スタッフの一言

日々スポーツ取材に励むメ~テレスポーツ部スタッフ。そんな彼らが取材先で感じたことをつづります。

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画竜点睛

2008/06/10

今回の担当者

「メヂカラ」ってのを、最近改めて感ぜずにはいられない。

もちろん、メイクとかそういうことではなく、動体視力というわけでもなく。
いうならば、「目は口ほどに物を言う」っていう類の、それ。

アスリートを取材して、 過去の映像を見返したり、そして現在の映像を見たり、インタヴューの映像を見返したり。
すると、同じアスリートのはずが、大きく違う印象を持つ。顔が、表情が明らかに違うのだ。突き詰めれば、目に宿した光というか、それが何か違う。

もちろんアスリートに限らず、人には目に宿した光があるとは思う。
が、やはり極限の世界に身をおくアスリートはその光の反射、屈折が一般の人よりも明確だったり、複雑だったり、大きかったり、そんなことがあったりするような気がする。

かつて、ある写真に強い衝撃を受けた。
それは、冬季・長野五輪スキージャンプ競技の船木和喜選手の飛行姿勢を捉えた一枚だった。船木選手特有の美しい飛行姿勢を、鮮やかな青空を背景に切り取った一枚。
衝撃は、その写真がゴーグルの奥の船木選手の目をしっかり捉えていたところだった。
空中で、落下するように飛ぶというジャンプ競技。
彼の目は、静かに、けれどもしっかりとまっすぐ前を見据えていた。
迷いの無い目、澄んだ目というのがあるとしたら、それがまさにその目だった。

画竜点睛―。

船木選手は、金メダルを手にした。

ディレクター:A


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