佐藤 裕二

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ニュースの時間

団塊マネーを狙え

「あなたが、または夫が退職したら何がしたいですか?」。
街で聞いてみると、圧倒的に多い答えが旅行。
「若い頃に行った所にもう一度行きたい」との答えが返ってくる。
人気は世界遺産。「ローマ遺跡を巡るチュニジアの旅 10日間」といったものが人気を集めているという。

国内では、東京ディズニーシーがアクティブな60歳以上を対象にシニア向け年間パスポートを発売。
来年1月末日までの期間限定で5000枚限定。通常の大人用パスポートよりも1万6000円安い2万9000円で何度でも通常営業時間の東京ディズニーシー を楽しむことが出来る。
夫婦で楽しむのはもちろん、お孫さんの笑顔を見られる機会も増える。「じいじ、大好き」。そんな言葉も聞かれるかもしれない。

団塊世代の退職金は50兆円から60兆円とも言われ、この「団塊マネー」を狙ったビジネスが加熱している。


「シックスポケット」という言葉がある。
少子化にともない、一人の子供に対し、その両親と父方母方それぞれの両親、あわせて6つのポケットからお金が出る。私の両親もそうだが、時間・懐に余裕のできる60代は、孫への支出となると途端に財布の紐が緩む。ここをどうくすぐるかも大切な要素だろう。

一方、退職するお父さん達には意外なものが人気だ。

例えば「蝶の標本」。東急ハンズ名古屋店の「男の書斎」というコーナー。
ミッドランドスクエアの開業を前に、「働く男性により良いものを」をコンセプトに昨秋オープンした。
革製のデザイナーズスリッパ(1万4000円)や名車スカイラインGT-R,サバンナRX-7のミニカー(各3750円)などが注目を集める。

そんな中、東急ハンズの予想を上回る売れ行きを誇っているのが「蝶の標本」(2100円~)だ。
一月に50個ほど売れるという。しかも主に買っていくのはビジネスマンではなく団塊世代。
東急ハンズでは「虫捕りをしたり、虫の標本を作った少年時代を思い出すのでは」と、この意外な人気に驚く。

「団塊世代の男心」をどう刺激するかも、大切な要素の一つのようだ。