放送内容

2010年07月03日(土)放送

中日ドラゴンズ 朝倉健太 「11年目の決意」

カテゴリー:野球

先月22日、浜松で行われた横浜戦。
ドラゴンズは5対2で逃げ切り、勝率を5割に戻した。
最後を締めた岩瀬からウイニングボールを渡されたのは
先発で好投した朝倉健太。実に50日ぶりの白星だった。
しかし、朝倉は自らの勝ち星よりチームに貢献できたことを喜んだ。
「僕が投げた試合でゲームをつくってちゃんと
それでチームが勝てれば、もういいかな」

朝倉は今シーズン、キャンプで腰を痛めた影響もあり2軍スタートとなった。
「情けないなと思いますね。今年は特に自分の中で去年悔しかったので
それを見返してやるというつもりでやっていたので・・・」
プロ11年目のシーズンに強い決意を持って臨んでいた。

初登板は開幕からおよそ1ヵ月後の4月20日のヤクルト戦。
ここできっちり意地を見せる。
6回までに12個の内野ゴロを打たせる朝倉らしいピッチングで
今シーズン初勝利。
初登板で最高の結果を出した。

ところが、そのあとは勝ちと負けの繰り返し。
負けゲームではランナーをためてから長打を打たれるパターンで
失点を重ね、大量点を奪われる悪循環。
「自分の中で守りに入っちゃうというか、1点をあげればいい
という感覚にはなれなくて・・・」
最初の1点を大事にするあまり、
攻めのピッチングができなくなり大量失点へ。
5月18日のロッテ戦でも3回に連打を許し、この回一気に3失点。
このあと、体調を崩したこともあり5月27日に登録抹消。
課題を残したまま1軍を去ることになった。

そして抹消から1ヵ月後。
6月22日の横浜戦がリベンジをかけたマウンドとなった。
0対0で迎えた5回表、朝倉がピンチを背負う。
ここで1番下園に初球をライト前に弾き返され先制点を奪われる。
さらに続く石川にも初球を叩かれ3塁2塁。
ピンチが広がりバッターは好打者内川。
ヒットを許せば大量点につながってしまう。

「自分のペースを変えるじゃないですけど、
バッターのペースにならないように工夫はしましたけど・・・」
「カウントを獲りにいくボールでも、もう少し低目とか
手を出しそうなところに投げるとか。」
また同じ失敗を繰り返すわけにはいかなかった。
慎重に、それでいて攻めのピッチングで2ストライク2ボール。
5球目。得意のシュートで詰まったファーストライナー。
最小失点で切り抜けてみせた。
このあと、打線が爆発しチームは逆転勝利。
朝倉は復帰戦で見事に課題を克服した。

先月、朝倉は29回目の誕生日を迎えた。
プロに入って11年。投手陣の中では上から数えたほうが早くなった。
年下の投手が増え、朝倉に求められる役割も大きくなっている。
もちろん、その自覚もある。
「勝ち星とか別にもう、自分に勝ちがつけばいい
という感じではもうないですね。」
「僕が投げた試合でゲームをつくってちゃんと
それでチームが勝てればもういいかなという・・・」
自分の勝ち星よりどれだけチームの勝利に貢献したか。
プロ11年目を迎えた朝倉健太が目指すのは、ただそれだけである。