放送内容

2010年09月11日(土)放送

中日ドラゴンズ 山井大介 「覚醒 プロ9年目の進化」

カテゴリー:野球

今週の水曜日。スカイマークスタジアムで行われた
阪神対中日の首位攻防第2ラウンド。
ドラゴンズ先発の山井大介がマウンドで躍動した。
11三振を奪い今シーズン7勝目。
ペナントの行方を占う大一番で最高のピッチングを見せた。

プロ9年目の今年、山井は自己最多となる7勝を挙げ
過去最高のシーズンを送っている。
しかし、これまでは苦しみの連続だった。

2007年11月1日、日本シリーズ第5戦。
この試合で山井の名前は全国に知れ渡ることになる。
8回を投げて一人のランナーも許さないパーフェクトピッチング。
チームの53年ぶりの日本一に貢献するとともに、
その潜在能力の高さを見せ付けた。
ところが、翌年は右ひじを痛め登板はわずかに2試合。
活躍したあとに怪我をする。入団時から続く最悪のパターン。
山井は常に付きまとう怪我の影に苦しんでいた。
2009年1月上旬。
山井は一人、鳥取にあるトレーニングジム『ワールドウイング』で
自主トレをスタートした。
このチャレンジが山井には吉と出た。
2009年のシーズン、勝ち星こそ挙げられなかったものの
1年間投げ続けることができた。
ようやく怪我の苦しみから開放された。

怪我の不安がなくなった今シーズンは5年ぶりに開幕ローテを勝ち取ると、
4月6日のベイスターズ戦で今シーズン初勝利。
実に887日ぶりの白星をつかみ復活を印象付けた。
ところがその1週間後。同じベイスターズ戦で打ち込まれ
2回途中でノックアウト。
開幕から3試合で15失点。2軍落ちとなった。
しかし、この時間が山井にとって大きな転機となった。

「こういう感じで投げればリズムが悪くならないというか
バランスよく投げていけるのかな」

2軍でピッチングフォームの感覚を取り戻した山井はおよそ2ヵ月後に
1軍に復帰するとオールスター前までに6年ぶりの完封を含む3勝を上積み。
後半戦に入っても、8月18日のジャイアンツ戦で
8回までノーヒットに抑える快投。
そのピッチングを支えているのが新たな武器の存在だった。

「フォークボールが自分のバロメーターというか・・・」

これまで山井といえば、あの日本シリーズでみせた
鋭く曲がるスライダーのイメージが強かった。
「いままで相手から見たら山井というピッチャーは真っ直ぐとスライダーだけ
という風に思われていたし、スライダーが入らなければ真っ直ぐを待てばいい
という風に思われていたんですけど、今、フォークボールが自分としての
バロメーターというか、球種が1個増えたという状態でピッチングが
できているので投球の幅というのは明らかに広がった。」
去年までもフォークボールは投げていたが、思い通りに操れなかった為に
その役割は限られていた。
「今までだったらフォークはワンバウンドを投げとけばいいというぐらい。
今年からいい感じで、要所で使い分けられている。」
キャッチャーの谷繁も山井のフォークボールの進化を感じている。
「使える球になっているから使っている。
まあ使えるようになったんじゃないですかね。」
今週水曜日の首位攻防戦。
6回、山井はタイガースの強力クリンアップを3者連続三振に切って取った。
そのうち2つがフォークボール。
「初めてじゃないですかね。自分がプロ9年目にしてようやくピッチングらしい
ピッチングをしているというのは・・・。」
フォークボールの存在がピッチングの幅を広げ結果につながっている。

現在3連勝中で今シーズンの勝ち星は自己最多の7勝を記録。
そんな山井に谷繁は更なる期待をかける。
「彼自身がいいピッチングをしていると思っているんだったら
それは僕と違いがあって、まだ出来るって僕は思っているんで・・・。」

プロ9年目、怪我の不安を振り払い新しい武器を手に遂に覚醒した山井大介。
4年ぶりのリーグ制覇へ、その存在は大きくなるばかりである。

「ここからの試合は勝つという強い気持ちを持ってマウンドに立ちたいですね。」