全国の自治体で初 ”子連れ出勤”OKの市役所 親の働く姿は子どもにとって新鮮 愛知
2023年4月4日 20:06
全国の自治体で初めての取り組みということで注目を集めています。愛知県豊明市で職員が、春休み中の子どもと一緒に出勤し、自分の席のそばで世話をしながら仕事をする。いったいどんな様子でしょうか?
豊明市役所では”子連れ出勤”を試験的に実施
豊明市役所に子どもと一緒に出勤する森田愛さん。3人の子どもがいるお母さんです。
「うえ2人は留守番できるが末っ子が入ると3人でけんかになるので、連れてこられるのは助かる」(豊明市学校教育課 森田愛さん)
豊明市役所では、希望した職員による”子連れ出勤”を試験的に実施。対象は0歳から小学3年生の子どもです。
その名も「ワークwithチャイルド」愛称は”ワチャ”です。
職場に託児スペースを設ける形ではなく、連れてきた職員が働きながら、自分の席のそばで子どもの世話をします。
「託児室や託児ルームを設けると、専属でそこにつく職員が必要になるので、それを税金で賄うのは難しいと思っているので」(豊明市子育て支援課 松村清子 課長)
初めて職場で過ごした8歳の晟ノ助くん、どうだったのでしょうか…
「ママの仕事しているところを見られてよかった」(森田晟ノ助くん)
しかし、緊張して、この日は少しだけ疲れたみたいです。
子どもが使用するものは備品などを使わず「自ら用意」
2人以上の子どもを連れてくることも可能
企画政策課で働く野村和義さん。9歳、5歳、3歳のこどもたちと一緒です。
「普段はもっと小さい鞄で。お道具箱とか着替えが入っています。子どもたちは自分の好きなものをリュックに…。」(豊明市企画政策課 野村和義さん)
豊明市の”子連れ出勤”の取り組みでは、2人以上の子どもを連れてくることも可能です。
「最初は3人連れてきたらどんな風になるのか、仕事がそもそもできるのかどうかとか、子どもはどう過ごすかとか興味があった」(豊明市企画政策課 野村和義さん)
職場で子どもが使用するものは備品などを使わず、すべて自ら用意します。
「お道具箱、色鉛筆、折り紙とかシールですね。段ボールで工作しようと持ってきたけど、娘のお茶がこぼれていてふにゃふにゃになっていたんで使えなくなっちゃいました」(豊明市企画政策課 野村和義さん)
子連れ出勤用の部屋で親子そろって昼食
午後になり、子どもたちも職場に慣れて元気に
野村さんはこの日、午前8時半から午後5時すぎまで子ども3人と一緒に仕事をします。
仕事をする隣で、子どもたちは塗り絵や工作に真剣そのもの。
Q.3人ともお利口にしている
「びっくりですね。こんな風に大人しいとは思わなかったので」(野村和義さん)
子連れ出勤用に設けられた専用の部屋でお昼の時間です。
「1時間でいつも私は外で食べてきたり、家に帰ったりするが、3人連れてそれは時間的に無理かなと。お弁当は私と妻で作りました」(野村和義さん)
子連れ出勤の取り組みは23人の職員が活用し、0歳から小学3年生まであわせて31人の子どもが職場に来る予定です。
午後になり、子どもたちも職場に慣れて元気が出てきました。工作も進んだようです。
退勤時間となった野村さん。3人を見守りながら仕事をした今の気持ちは?
「率直にちょっと疲れた。何とか過ごすことができてほっとしている。慣れてくると声も出るようになるし、動き回るようになるし。もともと最初からいつもと同じ仕事ができると思っていなかったので、とりあえず今日やりたいなと思っていたことはこなせた」(野村和義さん)
豊明の街並みを表現した工作(伊藤樺乃ちゃん作)
お父さんの働く姿を見られるのは新鮮
都市計画課の伊藤信司さんの一人娘、樺乃ちゃんは2回目の”職場出勤”です。
樺乃ちゃんが作り上げたのは、豊明市の街並みを表現した工作。
都市計画課の受付にぴったりです。
「カッターで切って、お父ちゃんと一緒に作りました。きょうは建築課らしいことを自分で考えて仕事しようかなって。夢はたくさんあるけど、大人になったらお父ちゃんと一緒にここで働きたい」(伊藤樺乃ちゃん)
お父さんの働く姿を見られるのは新鮮だったようです。
豊明市は子育てしやすい環境を作りを目指す
今回の取り組みを踏まえ、本格的な導入を検討
豊明市では、今回の取り組みを踏まえて全職員にアンケートを行い、本格的な導入を検討します。
多様な働き方に取り組むことでより子育てしやすい環境を作りたいとしています。
「子どもがそばにいていいよね、みんなで見守っていきたいし、みんなで子育てしていくのがいいよねっていう機運が地域全体に広まって、社会全体で子育てっていうのが広まっていくのがいいなと。そういう地域が理想だと思う。」(豊明市子育て支援課 松村清子 課長)
ランクアップで取り入れる子育て制度
フレックス制を取り入れ子育てママ社員を応援
子連れ出勤という意味では、一歩進んだ制度を取り入れる会社もあります。
東京の化粧品会社「ランクアップ」は約100人の社員のうち、4割が子育てをするママ社員です。
育休・産休を取得した社員の復職率は100%。
ランクアップが設ける制度は…
【子連れ出勤制度】
子どもの預け先がない時に、子どもを連れて出社できる制度。
【スーパーフレックス制度】
育児に関する事情の場合、朝5時から夜10時内で自由に時間を組み合わせて、勤務できる制度。
ランクアップの病児シッター制度
子どもの体調が悪い時にも手厚いサポート制度
【病児シッター制度】
抜けられない仕事の日に子どもの体調が悪くなってしまったら、プロの病児シッターを格安で雇うことが可能。
本来のシッター料金は1日約2~3万円するところが、この制度を利用すると、1日300円に。
10日間子どもが熱を出した場合、本来なら20~30万円かかるところ3000円の負担額で済みます。
男性社員向けの育業体験制度
男性社員に向けた制度も
ランクアップでは男性社員に向けた制度もあります。
【育業体験制度】
子育てを体験してみたい社員は、子育て中の社員の家庭で疑似育児を体験できる制度。
子育てや育休取得への理解促進したいと、男性社員の声から生まれました。
スケジュールは…
15:00~ ママ社員宅へ
16:00~ 保育園のお迎え・夕飯の買い物・家事手伝い
17:00~ 夕飯(子どもにご飯を食べさせる)
18:00~ 夕飯の片付けと子どものお世話(歯磨きなど)
20:00 終了
これまで4人の男性社員が活用しましたが、そのうちの1人はクタクタになり、翌日は半休をとることになったそうです。
(4月4日15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)