放送内容

2010年10月30日(土)放送

プレイバック2007 53年ぶりの日本一

カテゴリー:野球

ドラゴンズが初の日本一に輝いたのは球団創設19年目の1954年。しかしそれ以降、実に6度も日本シリーズに進出しながら全て敗退。気づけば半世紀以上、日本一の栄冠から遠ざかっていた。

2007年、レギュラーシーズンは2位に終わったドラゴンズだったが、クライマックスシリーズでジャイアンツを撃破。日本シリーズ進出を決めた。プロ19年間で4度の日本シリーズに出場した立浪は日本一になることの難しさを誰よりも知っていた。

「やっぱり負けたら終わりという試合が必ず出てきますよね。そこのプレッシャーですよね。それまでシリーズを4回経験させてもらって1回も勝てなかったわけですから。だから、そういう日本シリーズという舞台に出れた時は身体が痛かろうが最後かもしれないし、なかなかこんなチャンスは無いと思って。自分の場合はそういう気持ちで試合に臨んでいましたけどね。」

2年連続で同じ顔合わせとなった2007年日本シリーズ。ファイターズのエースは球界を代表するピッチャー、ダルビッシュ有。打線を引っ張るのがこの年首位打者を獲得した稲葉篤紀と切り込み隊長の森本稀哲。

前年、2006年の日本シリーズ。ドラゴンズは初戦こそ勝利するも、そのあとまさかの4連敗。栄冠をつかむことはできなかった…。

2007年、第1戦は敵地・札幌ドーム。先発はファイターズ・ダルビッシュ、そしてドラゴンズは川上。

1回、川上の制球が定まらない。2つのフォアボールを与え、4番セギノールには甘く入ったストレートを捉えられ早々と先制を許す。一方のダルビッシュは立ち上がりから球威、キレ共に抜群。ドラゴンズは5回までわずかヒット2本に抑えられる。6回に1点を返すも4番ウッズがノーヒットに抑えられるなど、最後までダルビッシュを打ち崩すことが出来ず初戦を落とした。

当時のことを立浪はこう振り返る。

「初戦はまあ、どっちも勝ちたいんですよね。とにかく勝って良いスタートを切りたい。これは当然なんですけど、負けてしまいましたと。エースの川上で負けると非常に痛かったんですけど。やっぱり2戦目ですよね。2戦目でこれ負けてしまうと、そのままの流れで4連敗で終わってしまう可能性が強いですから。2戦目では今日負けたら…というのはありましたよね。」

立浪がターニングポイントと語った第2戦。

ドラゴンズは1回から積極的に攻撃を仕掛ける。1番荒木が初球を叩き出塁。すると、2番井端の初球ですかさず盗塁!試合開始わずか2球でセカンドを落とし入れる。このあと3塁1塁とし、3番森野!きっちり犠牲フライを打ち上げ1対0。第2戦はドラゴンズが先手を取った。

さらに1点リードの4回、チャンスで立浪に打席が回る。その時、立浪は・・・

「シーズン終盤に太ももを肉離れしまして、治りきらずにサラシを巻いてDHで出してもらったという覚えがある。」

実はこの時、立浪の体はすでに限界にあった。満身創痍のなかフォアボールを選び、後ろへつなぐ。すると続く中村ノリがタイムリーを放ち、ドラゴンズが貴重な追加点を挙げた。

「打ってくれた時は足が切れないように1塁ベースからサードまで走ったのは1番印象に残っています。」

ゲームの主導権を握ったドラゴンズは7回に森野がダメ押しのツーランホームランを放ち試合を決定づける。投げては先発の中田が1点こそ失うも、8回を投げ許したヒットわずか3本と堂々たるピッチングを披露。

ドラゴンズが星を五分に戻し、北海道決戦を終えた。

「1勝1敗で敵地からナゴヤドームに帰ってこれたことが大きかったですね。ちょっと落ち着いて、さあ次は自分の所の庭で野球ができるというような感じで飛行機で帰ってくるわけですよ。」

1勝1敗で迎えた第3戦。本拠地ナゴヤドームに場所を移しドラゴンズが躍動する。1回、4番ウッズのシリーズ初のタイムリーで先制すると…このあと打線が大爆発!怒涛の7連打でこの回一挙7得点!序盤で試合を決めたドラゴンズが第3戦を取った。

「ナゴヤドーム帰ってきて初戦取ったことで、もう完全に昨年のシリーズと逆の形になりましたから。完全に勢い付きましたよね。」

勢いづいたチームは続く第4戦も勝利を収め、一気に日本一へ王手をかけた。

日本一がかかった第5戦。ドラゴンズの先発は、シーズン後半から先発ローテーションの一角を担った山井。一方、後がない日本ハムはエース・ダルビッシュを中4日で先発マウンドへ送る。

最初にチャンスをつくったのはドラゴンズ。2回、3塁2塁としプロ2年目の平田!第1戦で苦戦したダルビッシュから犠牲フライを放ち先制点を奪う。援護をもらった山井は立ち上がりから抜群の集中力。伸びのあるストレートでバッターを圧倒。さらにはキレ味鋭い変化球で、ファイターズ打線を打ち取っていく。

なんと8回まで1人のランナーも許さないパーフェクトピッチング。スコアボードにゼロを並べた。ところが9回、どんな時でも勝負に徹するオレ流采配。最後は守護神・岩瀬にマウンドが託された。そして53年ぶりに掴んだ日本一。


落合政権3度目のリーグ優勝を果たした今シーズン。ドラゴンズは3年ぶりの日本一を目指す。リーグ制覇、そして日本一。完全制覇を成し遂げた時、ドラゴンズ黄金時代の幕が上がる。