放送内容

2014年10月19日(日)放送

中日ドラゴンズ・大野雄大 ~信頼~

カテゴリー:野球

今シーズン、大野が勝ち取れなかった「信頼」の二文字。
さらなる飛躍に向かって、大野雄大が進むべき道―――――

2月、大野はプロ入り4年目で最も充実したキャンプを送っていた。
初日のブルペンでいきなりの170球、今年に懸ける思いが誰よりも伝わってきた。
「開幕投手を狙うと言ったので、それを掴むために選手の信頼、
監督、チームスタッフのみなさんの信頼を得てそこを掴めるように頑張っていきたい」
そんな意気込みが男をさらに突き動かす。
オープン戦では5試合に登板し、21イニングで失点は3。
開幕投手の座を手中に収めようとしていた。


しかし開幕直前、谷繁監督の口から出てきたのは大野の名前ではなかった。
「監督には言われていたんですけど、オープン戦のときは抑えてることは抑えているけど、
球に意志がないと言われた。たまたま抑えているだけというか、
キャッチャーがサインを出して、考えずに投げていると」
指揮官に突きつけられた厳しい現実。今シーズンの初登板は開幕2戦目だった。
結果は6回3失点で負け投手。ここから大野の歯車が狂い始める。
その後5試合で3敗を喫し、4月27日に一軍登録を抹消された。
「やってやるぞ!っていう気持ちでいたし、
開幕してからもその気持ちは変わらなかったけど、焦りがあった。
早く一つ勝ちたいとか、自分の勝ちのことしか考えていなくて」


オープン戦までの好調から一転、大野の身に一体、何が起こっていたのか。
その原因の一つが自身のピッチンフォームだった。
実は昨シーズン終了後、球速アップを目的にワインドアップでの投球に取り組んでいた大野だが、ストレートと変化球を投げる投球動作にわずかな違いが出てしまっていた。
バッターは少なくともストレートなのか、変化球なのかという判断ができてしまう。
そこで大野自身が出した結論は無駄な動作の少ないセットポジションに戻すことだった。


退路を断ち、セットポジションで投げることを決断した大野。
ファーム落ちからおよそ2週間後、再び一軍に戻ってきた。
昇格即先発となった5月14日。
大野は8安打を許しながらも7回2失点で今シーズン初勝利。
我慢が実を結び、勝負ところの夏場には宿敵・巨人を相手にプロ入り初の完封勝利を収める。
そして10月、たどりついた節目の10勝目。
そんな大野には今、秘めたる想いがある。

「まずピッチャー陣の先頭に立って、自分が引っ張っていくことがすごく大事。
そういう姿を見せることによってあいつ変わったな?とか、大丈夫っていう信頼感とか芽生えてくると思うので」

信じられ、頼られるピッチャーとなるために。
大野雄大の来年へ向けた戦いは、もう始まっている。