「非常持ち出し袋」 最低限セットの準備と保管場所 【暮らしの防災】

2024年5月5日 14:01
「非常持ち出し袋」はフルセットで備えると、多い場合20〜30アイテムになります(自治体などのHPリスト)。そこで、持ったり背負ったりして逃げるのが大変な方に「最低限セット」を提案します。

非常用持ち出し袋 ※画像はイメージです

<余裕がない場合は「体一つ」で避難>
 最優先は「命」です。余裕がない場合は「体一つ」で避難です。

 そして一度避難したら「安全が確認されるまで家に戻ってはいけません」。

 東日本大震災では、地震発生から大津波到来まで約30分ありました。

 高台に逃げたあとすぐ津波が来なかったので、家に貴重品(通帳、印鑑、キャッシュカード、土地の権利書など)を取りに帰り、そこへ「大津波」。

 亡くなった方、家ごと流され屋根の上で一夜を過ごした方など…沢山いました。

 大地震の場合、本震で家がダメージを受けています。貴重品を取りに家へ入る場合は要注意です。

 持ちこたえていた家が、次の揺れで壊れる可能性があります。

 この場合も安全が確認できるまで、家に入るのは慎重にしてください。
 

薬 ※画像はイメージです

<「最低限セット」を準備>
 それでは「最低限セット」です。

 持病の薬、メガネ・老眼鏡、スマホ&充電器、新聞紙(1日分)、ハンドタオル、ポケットティッシュ、これだけです。

■病の薬・・・命に直結します
■メガネ・・・大災害時、使い捨てコンタクトの供給が止まる可能性があります
■スマホ・・・家族との連絡手段 電話帳 メルアド 口座番号・カード番号などの情報をメモリーに入れておくと便利
■充電器・・・避難所で充電する際に必要
■新聞紙・・・広げて布団、折るとスリッパや食器に、切ればティッシュに
■ハンドタオル、ポケットティッシュ・・・何かと便利です
 

※画像はイメージです

<印鑑、通帳はいらない>
 大災害時は「通帳」「印鑑」「キャッシュカード」「健康保険証」「運転免許証」などは必要ありません。

 役所や金融機関の臨時窓口、相談窓口に相談すれば、対応してくれます。命の危険を冒して家に取りに帰る必要はありません。

■「最低限セット」の保管場所
 家の自分の「居場所」=一番長い時間居る場所に置いておきます。居間の手元でしょうか。

■「フルセット」の保管場所
 家族の人数分を入れたフルセットのリュックなどは、玄関脇のスペース、車のトランクなどをおすすめします。車のトランクの場合は、キーが必要ですのでご注意ください。クローゼットや押入れにしまうのはNGです。

 何を揃えてどこに保管するのか、どうやって避難するのか?これを考えて話し合うところから家族の防災は始まります。

   ◇

 被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。

■五十嵐 信裕  
  東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。NPO法人環境防災総合政策研究機構の特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。
 

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