登山中の男性からSOS「動けない」 空から命を守る、人命救助の最前線 名古屋市消防航空隊

2023年5月9日 17:06
レジャーに最適なこれからの季節、注意が必要なのが山での遭難やけが、そして水の事故です。東海3県の安全を空から守る消防航空隊に密着。大事には至りませんでしたが、一歩間違えると命にもかかわる…そんな状況にも遭遇しました。

名古屋市消防航空隊

 ヘリコプターから救助隊員が降下。川や海での水難事故、山などで遭難した人を捜索しけが人の救助を行います。

 県営名古屋空港を拠点に活動する「名古屋市消防航空隊」

 消防ヘリコプターの機動力を生かし、愛知県全域、そして岐阜・三重・静岡など近隣の県の安全を空から守っています。

 密着したのは5月3日。GW後半の初日です。

「本日から本格的なGWが始まっています。天気も良好で、行楽シーズンで、こういったときに特に災害が起きやすい状況なりますので、いつも以上に気を引き締めて待機をよろしくお願いします」(隊員)
 

救助訓練

ヘリ救助という特殊な環境、毎日訓練欠かさず
 この日は、天気も良く、まさにレジャー日和。川や山などに出かける人が増える日です。

 午前10時。毎日行っている「訓練」が始まりました。山で、道に迷ったりけがをしたりした人の救助を想定して行います。

 一歩間違えると、大きな事故につながりかねないヘリコプターでの救助。金具の装着、動作の確認など何度も繰り返し訓練し、体にしみこませていくといいます。

「ヘリという特殊な環境で音が聞こえない、コミュニケーションも取りずらい中で、効率的かつ少ない人数でも安全を確保して活動することを意識して訓練をしている」(名古屋市消防局 消防航空隊 坂上嘉則さん)
 

お昼の食堂の様子

昼休みは「みんなでリラックスできるいい時間」
 訓練も終わり、お昼時。食堂をのぞいてみると。

「愛妻弁当です。めっちゃおいしい。毎回作ってもらっています。甘えてばかりで、めっちゃ力が出ます」(隊員)
「こうしてワイワイ、みんなでリラックスできるいい時間だなと思います」(隊員)
 

山岳救助の応援要請

50代の男性「両足がつって動けない」と119番通報
 午後1時15分。岐阜県揖斐川町の山から山岳救助の応援要請が入りました。

 登山中の夫婦のうち、50代の男性が「両足がつって動けない」と119番通報しました。隊員たちは素早く装備を付け始め、ヘリを出す準備をします。

 空から要救助者を見つけるため、事前に周りの状況や、服の色などを入念に確認します。

 要救助者の状況、隊員の安全、ヘリの飛行経路など、すべての確認を終え、午後1時40分ごろ、隊員が機体に乗り込み、ヘリが飛び立ちます。

 約17分後には、目的地の岐阜県揖斐川町にある山の上空に到着。上空から要救助者を探します。

「要救助者発見しました。これより救助活動に入ります」(隊員)

 隊員が到着すると、レジャーシートの上で横たわる男性の姿がありました。

「お待たせしました。歩いてて両足がつったということでいいですか?」(救助隊)

 夫婦で登山中、両足がつったという男性。よく登山をするそうですが、1200mの頂上付近で動けなくなってしまったようです。

「両足がつった以外にはとくには問題ないですか?」(救助隊)
「大丈夫です。こむら返りみたいな感じで」(男性)

 男性をヘリコプターで病院に搬送するため、吊り上げの準備を進めていきます。

 一緒にいた奥さんは、ヘリには乗らず、後から来る消防隊と下山することになりました。

「要救助者ピックアップ完了」(救助隊)

 無事に、要救助者をヘリコプターに乗せることができた航空隊。ヘリの中で健康状態などを確認しながら病院へ搬送していきます。

 約11分後には搬送先の病院に到着しました。

「山岳救助だったが、登山している夫婦で旦那さんの方が、両足がつって動けなくなってしまって119番通報されて、消防からヘリコプターの要請があった出動ですね。GWで天気もいいので山登りされたり、川遊びの方がたくさんみえると思うので、趣味で登山している方も増えているかと思うので、こういった事案も増えているのかなと感じます」(名古屋市消防局 消防航空隊 但馬直樹さん)
 

名古屋市消防航空隊ヘリ

ベテランの人でも事故に巻き込まれる危険性が
 今回は大事には至りませんでしたが、一歩間違えれば命にかかわるレジャーでの事故。

「山に残してきた奥さんは水分がもうないという話だったので、我々の水分を渡して引きあげてきた」(但馬直樹さん)

 消防は、天候や当日の体調によって、ベテランの人でも事故に巻き込まれる危険性があるといいます。そのため、十分な準備をして無理をしないよう呼びかけます。

「海や山での事故は地元の消防も出動するが、すぐに現場に到着することができません。我々ヘリコプターの部隊も、機動性はありますが天候に左右されたり万能ではありません。そういうところに行く際は時間に余裕をもって連絡がとれる態勢を確保していただいて、お子さんがいたら目を離さないようにしていただいて、十分に楽しんでもらえたらと思う」(名古屋市消防局 消防航空隊 坂上嘉則さん)

(5月9日15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)
 

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