Spoken!

放送内容

2021年10月1日放送分

「フィギュアスケーター宇野昌磨 激動の3年間に迫る」

カテゴリー:フィギュアスケート




北京五輪まであと4カ月。Spoken!最終回は、2大会連続でのメダル獲得が期待される名古屋市出身のフィギュアスケーター・宇野昌磨選手をゲストに迎え、今の思いに迫りました。

Spoken!で宇野選手を取り上げるのは、今回でなんと30回目。ゲストとして登場していただくのは2018年9月以来、約3年ぶりです。2018年の平昌五輪で銀メダルを獲得した後から、今日に至るまでの激動の3年間を宇野選手とともに振り返ります。

平昌五輪後も23試合連続で表彰台に上がり続け、世界で確固たる地位を築いていた宇野選手。2019年6月にある一大決心をします。

宇野「覚悟を決めるという言葉があまり好きではないというか、もっと大きな言葉だと思っていてあまり使わないようにしていたんですけど…そんな僕が本当に『覚悟を決めた』と言える決断をしたのかなと」

実に16年もの間慣れ親しんだ名古屋のスケートクラブを卒業。5歳から師事した山田満知子コーチ・樋口美穂子コーチのもとを離れ、海外で武者修行。コーチ不在のままシーズンを迎える異例の選択をしました。

宇野「できることなら生涯、名古屋でスケート人生を送りたかったです。ただ、練習でできていることが、試合では出し切れないことがあり…僕がここに残り続けることが、自分にとってもコーチたちにとっても枷になってしまっていると感じ、離れることを決意しました」

コーチ不在で迎えた2019年11月のGPシリーズフランス大会。
結果はなんと8位。表彰台を逃したことのないGPシリーズでまさかの結果でした。

宇野「初めてスケートをやめようかなと思った時でした。でもあそこでの失敗が、自分のスケートを見直すいいきっかけになったので、あれは必要な失敗でした。もう一度あの試合をやり直せますと言われても、もう一度あの失敗を僕はしたいと思っています」

そして演技終了後のファンからの声援が、大切なものを気づかせてくれました。

宇野「あれだけ演技が悪かったのに、これだけ温かい声援をしてくれるファンの方々に感謝の思いがすごく出てきました。気づいていたつもりだったけど、こんなにも皆さんに支えられているんだなと改めて感じました」

その後、2020年1月にランビエール氏をコーチにし、スイスに拠点を移した宇野選手。
異国の地で練習漬けの日々を過ごすことになります。

宇野「ランビエールコーチの人柄を見て、このコーチのもとでスケート人生を最後までやっていきたいと思いました。この環境なら『スケートを楽しくやっていけるな』と感じて拠点をスイスに移しました」

スイスを拠点に再スタートを切った宇野選手。ところが今度は『新型コロナ』の影響で大会が相次いで中止に。練習もできない日々が続き、20-21シーズン出場できたのはわずか3試合だけ。
それでも最終戦となった今年4月の国別対抗戦ではトリプルアクセル+4回転トウループの世界初の大技に挑戦するなど、限られた舞台でいまできることを全力で取り組む姿がありました。

宇野「トリプルアクセル+4回転トウループに関しては、そんなにすごいことじゃないんです…誰も跳んだことがない種類のジャンプを跳んでいるわけではなく、誰もが跳ぶジャンプを組み合わせただけで、やろうと思えばできる選手は何人もいると思います。ただ、自分のモチベーションの向上のためにこのジャンプに挑戦したので、世界初の大技と注目されるのは、モチベーションに直結するので、すごくありがたいです」

『人生最大のスランプ』に『未曾有の事態』…平昌五輪後、激動のスケート人生を送ってきた宇野選手。いよいよ北京五輪シーズンを迎えます。勝負の年にフリーに選んだのは名曲「ボレロ」。振り付けはランビエールコーチ。満を持して、恩師の作品で大事なシーズンに挑みます。

宇野「今は試合が楽しみなんです。実は4年ぶりくらいにスケートをやっていて、やりがいや楽しさがこみ上げてきて、スケートを楽しめているので、今年は宇野昌磨というフィギュアスケーターを少し期待してほしいなって思ってるくらいスケートを頑張りたいなって思っています。一つの失敗を恐れるのではなく、一つの成功を期待して僕自身も試合を楽しみにしています」

オリンピックの前哨戦となるGPシリーズ。宇野選手は開幕戦のアメリカ大会と日本大会に出場を予定。12月に大阪で行われるGPファイナルを目指します。