グランドにたった1人の球児、支えた父へ言えなかった「ありがとう」を 岐阜【ラストミーティング】

2023年7月28日 08:06
 広いグランドにたった1人でボールを追いかける球児の姿がありました。「部員は一人」、県内の高校で唯一夏の大会に出場することができないという経験も。苦境を乗り越え迎えた最後の夏、ようやく伝えられた言葉がありました。

郡上北 上平洸太選手

 かつては県のベスト8まで進出した岐阜県の郡上北高校野球部。

 30人ほどいた部員は2021年、とうとう上平洸太選手たった1人に。

 「一人だと心細いというか、きつい。きつかったです」(上平洸太選手 2022年取材)
 

2022年取材

「一人だと心細い、きつい」それでも好きだからやめなかった
 やめようと思ったこともありました。

 それでも、「自分ができるスポーツは野球だけ」と泥だらけの練習着に使い込んだスパイクはボロボロ。

 1人でも好きな野球にひたむきに取り組んできました。
 

親子でバッティング練習(2022年取材)

息子を支えた父、言えなかった感謝の気持ち
 そんな上平選手を支えてきたのが郡上北野球部のOBでもある父・昌徳さん。

 休日には、元々会社の倉庫だったという場所にネットを張って作った練習場でバッティングを重ねました。

 昌徳さんの思いは「好きな事を一生懸命やってくれればそれでいい」、ただそれだけ。

 父の気持ちに、2022年はまだ「恥ずかしい」と上平選手は感謝の言葉を口にすることが出来ませんでした。
 

郡上北 上平洸太選手(2022年撮影)

最後の夏、初ヒット、やっと言えた「ありがとう」
 2023年7月15日、岐阜大会2回戦。

 迎えた高校最後の夏は、羽島・恵那南と共に連合チームで出場。

 相手は大垣養老です。
 

父・昌徳さんと上平洸太選手

 父・昌徳さんがスタンドから見守る中、最後の打席へ。

 夏の大会で初ヒットを放ち、ガッツポーズ。

 スタンドの昌徳さんも大喜びです。
 

郡上北 上平洸太選手

 1対9で試合には敗れたものの、上平選手は大好きな野球で戦い抜きました。

 「やってきた2年半は長かったけど、今は楽しかったなって感じです」(郡上北 上平洸太選手)
 「夏の最後の公式戦で打つか打たないかは大きいので、最後ヒットで結果が出てよかったと思います。よく頑張りました」(父・昌徳さん)

 父からの言葉に、上平選手が返したのは「2年半ありがとうございました」。

 去年は言えなかった感謝の言葉です。

 「そこが成長」と親子の夏は笑顔で終わりを迎えました。

(7月27日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』じもスポ!コーナーより)
 

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