名古屋城天守バリアフリー化巡る市民討論会で差別的発言 「全否定された」車いすの男性、市の対応にも怒り

2023年6月8日 17:23
名古屋城の木造復元計画でのバリアフリー化をテーマに行われた「市民討論会」で、一部の参加者が車いすの男性に対して差別的な発言をしました。男性は「全否定された」と話し、主催した名古屋市の対応についても怒りをあらわにしました。
 6月3日に名古屋市が開いた、木造復元を目指す名古屋城天守のバリアフリー化に関する「市民討論会」。

 バリアフリー化を巡っては、市の計画では、地下から1階まで、車いす利用者と介助者の2人が乗ることができる小型の昇降機の導入が決まっていますが、最上階までの設置については、議論が行われています。

 市民の意見を聞く場として設けられた今回の討論会。エレベーターの導入を求める車いすの男性は――

「今まであったものを無くしてしまうというのは、我々障害者が排除されているとしか思えない」(車いすの男性)
 

参加者の発言

拍手をする人の姿も
 この意見の直後、1人の男性が手を上げました。

「平等とわがままを一緒にするな。エレベーターも電気もない時代につくられたものを再構築するという話。その時になんでバリアフリーの話が出るのかなというのが荒唐無稽で、どこまで図々しいのという話で、我慢せいよという話なんですよ」(参加者)

 市の職員が男性に駆け寄りましたが、強く止めることはせず、男性は話を続けます。

 次に、発言をした男性も――

「生まれながらにして、不平等があって平等があるんですよ。『※差別表現※』で生まれるかもしれないけど、健常者で生まれるかもしれない。それが平等なんですよ」(参加者)

 障害者に対する差別的な表現を交え、自らの意見を主張しました。2人の男性の発言に対して拍手をする人の姿も見られました。

 この討論会には、河村市長も参加していました。差別的な発言が出たことを問われると「聞こえなかった」とした上で――

「ご自由に言ってもらうのが前提ですからね。広い気持ちで考えるのが普通。言論の自由は」(河村たかし市長)
 

差別的発言を受けた車いすの男性

差別的な発言を受けた男性は…
「聞くに耐えない言葉ですよね。もう絶対許せないですね、市の対応、だって主催は名古屋市ですよ。全否定されているわけですから、僕らは。それを黙認しているのは、名古屋市も同じ気持ちだと思いますよ」(差別発言を受けた車いすの男性)

 その2日後、市長は、討論会で不適切な発言があったことを認めました。

「差別発言があったとすれば、それは『遠慮してくださいよ』ととっさに言えるか分からないけど、止めるべきだった」(河村市長)

「今回の討論会は、差別や障害者の溝を深める会でしかなくて、バリアフリーを考えることが何も進んでいない。いらだちというか、本当に残念だと思う」(差別発言を受けた車いすの男性)

 名古屋市は、12日までに昇降機を設置するかどうか方針を決めるということです。

(6月8日15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
 

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