マイナス金利解除で「名古屋金利」どうなる? 全国平均とさらに差が開いているカラクリ

2024年5月16日 18:02
日銀がマイナス金利を解除して、まもなく2か月。「名古屋金利」という言葉を聞いたことはありますか? 他の地域と比べ、金利が低いことを指す言葉ですが、今、取り巻く環境に変化が起きているといいます。
 「女性が軽くスムーズに、作業ができるようにならないかなと」(八熊鍍金工業 加藤義憲社長)
 「ここにコロ(ローラー)を付けちゃう。そうすると、乗っけたままでそのまま持って来られる」

 メッキ加工などで高い技術力を誇る、愛知の「八熊鍍金工業」。

 この日、工場を訪れたのは、かつて大手の自動車部品メーカーに勤務していた男性2人です。

 「作業の中でムダがあるかないかを見ている。今見ていると2人が一緒に待っている時間があるものだから、あそこは1つ改善した方がいいと思う。例えば待っている人に入ってもらえば、待っている時間で作業できるかもしれない。ちょっとした位置を考えるだけで、もしかしたら1人でできるかもしれない。やれる感じがしますね」(名古屋銀行 現場改善コンシェルジュ・近藤琢磨さん)

 現在この男性が勤務しているのは、銀行。

 メーカーに勤務していた経験を元に、融資先の会社に対し、業務の効率化などについてアドバイスしています。

「直接売り上げというよりは、経費削減や作業者の負担軽減に大きく寄与している。いかに低い金利で借りるかは、中小企業の経営者にとっては大きな要素の一つだが、こういうオプションがあると、なかなか付き合えない人に見てもらえるし、どちらもウィンウィンの関係でやっていければいいと思う」(八熊鍍金工業・加藤義憲社長)
 

名古屋と全国の貸出金利の差

名古屋金利も上昇する可能性
 どの金融機関からお金を借りるか。選ぶ際は、「金利以外」の部分も重要だといいます。

 その理由は──

 「どうしてもこの地区は優良な顧客が多く、全国から色々な銀行が出店し数が多くなり、金利も『名古屋金利』とよばれるような、安いかたちになっている。目指しているのは、客に寄り添った最良の相談相手になれれば、金利競争に関係なくやれるのではと」(名古屋銀行自動車サプライチェーン支援室・近澤保室長)

 「名古屋金利」。経営が安定し、借金を好まない会社が多いとされる東海地方ならではの特徴です。

 「金融機関は相手の信用情報を見て貸し出すので、信用力が低いと金利は高く、信用力が高いと金利は低く貸し出す。優良な貸出先が多いので、当然色々な金融機関が営業をかけてくるので競争が激しく見えている」(名古屋市立大学大学院経済学研究科・岡野衛士教授)

 結果的に、他の地域に比べて低く設定されているという名古屋金利。日銀がマイナス金利を解除した後、全国との差はより大きくなっているといいます。

 「最近、全国と愛知で貸出金利の差が開いてきている。だいたい0.05%ぐらい中部地方の金利は低いのだが、3月のマイナス金利解除を受けて全国的に貸出金利が上昇したが、この地方は上がっていない。全国との差は、0.05%から0.1%に迫ろうとしている」(岡野教授)

 ただ今後、日銀がさらなる利上げを行った場合には、低金利で知られる名古屋金利も上昇する可能性があるため、岡野教授は今後の動向を注目していきたいと話しています。
 

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