【世界水泳】復活の”天才スイマー”今井月「平泳ぎで世界と戦っている姿を見て」亡き恩師に活躍誓う

2023年7月20日 16:45
 連日、メダルラッシュ!福岡で開催中の世界水泳、23日からは競泳が始まります。天真爛漫な岐阜市出身のスイマー・今井月(るな)選手。6年ぶりに帰って来た大舞台、ここに至るまでの復活劇に迫ります。

世界水泳代表・今井月選手(22)

 岐阜県内のネイルサロンを訪れた一人のスイマー、「楽しみにしていた」というネイルはインスタのデザインを参考にします。

 この春、社会人になったばかりの22歳、念願の平泳ぎで世界水泳への切符を勝ち取った岐阜市出身・今井月選手です。

 「やっと1番好きな200m平泳ぎで日本代表になることができて、世界で戦える切符を掴めたことはすごく嬉しいですし、自信を持って世界水泳に行けると思います」(今井月 選手)
 

2013年撮影

若き天才スイマーとして注目、順風満帆な水泳人生
 中学1年の時に日本選手権3位とメダルを獲得するなど早くから頭角を現していた今井選手。

 2016年のリオ五輪、15歳で挑んだ夢舞台には200m個人メドレーで出場し、15位。
 
 その翌年には、世界水泳にも初出場するとトップスイマーたちと肩を並べ、200m個人メドレーで世界の5位に。
 
 順風満帆な水泳人生を歩んでいました。
 

今井月選手

世界の舞台から一転、成績不振の日々「プライドとうまくいかない現実との葛藤」
 しかし2018年、日本代表から落選。

 その後も、成績不振が続きます。

 「伸びないどころか落ちていく自分を見て、何をやれば正しいのかなみたいな、ずっと迷いがありました」(今井月 選手)
 

2023年4月撮影

 目標だった東京五輪には、まったく手が届かず。

 現役引退も考えました。

 「今までの小さい頃の成績だったり、高校生の時の結果でどんどん作り上げられてきたプライドが、ここで引退することによって崩していいのかなみたいな。プライドとうまくいかない現実との葛藤がずっとありましたね」(今井月 選手)
 

今井選手と芝辻泰宏コーチ(2018年撮影)

脳裏をよぎる引退…支えは幼い頃の恩師のあたたかさ
 そんな彼女の支えとなっていたのが、幼い頃に通っていた本巣スイミングスクールの芝辻泰宏コーチ。

 恩師の元で平泳ぎの才能を開花させると、全国大会に出場。

 小学生や中学生の日本記録を次々と更新しました。

 高校から地元を離れたものの、壁にぶつかった時や悩んだ時はコーチのところに帰って泳ぎを見つめ直しました。

 2018年には、今井選手の「子どもの頃やんちゃだったか」という質問に対して次のように話してくれました。

 「やんちゃというか、とにかく動いていた。ちょこちょこちょこちょこ。泳ぎの練習自体は手間がかからないけど、それ以外の時によく喋るし。でもずいぶん大人になったと思います、中3の頃から比べると」(本巣SS 芝辻泰宏コーチ 2018年撮影)
 

2021年6月

 いつも気にかけてくれる、あたたかい存在でした。
 
 ところが、2021年6月。

 病気療養中だった芝辻コーチが57歳の若さで、この世を去りました。

 涙を流しながら、思いを語ってくれた今井選手。

 「信じられなかったです。もう少し会いに行ってあげたかったなとか…大会のたびに連絡をくれたり、ずっと気にかけてくれたので本当に大きい存在でした」(今井月 選手)
 

練習をする今井選手

恩師との別れに誓った再起「平泳ぎで日本代表に入りたい」
 2021年7月、長良川スイミングでの岐阜県選手権。

 恩師との別れから3週間、再起を誓う今井選手の姿がありました。

 「芝辻先生のこともあったので、お世話になってきた岐阜でもう一度レースを楽しむということをしたかったので。レース前にコーチの顔を思い浮かべたりとかして迎えたので、すごく心強かったです」(今井月 選手)

 ふるさとの岐阜で、水泳人生の再スタート。

 芝辻コーチと世界を目指した平泳ぎ一本で勝負をすると決めました。

 「本当に良いスタートが切れたと思いますし、今なら調子を上げられる自信があります。結局泳いでいて一番楽しいと思ったり、気持ちが良いなと思うのは平泳ぎなので、この種目で日本代表に入りたいとずっと思っているので、逃げずに頑張っていきたいと思っています」(今井月 選手)
 

今井月選手

「このまま終わっていく自分が許せなかった」ラストインカレで自己ベスト更新
 2022年8月、徐々に調子を上げる中で出場した大学最後のインカレ水泳・200m平泳ぎ決勝。

 狙うは7年前の中学時代、恩師と共に記録した自己ベストの2分23秒43。

 序盤からレースを引っ張ると、ついに自己ベストを更新(2分23秒02)。

 優勝と同時に、止まっていた時間をラストインカレで自ら動かしました。

 「このまま終わっていく自分が許せなかったですし、どれだけ時間がかかってもはい上がってやろうって、心のどこかでそういう強い気持ちがあったから乗り越えられたと思います」(今井月 選手)
 

2023年元旦

平泳ぎでつかみ取った世界水泳の切符「世界と戦っている姿を見てほしい」
 2023年の元旦、向かったのは近所の神社。

 「今年は世界水泳があるので、世界水泳の代表にしっかり入って世界で活躍できますようにってお願いしました」(今井月 選手)

 念願叶って、平泳ぎでつかみ取った世界水泳の切符。
 

今井月選手(バローHD/東京ドームスポーツ)

 いざ、天国の恩師と共に大舞台へ。

 「芝辻コーチは平泳ぎで世界を目指してきた恩師でもあるので、平泳ぎで世界と戦っている姿を見てほしいので、自分の平泳ぎがどこまで通用するのか証明できたらなと思います」(今井月 選手)

(7月20日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』じもスポ!コーナーより)
 

これまでに入っているニュース

もっと見る

これまでのニュースを配信中