物語の主人公は、どこか虚無感をかかえながら成り行きまかせの日常をこなしている会社員・辻一路 (森崎ウィン)。人当りはいいものの実は何事にも冷めており、職場の先輩と後輩の二股を進行させているという “クズ男” の辻が出会うのは、無意識のうちに男性をひどい状況へと導くヒロイン・葉山浮世 (土村かほ)。 追い込まれるとその場限りの嘘をつき、お金や人間関係、すべてに無責任な言動をとる浮世は、辻を含めた周囲の男性を巻き込みながら転落を繰り返します。

裏切りや背徳が満ちた作品ですが、ただの「愚かな男女が堕ちていくゴシップストーリー」ではありません。彼らの弱さは、実は自分自身にも少なからず身に覚えがある部分なのではないでしょうか。
特に、一見ひどい女に見える浮世という女性にフォーカスをあてています。
「男社会の欲望の中で消費されていく女性の生きづらさ、男社会で求められる女性の姿を生き抜くための擬態のように身にまとってしまったかのようなヒトの哀しさ」を描きたいと深田監督自身がコメントするように、女性に対する理不尽を通じて人間を描きます。

メガホンを取るのは、映画『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞し、新作映画『よこがお』が好評公開中(2019年9月現在)の深田晃司監督。『本気のしるし』は自身が20歳の頃に出会ってから映像化を熱望していた作品であり、連続ドラマ作品は初挑戦となります。

主人公のつじかずみち役を演じるのは、ドラマ初主演となる森崎ウィン。スティーブン・スピルバーグ監督『レディ・プレイヤー1』(2018年)でダイトウ役を射止め、2019年10月には出演作の恩田陸原作映画『蜜蜂と遠雷』が公開を控えています。
ヒロイン・やまうき役を、ドラマ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』や『3年A組-今から皆さんは、人質です-』などで存在感を示す実力派女優の土村芳が演じます。

原作者・星里もちる コメント

漫画家生活33年にして、初の連続ドラマ化に興奮しないわけがありません。
『本気のしるし』は、それまでコメディオンリーだった私が、 負のパワーを総動員し自分のドロドロした内面ととことん向き合い、本気で描き上げた野心作です。辻くんや浮世さん、その他のメンバーが どのように映像化されるのか楽しみにしています。脚本、監督、スタッフの皆様、どうぞ思う存分ドロドロにしてやって下さい(笑)

監督・深田晃司 コメント

『本気のしるし』を読んだのは二十歳の頃。観客の想像力を先へ先へと牽引する巧みな星里節に唸りつつ、星里作品で定番の軽妙なユーモアは禁欲的に封印され、決して道徳的には褒められたもんじゃない人間たちの抜き差しならない本気の恋愛ゲームに心を鷲掴みにされました。そして、この転がるように人間関係が更新されてゆく物語は直感的に映画よりも連続ドラマ向きなのでは、と思い、ことあるごとに「この漫画、ドラマにしたらやばいですよ」と言いふらしていたら、本当に自分でドラマ化することになりました。何事も言ってみるものです。
原作の志と向き合いながら、清新な俳優たちと作り上げる『本気のしるし』を自分も早く見てみたいです。