飛行機で隣席に座った"偶然"で小学校開校 愛知の高校教師、ウガンダの教育事情知り自費で200万円準備

2023年5月10日 17:22
2023年、アフリカのウガンダに小学校が開校しました。開校に関わったのは、愛知県在住の男性です。ウガンダの教育の現状とある「偶然」が彼を動かしました。

ウガンダにできた小学校

 2023年2月、日本から1万km以上離れたアフリカ大陸の国・ウガンダに小学校が開校しました。

 ウガンダの国旗とともに掲げられているのは、日本の国旗。実は、この小学校の開校に、1人の日本人が大きくかかわっています。

 愛知県内の高校で教師をしている池田博貴さんです。
 

ウガンダ大使館 職員 ラムヌ・ルーシー・ルースさん

ウガンダに小学校を…きっかけは飛行機での「偶然」
 ウガンダで支援を始めたのは、ある「偶然」がきっかけでした。

 「2021年12月にドバイ万博の日本館で働いていた娘に会いに行く飛行機の中で、隣にいたウガンダ人の女性・ルーシーさんという方に出会いました」(池田博貴さん)

 池田さんの隣に座ったのは在日ウガンダ大使館の職員、ラムヌ・ルーシー・ルースさん。
 
 こちらにも「偶然」があったといいます。

 「友達とウガンダに行く予定だったけど、残念ながら友達はキャンセルになったの。友達が座る予定だった席に池田さんが座ったの。私たちはドバイに着くまで、寝ずにずっと会話をしていた。彼の話はとても面白かったの」(ウガンダ大使館 職員 ラムヌ・ルーシー・ルースさん)
 

提供:「KOMOREBI」小学校

100人の児童に対し担任は1人…ウガンダの教育事情
 打ち解けた2人の話題は、ウガンダの教育におよびました。

 「ウガンダでは、初等教育の授業料を無料にしているの。それは、所得が低い家庭のためなんだけど…」(ウガンダ大使館 職員 ラムヌ・ルーシー・ルースさん)

 しかし、ルースさんによると貧困層が多い地域の学校では、1クラス100人の児童に対し、担任の先生が1人という環境で授業を行うこともあるといいます。

 「それが意味することは、子どもたちをちゃんと教育することができないということなの。最終的に、子どもたちは低いクオリティーの教育を受けることになる。高いクオリティーではなく、低いクオリティーの教育につながる」(ウガンダ大使館 職員 ラムヌ・ルーシー・ルースさん)

 日本サッカー協会の公認指導者の資格があり、サッカーなどを通じて、東日本大震災の被災地の福島県や、ネパールでも教育支援を行っていた池田さん。

 「子どもたちの未来に携わるということが支援になるということで、ウガンダの教育について、私も教員なので、『もし可能なら学校を作りましょう』という言葉が出てきたと思います」(池田博貴さん)
 

提供:「KOMOREBI」小学校

「学校を建てるために土地を」自費で約200万円準備
 計画が進んだのは、2人が日本に戻った2022年2月のことでした。

 「池田さんが『電話でウガンダに対して私に何ができると思う?』と聞かれた。私の答えはすでに決まっていた。『私の村に小学校を立ててほしい』」(ウガンダ大使館 職員 ラムヌ・ルーシー・ルースさん)

 ウガンダで学校を建てるために、大切なのは土地の確保。ルースさんがそれを伝えると、池田さんは次のように答えたと言います。

 「池田さんは、『わかった。買える土地を探して』と言った。土地が見つかったので、いくらかかるか伝えた。池田さんは『オッケー、お金を送るよ』って言った。『なんでそんなすぐお金を出すの?本当に大丈夫?』って思った」(ウガンダ大使館 職員 ラムヌ・ルーシー・ルースさん)

 池田さんは、自費で約200万円を準備しました。

 「支援によって地元に残るものがあったり、地元の人々が自立することが何かできないかなって少し感じていたので、ここが決断の時だと思いました」(池田博貴さん)
 

提供:「KOMOREBI」小学校

「先生への経済的ケアも必要」
 こうして2人の学校づくりは、動き始めました。

 クラウドファンディングで校舎づくりの資金を集め、池田さんは準備のため、ウガンダへと渡りました。

 特に気にかけたのは、子どもたちを教える「先生選び」です。

 地元で評判の先生が、校長を引き受けてくれました。

 「ウガンダの中で、先生にお金が支払われないケースがすごく多いので、副業をして授業中にいなくなるということを散々聞いたので、まずは先生たちに対して、経済的なケアなどがしっかりできる有能な校長先生を確保するということですね」(池田博貴さん)
 

提供:「KOMOREBI」小学校

校名に込められた想い「この学校を最高レベルの学校に」
 そして、池田さんとルースさんが飛行機の隣に座った時から約1年2カ月後。

 1年生と2年生のクラスの小学校が開校しました。名前は、「KOMOREBI」小学校。

 日本からの限られた支援で子ども達が幸せになってほしいという願いと、たくさんの方向に延びる「こもれび」のようにここで学んだ子供達が多方面で活躍し、ウガンダに貢献できるようになって欲しいと願いが込められています。

 「すごく嬉しい。私の夢が叶った。でも、まだ長い道のりがある。この学校を最高レベルの学校にしたい。日本の小学校と同じレベルにしたい」(ウガンダ大使館 職員 ラムヌ・ルーシー・ルースさん)
 

池田博貴さん

「高校生や中学生に『種まき』を」
 思いを受け取るのは、ウガンダの子どもたちだけではありません。

 池田さんは、自身がサッカーを教える愛知の高校生たちに、支援の経験を伝えています。

 「人を助けたいとか世の中を良くしたいという人の思いは絶対あるので、自分に出来るやった方が良いことをチャレンジしてくれる、高校生や中学生に何か『種まき』ができたらいいと話をしています」(池田博貴さん)

(5月10日 15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)
 

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