池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ5

池上彰が徹底解説! メ~テレ取材陣が徹底取材!
2015年 5月2日(月) 午後7時~7時54分

池上 彰

出演:池上 彰 江川達也 麻木久仁子 浅尾美和 原口あきまさ 鈴木しおり(UP!) 取材:石神愛子(UP!) 竹田基起(ドデスカ!)

ジャーナリストの池上彰さんと一緒に「南海トラフ巨大地震」への備えを考える防災特番の第5弾。
東日本大震災から5年。この間、幸いにも「南海トラフを震源とする巨大地震・巨大津波」が起きていません。
しかし、未だ東北では仮設住宅などで生活している人たちも多くいます。
4月には熊本地震が起き、「想定外の場所」での大地震に多くの人が驚き、戸惑いました。
「災害は忘れたころにやってくる」。
今回の番組では、池上彰さん自らが名古屋の街を歩いて、防災への対策をチェックします。

考えるためのキーワード

【1.地震が少ない東海地方】
	南海トラフは太平洋沖の海底に延びる溝です。
その境目では、日本列島がある陸側のプレートの下に、海側のフィリピン海プレートが沈み込んでいます。歴史上、この境目で何度も巨大地震が発生してきましたが、愛知・三重県の沿岸部では、1944年の昭和東南海地震以来、起きていません。「30年内に70%の確率で起きる」と言われているのに、何故なのでしょうか。例えば、2015年の地震の発生回数を見ると、国内では、193回ありましたが、東海3県は3回しか記録されていません。
南海トラフ研究の第一人者である、香川大学の金田義行教授に話を聞くと、「陸側のプレートとフィリピン海プレートが強く固着している状態にあり、どんどん地震のエネルギーをずっとため込んで一気に解放する、巨大地震を起こすための準備をしているということになる」と話します。
【2.最新の地震予知研究】
	南海トラフ巨大地震の兆候を少しでも早く察知することが出来ないか。
いま、南海トラフの周辺に海底地震計を張り巡らせるプロジェクトが進められています。それは〝DONET(ドゥーネット)〟と呼ばれる地震・津波観測監視システムで、リアルタイムで地殻変動などの小さな揺れや、海底の水圧の変化を観測します。現在、三重県沖や紀伊水道への設置が完了しました。海洋研究開発機構の川口勝義さんによると、これだけ海底の広範囲な観測網は世界にも類がなく、「陸では見えない海の下のすごく小さな地震の活動が見えるようになる」と話しました。将来は地震の予測へも期待されています。
【3.名古屋駅前が大混乱!?】
	南海トラフ巨大地震が起きた時、名古屋の玄関口である名駅周辺には、約3万4000人の帰宅困難者であふれると想定され、そのうち1万8000人の行き場がなくなる、と試算されました。
駅周辺に林立する超高層ビルには、帰宅困難者を受け入れるための備蓄品を用意している所もありますが、全てのビルが質・量ともに万全とは言えません。それは、備蓄品の購入がそれぞれのビルで金額を負担しなければならないことも原因とされています。
東日本大震災の時に、帰宅困難者で大混乱した東京都は、条例を作り、企業に対して、帰宅困難者用の備蓄品の購入費の6分の5を補助することにしています。
しかし、問題は「備蓄」だけではありません。
池上彰さんが、名駅前からどこへ避難するのか、シミュレーションをしました。すると、避難所を指し示す地図が随所にあるわけではない点。
地域の住民用の「避難所」とは別に帰宅困難者には「一時避難所」が用意されているものの分かりやすい説明がない点。また、避難ルート上に火災発生の危険性が高い「木密地区」があることなど、課題は山積していることが分かりました。
【4.防災グッズを持ち歩いていますか?】
	出かけ先でいつ災害に遭うとも限りません。普段からカバンの中に忍ばせておきたい防災グッズにはどのような物が必要でしょうか。
非常食として、500mlのペットボトルや、栄養価の高い携行食品。
そして、通信機器の補助としてモバイルバッテリーなどがあると便利です。
また、寒さをしのぐための折り畳み「防寒シート」や、メガネの予備を持ち歩くこともおすすめです。
さらに、「笛」を持ち歩けば、建物が崩れ閉じ込められてしまった時などに、自分の存在を知らせることが出来ます。実際の被災地では、救出活動で重機などが稼働しており、声を張り上げても聞こえない恐れがあります。
災害用の「笛」の中には、手のひらサイズでありながら、音の通りに優れた物があります。

番組本発売中!

内容:過去4回にわたり放送した特別番組「池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ」と、 夕方のニュース情報番組「UP!」で放送した防災企画をもとに、 南海トラフ巨大地震のメカニズムや被害想定、地震に対する備え、 対処方法などをわかりやすく紹介。地域の防災、家庭の防災に真に役立つ一冊です。 収録内容:
・防災特番や「UP!」のシリーズ「暮らしの防災」の内容を整理、深化させて掲載 ・池上彰氏と福和伸夫名古屋大教授による「減災」対談 ・東海3県防災&災害史跡MAP ほか

価格:1,200円(本体価格・税抜)

発行元:株式会社KADOKAWA

いつ起きるとも知れない災害に備える1冊です。ぜひお買い求めください!