放送内容

2012年02月04日(土)放送

ドラゴンズ山崎武司~負けるもんか~

カテゴリー:野球

キャンプ初日の朝。
10年ぶりにドラゴンズへ戻ってきた
山﨑武司はこの日を特別な想いで迎えていた。
「少し寝付けなかった。開幕スタメンを目標にしているので、
勝ち取るためにキャンプでは良い状態をつくっていきたい。」
プロ26年目。現役にこだわる43歳のベテランの
新たなる挑戦が始まった。

1987年、地元愛工大名電高校からドラフト2位で
ドラゴンズに入団。
プロ10年目にはホームラン王のタイトルを獲得し、
一気にレギュラーの座をつかんだ。
1999年には11年ぶりの優勝を決定付ける
サヨナラスリーランホームラン。
長い間ドラゴンズの顔として活躍した。
しかし2002年のシーズン終了後、トレードでオリックスへ。
その後、球界再編で新規参入を果たした楽天に移籍。
そこでの野村克也元監督との出会いが大きな転機となった。
2007年にはホームラン・打点の2冠王。
去年は史上17人目となる通算400号を記録するなど、
40歳を過ぎてなお、輝きを放ち続け、
楽天のチームリーダーとして大きな存在だった。

しかし・・・。突然の戦力外通告。
球団からはコーチの就任要請があった。それでも・・・。
10月10日。退団が決まった山﨑の最後の勇姿を見ようと
Kスタには多くのファンが詰め掛けた。
「こういう形でユニフォームを脱いで仙台を離れますが、
この恩は一生忘れません。」
球団創設からプレーし、愛着のある球団を去る事になってでも
現役へのこだわりは捨てられなかった。
およそ2カ月後、
山﨑は名古屋へ向かう新幹線の中にいた。
「名古屋に帰って緊張することはあまりないんだけどね。
今日はやっぱり特別な日だから・・・。
良い話し合いができてまとまってくれればね。
良き日にしたいね。」
古巣、ドラゴンズとの契約交渉へ。
改めて、現役を続けたいという強い想いがこみ上げる。
「きれいさっぱりイーグルスで最期を迎えようと自分も
思っていたので、全然違うことをやっている自分がいるんだ
けども、まだ燃え尽きれなかったというかね、
まだまだ「無理だ」「限界だ」というところじゃなかったので」

そして山﨑の想いは現実のものとなった。
年俸は楽天時代のおよそ10分の1となる3000万円。
それでも山﨑の表情には、
古巣で野球ができる喜びが溢れていた。
「1試合ででも多く試合に出て、またファンの方々に
ドラゴンズファンの方々に認めてもらえるように頑張りたい。」
10年ぶりに山﨑武司が中日ドラゴンズに戻ってきた。

1月の合同自主トレ。
久しぶりに足を踏み入れたナゴヤ球場で
笑顔を見せる山﨑がいた。
プロ26年目、43歳というベテランになっても
野球への情熱が衰えることはない。
「やっぱり自分の気持ちが折れない事と、あきらめない。
1年を通してあきらめない気持ちを持って
戦うしかないと思うので・・・。
まだ若いやつらに負けるもんかとか、
まだ自分の中で何とか若い選手と戦えるとか戦いたいとか
やっぱり見返してやるとかね、そんな事ばかり考えていますね」
2月1日、いよいよ始まった新しいシーズン。
高木守道新監督を迎え、生まれ変わったドラゴンズとともに、
山﨑のプロ26年目のシーズンもスタートした。
そしていきなり存在感を示した。
去年のシーズン終了後以来、
およそ4カ月ぶりのフリーバッティングにも関わらず、
打球は大きな放物線を描き軽々とフェンスを越えた。
去年、貧打に泣いたチームにとって山﨑の存在は
大きな力になるはずだ。

「今シーズン本当にユニフォームを着ているかどうか
わからない状態だったのに、こうしてユニフォームを着る
チャンスが出来て、ましてドラゴンズのユニフォームが
着られるという、喜びが笑顔になったのかな。
何とかファーストで開幕スタメンというのが
僕の目標ですから・・・。」

43歳。チーム野手、最年長となる山﨑武司。
その歩みは、まだ止まりそうもない。