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準硬式野球

2007/09/22放送

プロ野球には、意外な経歴を持った選手がいる。専門学校卒、中学生卒、軟式野球部出身など、いわゆる「野球エリート」と呼ばれるような存在ではない選手から花開いた選手も数多い。

そんな中、現在広島東洋カープの中継ぎ投手として活躍している青木勇人投手は「準硬式野球」という競技出身の選手だ。このあまり聞き慣れない「準硬式野球」という競技。一体どんなものなのか!?

ルールは硬式や軟式と全く同じ。最大の違いは「ボール」。外側は軟式ボールと同じゴムでできていて、中身は硬式ボールのような糸巻きしたコルクが詰まっている。そして、さらなる違いは「ボールが飛ばない」という事。実験してみた結果は、硬式ボールが一番で、軟式と準硬式ボールはほぼ同じくらいの飛距離だった。

では準硬式野球の魅力とは何か?大学でプレーする選手たちは、「ボールが飛ばないから、緻密な野球を覚えられる」「僅差のゲームが多いため、いかに1点が獲れるか、守れるかがカギ」と戦術的なプレーが要求される所に、大きな魅力を感じているようだ。

準硬式野球の始まりは、戦後間もない1940年代に「硬式ボールほど危なくなく、しかし使用感は硬式ボールに近いボールが作れないか?」という所から誕生したと言われ、このボールにいち早く目をつけたのが、大学野球界だった。現在全国で273校もの大学に準硬式野球部が存在し、これは軟式野球の数とほぼ同じなのだ。

そんな準硬式の世界からプロ野球へ飛び込んだのが、広島東洋カープの青木勇人投手。実は彼、高校時代に軟式野球部でプレーした後、大学では準硬式野球部に在籍し、何とプロに入るまで硬式ボールを握った事がなかった異色の選手なのだ。本人を直撃すると、やはり不安だったという。しかし抜群の適応力で見事にプロで成功し、現在の活躍に至っている。

光るスポーツ研究所的結論!
準硬式野球には、硬式や軟式とは一味違った魅力がある!より野球の奥深さを教えてくれる競技だ!