名古屋テレビ 放送番組審議会だより

このページは「放送法」および「放送法施行規則」に基づき名古屋テレビ放送の放送番組審議会の議事の概要をお知らせするページです。
名古屋テレビ放送の放送番組審議会委員は8名で、会議は毎月1回、年間10回(8月と12月は休会)開催されます。放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
名古屋テレビ放送では、放送番組審議会でのご意見を、毎月第1日曜日の午前5時00分から放送する「メ~テレオンブズ」の中でもご紹介しています。どうぞご覧ください。

<2017年11月分>

第589回 名古屋テレビ放送番組審議会

開催日
平成29年11月14日(火) 15:30~17:00
参加者
(敬称略)
  • 委員長:安村仁志
  • 副委員長:小川明子
  • 委員:山口眞里、丹羽慎治、田中彩子、中 裕史、大竹敏之、裵 貞嬉

議事の概要

(1)業務報告

  • 社長挨拶
  • 第86回系列24社放送番組審議会委員代表者会議報告

(2)審議テーマ

  • テレメンタリー2017『木箱と英霊 ~113万柱 いまだ帰らず~』
  • その他

委員の主な意見です。

  • 戦死した父親の「木箱」を軸にしながら、戦時中の悲惨な映像や有識者のコメント、また台湾での取材部分をうまくからませて、短い時間ながら結構見応えのある番組になっていた。
  • 「バシー海峡での戦没者」「木箱と英霊」そして「戦後の遺骨収集と推進法の成立」と、それぞれが大きなテーマだが、これらを実にコンパクトにまとめてある。戦争がもたらす国民の犠牲と、国家の不条理みたいなものを訴えている番組だ。
  • 扱っている問題は国家的な、歴史的な、非常にスケールの大きな問題だが、大所高所から論じるのではなくて、一人の戦争遺児の女性にフォーカスを当てたことで、彼女を投影してこの問題が非常にリアリティーをもって迫って来るという印象を受けた。
  • 戦争遺族の個人の方に焦点を当てながら、無駄に感情を煽ることなく、淡々と事実を語っている。最終的に日本の社会や政治の問題であるところを透かして見せてくるところは、非常に興味深く見た。
  • 「木箱の中の英霊」という独自の切り口で、戦争の悲惨さややりきれなさを訴える番組を制作したことは、非常に意義のあることだ。
  • 遺骨収集の推進ということが、いかに様々な問題を孕んでいるか。その一部が垣間見えて理解できた気がする。戦争の後始末を含めて、今まで見たことのない、異なる角度から知らされて、考えさせられた。すごく良い番組だった。
  • 番組が終始非常に抑制したタッチで描かれていたところにバランス感覚を感じられたし、静かに訴えかけてくる力があったのではないかと思う。また、上田定行さんのナレーションは、やはり安定感があって良かった。
  • せっかくのドキュメンタリーなので、早朝の放送ではなく、もっと多くの人が見られる時間帯に放送して欲しい。
  • 番組が25分と短いから仕方が無いのかもしれないが、生(なま)の事実を映し出すだけではなくて、今まで遺骨収集が進んでいないことなど、もう少し問題点を掘り下げて欲しかった。
  • 「遺骨は無くとも英霊は帰る」というフィクションを作り出し、戦争を続けていったことは大いに非難されるべきだが、「それを受け入れることが銃後の務めだ」と翼賛体制的に当時の新聞が書いた。こうしたことに対する何がしかの批判があっても良かったのではないか。
  • 登場する遺族個人と番組制作者との出会いがあり、その後の取材を通じての関係構築があって成立するドキュメンタリーだと感じた。その背景が少し見えると、遺族の思いの深さもより伝わったのではないか。
  • 番組と遺族女性との出会いの経緯が、残念ながら画面からはよく分からない。このため意地悪な見方をすると、「番組のために木箱を開けさせた」という見方をされる恐れもあるのではないか。25分という番組の短かさもあるが、もう少しこれまでの経緯が分かった方が良かったのではないか。
  • 昨年「戦没者遺骨収集推進法」が成立したが、なぜ戦後70年もかかって今の成立なのか?これまでなぜ収集が進まなかったのか?疑問に感じる人も多いのではないか。こうしたことを追求する、この番組の続編をぜひ見てみたい。

局側は

  • 今回取材した戦争遺児の女性とは、2010年にバシー海峡戦没者に関する番組を制作した時に出会った。当時は木箱が開けられていないままの状態で、その後も継続的に取材を続けてきた。
  • 戦争というものを扱うのは、メディアにとって重要なテーマのひとつだと考えている。昨年の夏、遺族から「木箱を開ける」との連絡をいただき、この機会に番組化を企画した。
  • 戦後72年が経ち、戦争遺児の方でさえ70歳を越える年齢に差し掛かっている。戦争を語り継いでゆくことが難しくなってきている、この時代的タイミングで、この番組を放送しようと考えた。
  • ドキュメンタリーの放送時間は、以前から放送局の悩ましい課題だ。ドキュメンタリーを見たい時間は人それぞれだと思う。メ~テレでも既に映画館での上映実績はあり、今後はオンデマンドのような、インターネットによる配信も視野に入れて前に進んでゆきたい。

などと答えました。

(3)次回開催予定

開催日時:2018年1月16日(火)午後3時30分~