放送内容

2013年10月27日(日)放送

全日本大学駅伝初出場へ「創部3ヵ月 岐阜経済大の挑戦」

カテゴリー:野球

名古屋から伊勢への106.8キロ。
大学日本一を決める壮絶な戦い。箱根、出雲と並ぶ学生3大駅伝のひとつ、それが「全日本大学駅伝」
3連覇を狙う王者・駒澤大学。悲願の初優勝へ、設楽兄弟擁する東洋大学。箱根王者、日本体育大学。そして東海地区でも、全日本へのキップをかけた熾烈な争いが繰り広げられた。
駅伝に全てを捧げてきた男たちの、熱きドラマに密着した。

大垣市にある岐阜経済大学。今年4月、陸上競技部から独立する形で、駅伝部を創部。
そんなチームの指揮を執るのは、地元可児市出身の揖斐祐治。
現役時代は、全日本、箱根、出雲の学生3大駅伝に8度出場し、区間賞に輝くこと6回。主力としてチームを牽引し、駒澤大学の一時代を築いた。
チーム作りは選手を集める事から、まさにゼロからのスタート。
揖斐監督の熱意、そして現役時代の実績を慕って23人の1年生が集まった。

「本当にスゴい人だなと。揖斐監督の下だったら、絶対強くなれると思った」(安田選手)
「スゴい監督ですし、指導も環境も揃っているということで、全日本を目指そうと思った」(大垣選手)

揖斐監督がまず行なったのが、選手たちの意識改革。
選手たちは全員寮で集団生活。日々の規則正しい生活が重要と考えた。
起床時間や掃除の時間など、生活のリズムを整えさせた。この取り組みの裏には、恩師の言葉があった。

「大学の時大八木監督から言われたんですけど、
『環境が人を変えて、人が環境を変えてく』という部分では、まず最初に意識と環境を変えたら、本人たちの競技に対する意識も変わってきまして。またそれで、練習する環境も変わってきてという形で」

6時からの朝練習に始まり、1日4時間。規則正しい生活と練習。
揖斐イズムの浸透と共に、タイムは大幅に伸びた。目指すは初の全日本出場。

6月、全日本への出場権をかけた東海地区選考会が行なわれた。
1レースに各校2人が出場。それぞれ1万メートルを走り4レースを行う。
8人の合計タイム上位2校が、本大会への出場権を獲得できる。

6年連続の全日本出場を目指す、古豪・中京大学。2年連続の出場へ、国立の雄・名古屋大学。
そして2年ぶりの出場を目指す愛知工業大学。過去5年、この3強が出場権争いを繰り広げてきた。

1組目、終始レースを引っ張った中京大がワンツーフィニッシュ。好スタートを切った。
一方、名大と愛工大は出遅れてしまう。
その3強に割って入ったのが、岐阜経済大学。全く無名の大学が、2組目を終えて2位につけた。

続く3組目、1年生の安田が会心の走りをみせれば、唯一の4年生米田も、粘りの走りをみせる。

3組目を終えて、岐阜経済大は全日本出場枠の2位をキープ。
駅伝部創部1年目で、初の全日本出場へ。残すはあと1組。

レース序盤、岐阜経済を追う愛工大がレースを引っ張る。
一方、岐阜経済の2人は、自分たちのペースでレースを進める。

全ての力を出し尽くし、8人が走り切った。そして岐阜経済大が初めて全日本への出場権を獲得した。

激闘から2ヵ月。全日本を3ヵ月後に控え、岐阜経済の選手たちは合宿を行なっていた。
共に練習を行なうのは、名将大八木監督率いる駒澤大学。
揖斐監督の母校であり、全日本優勝10回を誇る全国屈指の強豪校である。

共に練習することで、さらなる高い意識を植え付けさせるのが、この合宿の目的。
普段とは違う環境での、貴重な練習。トップレベルを肌で感じることで、多くの収穫を得た。

「私たち1年目ということで、走る選手も1年生が中心となりますので。彼らの良い所というのは怖いもの知らずで、まだ大きな舞台に立ってなくて経験がないので。怖いもの知らずの気持ちでどんどんチャレンジしていってもらいたいと思ってます」(揖斐監督)

「不安も大きいですけどやっぱり挑戦者ということで、チャレンジ精神を持っていきたいと思っています」(横山)

かつて駅伝界を沸かせた名ランナーに導かれ、初の全国の舞台へ。岐阜経済大学の新たな挑戦が始まる。