- 171回 -

2019年5月27日(月) 午前4:00~4:55

夢も、希望も

去年の年末、名古屋市内で暮らしていた少女と、その家族が忽然と姿を消した。彼女は18歳。市内の公立高校に通う3年生で、大学の推薦入試に合格した直後の出来事だった。カメラの前で彼女は「社会福祉士になることが夢」と語っていた。自宅の市営住宅を訪ねると、物色されたかのように家財が乱れ、食べかけのパンが放置されていた。
少女には同級生にも明かしてない事情があった。

仮放免。

在留資格が切れたまま日本で暮らしている、いわゆるオーバーステイの外国人は本来であれば入管(現在の出入国在留管理庁)によって身柄を拘束される。自主的に日本から退去しない場合は退去強制、いわゆる強制送還の対象になる。仮放免はオーバーステイの外国人に対する措置のひとつで、幼い子供がいる場合などに適用される。収容はされないものの、様々な制限の中で暮らさなければならない。その最たるものが就労を禁じられていることだ。

今年4月に日本政府はこれまでの入管行政を見直し、労働力として外国人を受け入れる方向に舵を切った。同時に出入国管理局を庁に格上げし、在留外国人の管理を強化する。
日本にやってくる外国人たちは設計通りに動く機械の部品ではない。結婚し、家族を持ち、子を産み、育てる。時には思い描いていた人生から、反れていくこともある。

日本で生まれた子供の中には、国籍は親の国籍でも、成長の過程で日本人としてのアイデンティティを身に着けていく場合が少なくない。姿を消した少女も、入管制度とアイデンティティの狭間で翻弄される「オーバーステイ2世」の一人だ。

彼女に、次々と襲い掛かる試練。18歳の夢は、いつか叶うのだろうか。