東京オリンピックで銀メダル、女子バスケ・馬瓜エブリン選手「人生の夏休み」を経ていざパリへ

2024年4月25日 17:33
1年間の休養を経て、パワーアップして戻ってきた馬瓜エブリン選手(28)。競技から離れたからこそ、得ることができたものがあります。

3X3の大会でマイクを握る馬瓜エブリン選手(2022年8月)

 4月15日、Wリーグの年間王者を決める大一番。

 エナジー全開のプレーを見せていたのは去年、デンソーに加入した愛知県豊橋市出身・馬瓜エブリン選手(28)。

 惜しくも初優勝に導くことはできなかったものの、チーム最多の23得点を挙げる活躍を見せました。

「休んだことによって、その中での経験が生きていると思うし、バスケに向き合う時間が取れたのがよかったと思います」(デンソーアイリス 馬瓜エブリン選手)
 

3X3 試合の様子(2022年8月)

人生の夏休みに「夢」を実現
 3年前の東京オリンピック、エブリン選手は史上初の銀メダル獲得に大きく貢献。

 さらに、Wリーグではトヨタ自動車を2年連続の優勝に導きました。

 そんなキャリア全盛のおととし7月、異例ともいえる休養を発表。

「なぜ?だって頑張ったから。頑張ったら休むものじゃないですか。休んでいる間に色々な視点を広げたり、やれることはいっぱいある」(エブリン選手)

 “人生の夏休み”と題し、休養期間中に様々なことに挑戦。

 その一つが、夢に描いていた3X3の大会を開催することでした。

 エブリン選手は、以前から付き合いのあるステーキチェーン店と交渉するなど、自らスポンサー集めに奔走しました。

 大会の会場は栄のど真ん中、愛知県での開催にこだわる理由がありました。
 

エブリン選手(2022年8月)

「夢は口にしたら叶う」
 豊橋市生まれ、東郷町育ちのエブリン選手は、小学生の頃から運動神経は抜群。

 小学4年生から始めたバスケットボールも、メキメキと頭角を現し、高校では愛知の名門・桜花学園に進学し、日本一にも導きました。

 自分を育ててくれた地元・愛知をバスケの聖地にするため、迎えた大会当日。

 有料の観戦エリアのチケットは完売。

 大会は大きな盛り上がりを見せ、時には選手としての血が騒ぎ自ら参加する場面も。

 「最初は、ほんとに小さな会話から始まったんです。この名古屋の真ん中で、3X3できたらいいねって。今回1個思ったことは、夢はちゃんと口にしたら叶うんだなと思いました」(エブリン選手)
 
アメリカでの武者修行
 さらに充実した夏休みにするため、締めくくりに挑んだのは、バスケの本場アメリカでの武者修行。

 「きつかった。試合形式でやるのは久しぶりなので、楽しかった」(エブリン選手)

 アメリカのプロチームを相手に、真剣勝負の日々。

 海外挑戦を目指す選手たちと約10日間、共同生活を送りました。

 「海外でプレーしたいっていう選手たち、特に女子なんですけど。その子たちとコミュニケーションをとりながら、どうやったら海外でプレーできるかを考えるのも楽しかった」(エブリン選手)
 

デンソーアイリス入団会見の様子

デンソーアイリスで新たなスタート
 そして、休養宣言から1年たった去年。

 新たなスタート地点に選んだのは、愛知県刈谷市に拠点を置く、デンソーアイリス。

 桜花学園の大先輩、同じ豊橋市出身・高田真希選手も所属し、常に上位を争う強豪です。

 「私が加わることにより、初優勝という新しい歴史を作ることができたら、Wリーグにとっても面白いことができる。高田選手をサポートするだけでなく、引っ張るぐらいの選手が出ないといけない。その一人になりたい」(エブリン選手)
 

デンソーアイリス 高田真希選手

大先輩に初のタイトルを!
 去年12月、皇后杯決勝。

 エブリン選手は、高田選手とのホットラインで得点を重ねていきます。

 「デンソーひと筋16年の大先輩に初のタイトルを!」と、チームを引っ張り続けたエブリン選手。

 2年連続準優勝に終わっていたチームを、初優勝に導きました。

 「高田選手と小学5年生からの仲なんです。私が小学5年生で高田選手が高校2年生で、桜花学園の憧れの選手とプレーして、手ぶらで高田選手を辞めさせるわけにはいかない。有言実行できてよかった」(エブリン選手)

 「初優勝できたのは、エブリンがいるかいないか。勢いをもたらしてくれたのは、エブリンのおかげ」(高田真希選手)
 

エブリン選手

パリへの意気込みは?
 Wリーグでも決勝進出に導くなど、1年間の休養を経てパワーアップして戻ってきたエブリン選手。

 日本代表にも復帰し、パリへの切符獲得に大きく貢献しました。

 パリオリンピックまで、あと3カ月。

 予選リーグで当たるのは、くしくも東京オリンピックの決勝で敗れた金メダルのアメリカです。

 「正直、とんでもないリーグに入ってしまったなと。対等に戦える、なんなら勝てるところまで行けたらすごく世界が驚く。チームに貢献することが目標」(エブリン選手)

 数々の驚くことをやってのけてきたエブリン選手。

 再びオリンピックの舞台で新たな歴史の1ページを刻みます。
 

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