由がーー

「日常会話ができるまでに1年も2年もかかっちゃうと、それまでに友達もできないし、学校がつらくなっちゃうので、なるべく早く上達させる」(森顕子 理事長)

 まもなく授業を終える、小学1年生のファム・カイン・ゴックさん。

 2022年11月、父親の仕事のためベトナムから日本にやってきました。

 来日直後、保育園に通いましたが、日本語がわからず見よう見まねで過ごしている状態で、小学校入学後、日本語の授業を受け始めました。
 
 家では「ベトナム語」です。

 ゴックさんのお母さんも日本語が話せません。

「子どもたちは、学校では日本語を使うわけなんですけれども、家ではそれぞれの言葉を使う。お父さんやお母さんとはベトナム語だったり、ポルトガル語だったりを使うわけですから、日本語というのは外で使う言葉。きちんと教えてあげないと理解が難しい」(森顕子 理事長)
 

小学1年生のファム・カイン・ゴックさん

授業受けて3カ月 日本語の宿題も一人でできるように
 ゴックさんも当初はまったく日本語を話すことができませんでしたが、3カ月たった今は、日本語の音読や宿題も一人でできるようになりました。

何歳ですか?
「6歳です」(ゴックさん)
日本語の勉強は楽しいですか?
「楽しいです」(ゴックさん)

「ゴックちゃんが日本に来たばっかりで、日本語がわからないことが心配だった。今は心配していない。ゴックちゃんは日本語が上手」(ゴックさんの父)

「少子高齢化がとまらずに進んでいくのであれば、外国ルーツの子どもたちの存在は非常に重要になってくると思う。子どもたちが日本で夢をかなえようとか明るい未来を考えてくれているから、その子たちに日本語教育を大事にすることで、母国のことも大事にしてほしい、自分たちの夢をこの国でかなえてもらいたい。そういうことができる国になれば、持続可能な社会になっていくのではないかなと思う」(森顕子 理事長)

(8月28日15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)
 

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