放送内容

2012年02月11日(土)放送

グランパス 阿部翔平 ~左のスペシャリストに密着~

カテゴリー:野球

愛犬と戯れるその姿からは、ピッチ上でのあの激しい姿は想像できない。中学生以来という、初詣。引いたおみくじは「吉」、その内容は「平々凡々」(阿部)。思わず出た言葉は、「僕らしい」。それが、グランパス、左サイドのスペシャリスト・阿部翔平の素顔。

1月下旬、母校の小学校を訪れた阿部は、後輩たちから熱烈な歓迎を受けた。プロサッカー選手として活躍する阿部は、後輩にとって憧れの存在。それは、16年前の阿部少年にとっても同じだった。小学校の卒業文集、「高校サッカーの強い学校に行って‥‥(略)‥‥そのあとプロのチームに入って一流のプレイヤーになり・・・・」、自分の描いた夢を、なぞるように、阿部は現在に至った。

少年時代の夢を実現させた阿部の最大の武器は、「左足のキック」。チームメイトも絶賛する左足のキックで、サイドチェンジ、ロングクロス、センタリングと、阿部はチームに何度もチャンスをもたらす。持ち味は、蹴り分ける能力の高さ。蹴り分けは、単にテクニックを指すのではない。プロになって磨かれたのは、「頭の方」。それは、状況を分析し、判断するスピードと能力。

去年の開幕戦、小川に入れた速いクロスは、その好例。ゴール前中央で厳しいマークに会うケネディではなく、ウラに走りこむ小川の動きを、阿部は最初から想定していた。それが、一流の資質。しかし、阿部は、全てに恵まれたわけではない。

身長は、ギリギリ(?)の170cm。プロフィールでは171cmだったが、最近、縮んできたらしい。しかし、その背の低さを阿部は、ハンデとは感じなかった。それを補ってあまりある、筋力とバネ。背は低いが阿部は太いのだ。チームメイトも認めるのが、その「おしり」。本人も、「ケツがでかい」と、笑う。腰に巻いたバスタオル。結び目がほどけても、その「おしり」にひっかかって落ちることはないらしい。

実は阿部、去年の12月に利き足の左足を手術した。去年の夏以降、「欠けた骨が動いて、関節に挟まるような感じ」で、断続的な痛みを抱えてプレーをしていた。いつ始まるか分からない突発的な痛みの不安。それを、取り去り、不安は解消。今年、阿部は完全なる状態で、シーズンを迎える。阿部の完全復活を、指揮官も手放しで喜んだ。

「阿部の敏捷性、プレーの質の高さには強い信頼を持っている」「一番大切なのは、その阿部が万全の状態にあるということだ」(ストイコビッチ監督)

チームは、2月9日、大分・別府でキャンプをスタート。リーグ王者の奪還、そしてACL制覇へ。2012年のグランパスに阿部の左足は欠く事ができない。

「サイドバックていうのは、結構、なかなか出続けていかなきゃいけないポジションだと自分では意識している」「いつもの目標ではあるんですけど、このキャンプでいい準備をしていきたいと思います」