江戸時代からの山車が名古屋のビル群を巡行 伝統の若宮まつり本祭

2024年5月18日 13:04
名古屋市中区で16日に若宮まつりの本祭が行われました。栄にある神社を出発した山車がビル群のなかを練り歩く様子を密着しました。

巡行する山車

 午前9時ごろ、若宮八幡社の境内には社殿に向かって山車が構えられ、祭りに向けて準備する人たちが行きかっていました。
 
 若宮八幡社は地下鉄矢場町駅からすぐの場所で、名古屋パルコと白川公園の間にあり、江戸時代から名古屋の移り変わりを見守ってきました。
 
 若宮まつりは江戸時代から350年続く伝統の祭りで、毎年5月15日の宵祭と16日の本祭の2日間行われ、本祭では約2キロ先の那古野神社(中区丸の内)まで山車を引いて往復します。名古屋市の指定文化財になっています。
 

福禄寿の人形

 山車は「福禄寿車」という名称で1676年に作られ、重さは推定4トンで高さは6メートルです。山車の上には七福神の1体「福禄寿」を筆頭に4体のからくり人形があり、巡行の所々で人形の操演が披露されます。

 からくり人形を操る1人、山本晃大さん(36)は「一生懸命操るので多くの人に楽しんでほしい」と意気込んでいました。若宮まつりに参加して今年で18年目の会社員で、有休を使って三重県四日市市から駆け付けました。山車の巡行には、山本さんのように「祭り好き」という理由で集まった、地元以外の人たちが多く関わっています。
 

出発直前の山車

いよいよ山車が出発
 そうした若宮まつりで、祭りの関係者たちが一番気をもむのが天気です。雨が強く降れば山車の巡行は中止となります。

 16日の朝方は小雨がぱらついていました。40年ほど祭りに携わってきた水口敏夫さん(70)は「雨雲レーダーをよく見てやっていく」と気を引き締めます。若宮まつりの2日間のうち、どちらか1日が雨に見舞われることが多かったという過去の経験からです。
 

高架下から裏門前町通りへ

人だかりを抜け山車は大通りへ
 午後0時40分ごろ、人だかりを抜けて山車が若宮大通に出ました。巡行の始まりです。
 綱頭と呼ばれるリーダーが指揮し、100人ほどが列をつくって名古屋高速の高架下を抜けて大須につながる裏門前町通へと入っていきます。
 
 

車とのすれ違い

 進むペースは小さな子どもが歩くぐらいのゆっくりした速度で、安全第一です。特に、大きな車とすれ違うときは細心の注意が求められます。
 
 

逆立ちして銅鑼を鳴らすからくり人形

幼稚園児が「やばい」
 山車は通りに入ってほどなくして止まり、からくり人形の操演が披露されました。人形が逆立ちし小さな銅鑼(どら)を鳴らすのに成功すると、見物客からは大きな拍手が送られ、先生に連れられて見学にきた幼稚園児たちからは「やばい、やばい」と感嘆の声が上がりました。
 

若宮大通から本町通へ方向転換する山車

 からくりの操演を終えると山車はUターンして若宮大通に戻りました。重さ4トンの山車なだけに、方向転換は大仕事です。

 

山車を浮かす担ぎ手たち

 「せーの」の掛け声で8人の担ぎ手たちが山車を浮かせている間に、車輪に棒で力を加えて転回させます。方向転換のたびに担ぎ手たちは懸命な表情を見せていました。
 

本町通

 そして、若宮大通を右折し本町通へ。

 神輿を担いだ神職らと合流し、ここから通りを1.5キロ真っすぐ北上します。道中、小雨がぱらつく場面もありましたが山車の威勢に押されたのか、すぐにやみました。
 

那古野神社から復路へ向かう山車

那古野神社に到着
 午後3時ごろ、那古野神社に到着し、鳥居の前でからくり人形の操演を奉納、神社の関係者らに出迎えられました。無事に那古野神社に到着できたことで水口さんは胸をなでおろし「私にとっては若宮まつりの日が『正月』みたいなもの。きょうから1年が始まる」と話しました。
 

これまでに入っているニュース

もっと見る

これまでのニュースを配信中