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ママさんアスリート

2007/03/31放送

日本は女子アスリートがとても元気。最近話題に上るようになったのが”ママさん選手“だ。出産後もトップアスリートとして現役復帰を果たした選手たちである。シドニー、アテネ五輪の金メダリスト柔道の谷亮子選手がいよいよ4月の大会で復帰。女子サッカー、ソフトボールでは日本代表に”ママさん選手”が選ばれた。

昔から「母は強し」と言うけれど、本当に出産で女性は強くなるのだろうか?実は、医学的に見ると出産はアスリートにとってマイナス面が多いという。国民健康保険坂下病院の浅井光興医師によると妊娠期間中は激しいトレーニングをすることができず、ホルモンの影響で靭帯が緩むなど腹筋に力が入りにくくなる。

しかし、悪いことばかりではないという。妊娠中は子宮の赤ちゃんを育てるため、心臓から排出する血液量が増える、つまり心臓がより多く働かなければならないため、自然と心臓のトレーニングを行っているのと同じような状態になるというのだ。つまりマラソンなど持久力を必要とするスポーツでは復帰しやすいと言える。

陸上長距離の赤羽有紀子選手は出産後わずか3ヶ月という驚異的な早さで現役復帰した。赤羽選手は安定期から出産2日前までランニングをして体調を維持していたと言う。浅井医師いわく「妊娠中に無理せずきちんと運動していれば早期復帰は可能」。肝心なのは妊娠中の過ごし方らしい。身体面で不安に思う必要はなさそうだ。また最近は環境面も充実してきている。日本サッカー協会はママさん日本代表の宮本ともみ選手に合宿や遠征時に専属のベビーシッターをつけ、サポートをしている。デンソー陸上部では若松育美選手に合宿先への子供の帯同を認め、保育費の補助などを行っている。若松選手をはじめ、多くのママさん選手は皆こう話す。「周囲に認めてもらっているので、結果を出して恩返ししたい。」子供、夫という大切な家族のためにも頑張れるというママさん選手たち、大人の輝きを放ちながらますます活躍しそうな気配である。