2019年3月25日(月) 午前4:00~4:55
 
常滑エピテーゼ~カタチとこころ~
 

エピテーゼ(人工部位)は病気やけがで失われた体の一部を補う装具です。愛知県常滑市に石膏型メーカー、「マエダモールド」があります。「焼き物」から「エピテーゼ」へ。伝統の地場産業「常滑焼」の衰退を受け10年前に、陶器業界では前代未聞の新規事業を立ち上げました。牽引したのは、会社の事業部長でもある前田一美さん(45)です。
一美さんは長野県で育ちましたが結婚を機に常滑に来ました。陶器の生産量が急速に落ち込む中、人工乳房の製造を提案し、自ら講座に通って人工乳房を作るノウハウを習得しました。エピテーゼを作る際にも「型」を使用するため、会社が蓄積してきた技術やスタッフが活用できるのではないか。そんな一美さんの直感を社長が信じて事業化に踏み切りました。工房の一画には乳がん患者専用のカウンセリングルームや試着室も作りました。定期的に全国を回って人工乳房の役割を説明してきた一美さん。人工乳房は、乳がん患者や家族が前向きに生きるきっかけを作り、時には生きる原動力にもなっています。
依頼者の中には、生死の境をさまようほどの大けがをした人もいます。交通事故に巻き込まれ、全身の60%にやけどを負った女性は、マエダモールドと出会い、困難と向き合いながらもエピテーゼを得たことで母親として、一人の女性として踏み出していくきっかけをつかみました。辛い思いをした人の心の痛みを少しでも和らげるため、エピテーゼの作成に取り組む職人たちと、絶望を乗り越えて生きる人たちを通して、この地域の“ものづくり"の可能性を伝えます。