放送内容

2017年11月11日(土)放送

中日ドラゴンズドラフト1位指名 ヤマハ・鈴木博志投手 ~挑戦~

カテゴリー:野球

10月26日、プロ野球ドラフト会議。
日本中が固唾を飲んで見守った早稲田実業・清宮幸太郎の行方。
7球団競合の末、日本ハムが交渉権を獲得した。
そんな中、ドラゴンズは広陵高校・中村奨成を1位指名をするも
広島との一騎打ちに敗れ、再入札を余儀なくされてしまう。
そして指名したのは、静岡県出身のハタチ、ヤマハに所属する鈴木博志だった。
「1位で指名を頂き本当に光栄。身が引き締まる思いです」

最速157キロのストレートを武器に今年、
社会人ナンバーワン投手と呼ばれるまでになった逸材。
指名翌日に鈴木投手を訪ねると、社会人日本選手権に向けて練習を行う姿があった。
身長181センチ、体重95キロ。高校卒業後、社会人野球に進み3年。
その間、体重は17キロ増加し、球速は12キロも上がった。
今年7月の都市対抗野球で一躍時の人となり、
社会人で構成された侍ジャパンのメンバーにも選出される。
だが、ここに辿り着くまでの道のりは決して平坦なものではなかった。
「高校卒業前に右ヒジをケガしてしまい、高校からプロへ行くことは諦めました。
だから3年後、絶対にドラフト1位でプロに行くとその時に決めたんです」

磐田東高校ではエースとして期待されながら、ケガで戦線離脱。
プロ志望届すら出すことができなかった。
そんな鈴木を指導した山内克之監督が当時を振り返る。
「こっちが練習をやめろと言うまでずっと練習する真面目な生徒。
だからついついオーバーワークになってケガをしてしまう。本当に悔しかったと思う」
山内監督は苦しんだ鈴木に卒業前、
ある一枚の色紙を手渡し社会人野球に進む男にエールを送ったという。
それは「挑戦 159キロ」と書かれたもの。
鈴木が暮らす浜松市内のヤマハ選手寮を訪ねると、部屋の壁にはしっかりとその色紙が飾られていた。
「社会人野球で色々なことに挑戦してほしい、そんな意味を込めて書いて頂きました。
150キロは達成したので、また新しい色紙を書いてもらわないといけないですね」
ヤマハ入社後も苦しいことがあれば、その色紙を見て頑張ってきたという。

迎えた11月6日、京セラドーム大阪。
鈴木にとって、社会人野球最後の日本選手権が始まった。
大会連覇を狙うヤマハの初戦は近畿地区代表の強豪パナソニック。
鈴木はベンチスタート、戦況を見守り登板の機会をじっと伺う。
だが1点リードの8回、満塁のピンチで先発投手が逆転を許しそのまま敗れたヤマハ。
鈴木は登板することなく、最後の日本選手権を終えた。
この悔しさはプロの舞台で必ず。新たな挑戦に向かって―――――