放送内容

2014年08月17日(日)放送

がむしゃら プロ19年目ベテランの覚悟

カテゴリー:野球

今月6日の広島戦。
1点を追う4回、ノーアウト1塁の場面で
打席に入ったのは2番荒木。
センター前へ弾き返しチャンスを広げる。
このあと、4番ルナがタイムリー。
荒木は逆転のホームを踏んだ。
チームは見事に接戦をものにした。
勝利に貢献した荒木の一打は
通算1800本目のヒットだった。

「頑張りましたよね。頑張ったなーという感じです。
ここまで打ってきてヒットを重ねるたびに
周りの色々な人たちに色々なものを与えているような
気がします。こんな僕でもそこまで打てたという。
だからもっともっと打ちたいんです。」

生え抜きの野手では最年長となる36歳。
特別な想いを持って今シーズンに臨んでいる。

「目の前のことを、先を見てもまだ来ないですからね。
今、やるしかないですよね。」

中日ドラゴンズ、荒木雅博。
プロ19年目を迎えたベテランの覚悟に迫った。

今年1月。
プロ19年目のシーズンは例年通り
ふるさと熊本から始まった。
自主トレ3日目。日本一の段数を誇る石段を登った。
毎年行う恒例行事。
3333段もの石段を去年より速いタイムで登りきった。

去年チームは12年ぶりにBクラスへ転落。
荒木自身もケガでもないのにベンチを暖めることがあった。
悔しい1年。

巻き返しを誓った今シーズン。
バッティングフォームを変えた。
開幕直前になっても連日、コーチからアドバイスを受けながら
バットを振り込む。
すべては自らの居場所を取り戻すため。
「とにかくがむしゃらに毎日緊張感を持って。
やっていくんだろうなと思います。」

いよいよプロ19年目のシーズンが開幕。
チームは谷繁選手兼任監督のもと、新たなスタートを切る。
そんな中で荒木が存在感を示す。
5月8日の阪神戦では
チームを勝利へ導くサヨナラタイムリー。
歓喜の輪の中心で笑顔がはじける。

そして5月26日のソフトバンク戦。
1対1で迎えた延長10回。
荒木が19年もの間、
プロで活躍できた理由をプレーで魅せる。

ノーアウトから荒木がヒットで出塁する。
続く森野は送りバントの構え。
しかしバントは失敗し、キャッチャーへのファールフライ。
だが・・・。
荒木はタッチアップし、2塁を奪ってみせた。
バント失敗でチャンスがしぼんだと、誰もが思った瞬間。
しかし荒木は、次の塁を狙っていた。

「僕、野球をやっている、やり始めて
次の塁を狙わなかったときはないですよ。
打てないやつは、ああいうところで
自分の力を出していかないとダメなんです。」

どんな時でも、次の塁を狙う。
言うのは簡単でも実行するのは難しい。
それをやり通してきたからこそ、
厳しいプロの世界で荒木は生き残ってきた。

「がむしゃらに、本当にレギュラーを
とり立ての頃の気持ちのノリで、
この気持ちを1年間続けることが目標です。」

改めて存在感を示した荒木。
しかし2日後、まさかのアクシデントが襲う。
右手人差し指を骨折。
戦線から離れることを余儀なくされた。

ケガからおよそ3週間。
すでに練習は再開していた。
しかしバットこそ振れるものの、ボールを投げる時期は未定。
ケガをした右手をユニフォームの
ポケットに突っ込んだままノックを受ける。
まだ、復帰のメドはたっていない。
それでも少しでも早い1軍復帰を目指して。
できることは何でもやる。

7月上旬。
懸命にバットを振り込む荒木。
まるでキャンプのような打ち込み。
復帰へゴーサインが出た。
ようやく野球ができる。

1ヵ月半ぶりに1軍に戻ってきた荒木をカメラが囲む。
その復帰戦でブランクを感じさせないファインプレー。
いきなり輝きを放った。
チームの参謀役、森ヘッドコーチも荒木の存在に
期待をよせる。
「荒木が出れば相手のピッチャーも嫌がるし、
うちの打線も攻撃のバリエーションが増える。
期待はしている。
もっと苦しくなってきたときこそ、
レギュラーを張った人の力が必要になってくるから。」

今月13日のDeNA戦。
荒木が躍動した。
まずはバットで。
試合を振り出しに戻す2点タイムリーツーベース。
さらに足でも。
チームの得点すべてに絡む活躍。勝利をもたらした。

「目の前のことを、先を見てもまだ来ないですからね。
今、やるしかないですよね。」

残り40試合をきり、
優勝争いは、いよいよ正念場を迎える。

今こそ経験豊富なベテランが真価を見せるとき。
「がむしゃら」にチームを引っ張っていく。