ロボットがトマトを有機栽培 赤い実を認識して収穫・光で害虫を吸引…AI駆使の"SDGs農業"

2023年7月18日 16:46
ITを駆使して、おいしいミニトマトをつくる会社が愛知にあります。その秘訣はロボット!? ロボットを使ってトマトを収穫。プログラミングやAIなどを駆使する農業を取材しました。

JASマーク認定を受けた「有機栽培」のミニトマト

 愛知県知多市に4月にオープンした直売所。販売されているのは、JASマーク認定を受けた「有機栽培」のミニトマトです。

 「濃厚な味がした」「やわらかい」と地元の人たちを中心に「おいしい」と口コミが広がり注目を集めています。
 

ハウス内のロボット

「トマト育てます」ハウスの中で動くロボット
 直売所の隣のビニールハウスでミニトマトを栽培するのは、2021年に創業したばかりの会社「トクイテン」です。

 ハウス内をのぞいてみると複数台のロボット。

 「我々はITやロボットに強いということで、そういったものをフル活用した農場になっています」(トクイテン 豊吉隆一郎 社長)
 

トクイテン 豊吉隆一郎 社長(41)

「農業の自動化やIT化が進んでいない」
 会社を設立した豊吉隆一郎さん。

 以前は、請求書をクラウド管理などする会社を設立・経営。本格的な農業経験はありませんでした。

 「たまたま知多半島内の農家さんの水やりの自動化をお手伝いする機会があって、思ったより農業の自動化とかIT化が進んでいないと。同時に農業の高齢化や人手不足進んでいるので、自分のできることで何かできることあるんじゃないかなと」(トクイテン 豊吉隆一郎 社長)
 

農林水産省発表

減少する農業人口
 農林水産省によると、2020年の個人経営で農業を行う人は2015年に比べ、39万4000人減少の136万3000人。

 また65歳以上の人が69.6%占めているといいます。

 その一方で、日本では2050年に有機農業用の農地の割合を25%までに増やす目標を盛り込んだ戦略が策定されているのです。

 「農業は経験と勘に頼る部分というのがあるので、それは実はコンピューターの方が得意なことがあったりだとか、いろいろ応用できることはかなりあると考えています」(トクイテン 豊吉隆一郎 社長)
 

トクイテン 森裕紀さん(41)

農業やプログラミングに精通したメンバーでスタート
 農業の基礎を学び、立ち上げの際に声をかけたのは、ロボットやAIなどの研究を行う森裕紀さんでした。

 実は2人、岐阜高専時代の同級生でロボットコンテストで全国準優勝をした経験も。

 他にも農業の知識やプログラミングなどに精通したメンバーと共に栽培を進めています。

 「このロボットはですね、我々が開発したティターンというロボットなんですけど、収穫だったりあるいは有機農薬をまくシステムだったり、いろいろ載せ替えることで、さまざまな機能を実現しようとしたものです」(トクイテン 森裕紀さん)

 土台となる走行ロボットの上に、必要な役割に応じた機械を装着します。

 なかでも、労力が大きい収穫作業では、ロボットについたカメラは赤くなったトマトだけを認識。

 緑の熟していないトマトは反応しましせん。
 

トマトをもぎ取るアーム

ハイテクなんだけど「200円のトングが一番よかった」?
 画面をタッチすると、トマトを目指してアームが伸び器用にもぎとっていきます。

 なんともハイテクですがロボットの手元をよく見るとトングがついていました。

 「3Dプリンターと最新の技術でいろいろ試行錯誤したんですけど、200円ぐらいで買ってきたトングが一番よかったと。現状ちょっと速度が遅いので、5秒ぐらいに1個とか、それぐらいになったらいいなと」(トクイテン 森裕紀さん)

 また、有機栽培では化学的な殺虫剤が使えないため、光などで害虫を寄せ集め吸引する機械を乗せたロボットがハウス内を巡回します。
 

ロボットがハウス内を巡回

AIやロボットで「持続可能な農業」を
 他にも、ハウス内の温度や湿度などを管理して自動で調節できるシステムを導入することで収穫量が増える環境を整えていきます。

 人への負担軽減など本格的的な検証は今後進めていくということです。

 AIやロボットを駆使した有機栽培方法を確立させることで、有機栽培市場への新規参入がしやすくなる、「持続可能な農業」を目指します。

 「ロボット開発者としては全自動化みたいな、ドラえもんみたいなものがいて働いてくれるみたいな、そんな状態を目標としていますけど、やっぱその前の段階としては、人も働きやすく続けていけるという形で持続可能な農業の1つを確立したいなと思っています」(トクイテン 豊吉隆一郎 社長)

(7月18日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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