放送内容

2011年05月21日(土)放送

中日ドラゴンズ 堂上剛裕 「剛から柔へ」8年目の進化

カテゴリー:野球

5月17日のマリーンズ戦。
8回表、チャンスで落合監督は開幕から起用し続けてきた
グスマンに代打を送った。
打席に立ったのは、背番号63堂上剛裕。
2球目をレフトにはじき返し、ダメ押しのタイムリー。
ベンチの起用に見事に応えた。
プロ8年目を迎えた期待の若手が今、自らの殻を破ろうとしている。

堂上剛裕は4月16日に1軍に昇格すると、
5月20日の時点で主に代打ながら13打数7安打、
5割を超える打率を残していた。
プロ8年目の今シーズン、剛裕の中で何かが変わった。

「4年目ぐらいから挑戦したんですけど、
本当に分からなかったんですね。どうやって力を入れるか。
分からなくて、いま少し分かってきた感じですね。」
剛裕の持ち味はガッチリした体格から繰り出される強烈なパワー。
しかし、その力をうまく生かせないでいた。
「体重でボールを運んでいたという感じですね。今までは・・・」
これまではどちらかというとバットをボールにぶつけて力で飛ばす
いわゆる硬いバッティングだった。
「柔らかい(スイング)とか出来なかったんですけど、
ナゴヤドームとかで試合後の練習で少しでも力に頼っていたら
(コーチ)に注意してもらえるし、
毎日言われることで少し意識が変わってきました。」

力だけの「剛」から力と柔らかさを兼ね備えた「柔」へ。

「右足が一気に地面に着かないというところですかね。
ゆったり着いて回転するという感じになってきました。
力に頼らず振るという事ですね。」

今シーズンずっと続けてきたこと。
ゆったり着くことを意識して右足を踏み出す。
その成果が今結果につながり始めている。

さらに打席での気持ちにも変化があった。
「川相さんにファールの打ち方を教えてもらって、
それで楽になりましたね。」
去年2軍を指揮した川相監督から受けたアドバイス。
「今まではツーストライクに追い込まれても、
全部ヒット狙いだったんですけど、
厳しいところはカットしたり、そういうのもありだなと・・・」
これまでは結果を欲しがるあまり、どんな状況でもヒットを狙い
打席で余裕をなくしていた。
しかし、ファールをプラスに考えることが出来るようになり
打席で気持ちに余裕が生まれた。

5月14日のタイガース戦。1点リードの7回、チャンスで剛裕が打席に向かった。
マウンドには去年14勝を挙げた久保。
ワンボールワンストライクからの3球目、
ボールになるフォークを空振りし追い込まれる。
このあと、ツーボールツーストライクとなってからの5球目、6球目。
際どいコースをファールでしのぐと、フルカウントまで持ち込み9球目。
アウトコースの難しい変化球を左中間へ弾き返し、タイムリーツーベース。

厳しいボールをカットし、柔らかいスイングで変化球を捉えた。
プロ8年目、しっかりと見せた成長の証し。

チームはいま、ペナントの行方を左右する交流戦を戦っている。
指名打者制となるパ・リーグの本拠地での試合は若手にとっては
大きなチャンス。もちろん剛裕も黙っているつもりはない。
「出る機会は増えると思って、交流戦の時にいい状態になるように
練習してきたので、チャンスがきたらしっかり結果を残したい。」