佐藤 裕二

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ニュースの時間

いじめはなくならないのか?

年末恒例の『今年の漢字』が、12日に発表されました。応募の中で最も多かったのは「命」。悠仁さまのご誕生や、相次ぐいじめによる自殺。命の尊さをあらためて考えさせられる1年でした。
「いじめ」をなくす。難しい問題であることは事実です。しかし理想を失いたくはありません。

十年以上前からいじめ対策に取り組んでいる学校もあります。
12年前、当時中学2年生だった大河内清輝君が自殺するという事件があった西尾市。
西尾市内の中学校の「いじめ対策」は進んでいます。
市立西尾中学校の「いじめ防止策」の大きな柱は三つです。

一つ目は定期アンケート。「いじめ自殺」という悲しい事態が起きてからアンケートを実施する学校が多い中、西尾中学校では以前から年に2回、アンケートを行ってきました。質問項目も「いじめられたことはありますか?」「叩かれたことはありますか?」そのものズバリです。保護者にもアンケートを行っています。

二つ目は先生と生徒の交換日記。生徒はその日のことを自由に書き、担任教師は毎日、クラス全員分に目を通し返事を書きます。そこからいじめの兆候を感じることもあるそうです。

三つ目は「瞑想タイム」と呼ばれる校内放送。毎日「帰りの会」の時間に数分、生徒会役員などが放送でその日を振り返ります。友達のこと、授業のこと、行事のこと。全校生徒がその放送に耳を澄まします。浅岡文雄校長は「どこの学校でも同じ様に取り組んでいる。それでもいじめの芽を見付けることは難しい。ただ地味なことを毎日続けられる学校でなければならない」と話します。

一方、家庭はどう対応すればよいのでしょうか?思春期である中学生はいじめられていることを親に隠します。しかしサインは出ているはずです。
名古屋市の学校生活に関する相談窓口「ハートフレンドなごや」研究室長の松尾茂さんが、サインの例を教えてくれました。目を合わせなくなる、妙に明るくなる、登校する時間が遅くなる、親の前で電話をしたがらない等です。「親御さんが子どもの『いつも』の状態を一番知っている。『いつも』と違う時は声をかけてみることが大切です」と松尾さんは話します。
声のかけ方としては「学校では最近どう?」といった婉曲な表現で聞いてみたほうが良いとのこと。いじめられていなかったとしても「こどもにとっては『気に掛けてくれているんだ』という安心感に繋がる。その積み重ねが大切です」と松尾さんは言います。

もし、いじめられている場合は、まず子どもの気持ちを聞き、心の中のものを吐き出させる。そして「一緒にいじめに向かっていくんだ」ということを子どもに伝えることが必要だということです
親、先生、友達、相談窓口。君は一人ぼっちじゃない。そして私達は、子どもを一人ぼっちにさせてはいけないのです。
ハートフレンドなごや 052-683-8222