「実質ゼロ回答」「小手先のごまかし」温度差も…政治資金問題“自民案”まとまる
2024年04月24日 10:07
政治資金規正法の改正に向け、23日に自民党の独自案がまとめられました。収支報告書の内容を議員本人が確認することなど、議員の責任を強化する内容が盛り込まれましたが、裏金問題の再発防止につながるのでしょうか。
■議員に監督責任“公民権停止”も
派閥の裏金問題を発端に政治改革の案が話し合われた、自民党の会議。作業部会をまとめる鈴木座長はこう強調しました。
自民党政治刷新本部 鈴木馨祐WG座長
「再発を絶対にさせない。不記載問題の再発をさせないために、どういった法整備が必要なのか。必ずこの国会の中で成立をさせていかなくてはいけない、今回の法改正になりますので、ぜひとも闊達(かったつ)なご議論をいただきますようお願い申し上げます」
約2時間の議論を経てまとまった自民党の改革案。国会議員の責任を明確にするため、収支報告書の内容を議員本人が確認する『確認書』の作成を義務付けることが盛り込まれました。
議員による確認が義務となると…。
自民党 萩生田光一前政調会長(1月)
「スタッフの皆さんは、少しでも私の負担を減らし、政治活動に専念させようと考え、お金やその他雑務には極力携わらせないようにしていただいて」
自民党 世耕弘成前参院幹事長(1月)
「政治資金の管理については、秘書に任せきりの状況となりました」
自民党 西村康稔前経産大臣(1月)
「秘書から報告は受けておりませんでした」
一連の問題で相次いだ、こうした釈明は通用しなくなるわけです。また、もし不記載が発覚し、会計責任者が処罰される事態となったら、確認が不十分だった議員本人には公民権停止の罰則を科す、いわゆる“連座制”に近い形の規定も導入。不記載だった収入分を国庫に納付させるための仕組みを設けることも盛り込みました。
出席議員からは…。
自民党 青山繁晴参院議員
「(Q.自民党の改革案をどう受け止めた)前進は今回の最大の焦点の1つ“連座制”ですよね。『俺は政治資金収支報告書を見てないよ』とか『会計の人がやってたので詳しく知らないよ』という言い訳は一切できない。そのこと自体が問われる。公民権停止は厳しいので、そこは前進だと思います」
自民党 小野寺五典元防衛大臣
「今回のような事案が起きた時に、私ども議員が『知らぬ存ぜぬ』と言えないように、しっかり連座も含めた体制を取るべき」
■一転「独自案」策定 温度差も
自民党は当初、独自の改革案を作ることは想定していませんでした。潮目が変わったのは、つい最近のこと。
公明党 赤羽一嘉前国交大臣
「総理は、法改正については常に先頭に立って取り組むと再三ご発言されておりますが、自民党案がまとまらない現状は、本当に総理が先頭に立って取り組んでいると言えるのでしょうか。真剣に法改正を実現する覚悟があるのなら、すぐにでも自民党案を提示すべき。いつ提示するのか」
岸田文雄総理大臣
「我が党としての考え方、取りまとめを行います。取りまとめ次第、与党の考え方を国会の議論に供し、今国会において間違いなく、政治資金規正法の成立に向けて作業を進めていきたい」
連立を組む公明党に駆り立てられる格好で、独自案をまとめる方針に転じました。ただ、その自民党案。急展開がゆえか、他党が求める改革案との間には、まだ温度差が目立ちます。
自民党が議員の責任の強化に触れたことで、連座制に近い規定の導入については、与野党各党が言及したことになります。その一方で、裏金問題の発端となった政治資金パーティーのあり方ですが、現状20万円超となっているパーティー券購入者の公開基準について、5万円超に引き下げるべきとする案や、全て報告すべきという案、パーティー自体の禁止を訴える案が上がるなかで、自民党案は「各党と真摯に協議する」との表現にとどまっています。
自民党 西田昌司参院議員
「国民が政治に参加する権利を守らなきゃならない。パーティー券とか応援するのはいいが、名前が公表されるのは自分は困るという人もいる。思想・信条の自由は憲法で保障されている。公表しないことと、どう担保を取るんだと」
さらに、二階元幹事長が5年で50億円、甘利前幹事長が35日で3億8000万円を受け取りながら、その使途を公表する必要がないことから、不透明さが指摘される『政策活動費』。野党が「廃止」を主張するのに対し、自民党案はこれも「各党との真摯な協議」止まりです。
■企業・団体献金 制限に言及なし
企業・団体献金の制限については言及がありませんでした。
立憲民主党 泉健太代表
「私たちが今求めている本気の政治改革案。企業・団体献金の禁止というものもあり、そしてまた我々、政治資金パーティーもやめるべきだということを言っている。こういう明快さが果たして自民党の改革案にあるのか。何もないわけですから。ということは実質、国民にとってはゼロ回答のようなもの」
自民党案を「実質ゼロ回答」と評した立憲民主党も、独自の改革案の骨子を発表。政治資金を隠匿した場合の罰則を強化することなどを主張しています。
日本維新の会も自民党案を不十分だと指摘します。
日本維新の会 音喜多駿政調会長
「国庫返納は小手先のごまかしの感じがあると受け止めてます。今回やっぱり裏金の温床になった企業・団体からのお金の流れ。企業・団体献金やパーティー券を企業が買いまくるとか、こういう本質に踏み込まずに、ただミスを起こせば(国庫に)返せばいいとか、責任者を処罰すればそれで終わりということで話は終わらない」
後半国会、最大の焦点となる政治資金規正法の改正論議は、新たに設けられた政治改革特別委員会で26日から始まります。
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