スタッフの一言

日々スポーツ取材に励むメ~テレスポーツ部スタッフ。そんな彼らが取材先で感じたことをつづります。

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野球学

2009/08/11

今回の担当者

スポーツ担当としてプロ野球を取材するようになって10年余り。
これまでの取材で大概の事は経験してきたと思う。
ノーヒットノーラン、2000本安打・200勝の瞬間、優勝決定試合、そしてビールかけなど。
しかし先日、初めての出来事があった。
8月9日横浜スタジアムでのベイスターズ戦。
6回表ベイスターズの攻撃中、突然地面が揺れた。そう地震だ。
記者席で感じた揺れは意外と大きく(震度3)、試合中にこれほど揺れたのは初めての経験で驚いたのは言うまでもない。
しかし、守備についていたドラゴンズの選手たちは気づいていない様子だった。
するとここで、もうひとつの驚きがあった。
揺れを感じてすぐ、落合監督がベンチから出て審判に声をかけたのだ。
この後、試合は中断。状況を確認して2分後に再開された。
試合後、落合監督は「俺たちは座っていたから分かったけど、選手はどう感じたか分からない。
結構な揺れだったよ。アレは・・・」と選手の安全を考えてベンチを出た主旨のコメントを残した。
思わぬ天災にも冷静に行動してみせた指揮官。ちなみにベイスターズベンチに何も動きはなかった。
実はこのように、野球に関して落合監督の実行力に驚かされることは少なくない。
この試合でも9回に、完投ペースだった中田投手がホームランで3点を失い7対4と3点差に詰め寄られ、さらにヒットを許したところで、落合監督は連続試合セーブを続ける岩瀬投手にスイッチした。
一瞬、考えた。セーブがつく場面なのかどうか。結果は「ヒットでランナーが出たことでセーブがつく条件が整った」のだが、監督はもちろんこのルールを理解していて即座に守護神の投入を決断したのだ。
もし、野球のことを考える学問「野球学」というものがあったとすれば、落合監督は確実に第一人者だと思う。
それ程、野球に対して造詣が深い。こんな人物が指揮官を務めるチームが今年も優勝争いを繰り広げている。
この結果はある意味当然といえるかもしれない。

ディレクター:T


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